老人の身体の特徴
 
  血圧とは血液が血管内で示す圧力のことです。通常上腕の動脈で測定される数値をいいます。
 血圧には最大血圧、最小血圧、平均血圧などがあります。最大血圧は、心臓が収縮したときの血圧値で、最高血圧または収縮期血圧ともよばれます。最小血圧は、心臓が拡張したときの血圧値で、最低血圧または拡張期血圧ともよばれます。
 血圧を正しくはかるためには、聴診法ではかる場合は圧迫帯を上腕にゆるすぎず、きつすぎず正しくきちんと巻きつけます。次に聴診器を圧迫帯を巻いたすぐ下の前腕動脈に当てて、圧迫帯に空気を送り込みます。血圧計の目盛りの200くらいまで水銀柱をあげておいて、圧迫帯の内圧をできるだけゆっくりさげ、最初は無音ですがやがてドンという音が聞こえ始めるところが最大血圧です。さらに圧をさげつづけていくと、トントンという音、次いでシュッシュッという音となり、最後に音はなくなりますから、このときが最小血圧です。
 
 最近では、電子血圧計や指先ではかる簡単計測の血圧計もあります。しかし、家庭内での測定では、はかり方で誤差が生じることもあるので、医師から正しい使用法の指導を受けるほうが望ましいでしょう。
 いずれの方法も、時間、同じ腕など毎日同一条件で測定することが大切です。
 血圧の高さは、血管の太さと硬さ、心臓の拍出力、血管中を流れる血液の量、血液濃度などによって決まってきます。また、血圧の正常値に関しては、性別、年齢、体重その他の因子(運動、食事、睡眠、気温、ストレスなど)によって多少異なりますが、1980年に厚生省において調査した日本人の血圧正常値は、30歳以上で、男性は最大血圧138ミリ以下かつ最小血圧84ミリ以下、女性では最大血圧134ミリ以下かつ最小血圧80ミリ以下でした。女性は男性より5〜10ミリくらい低く、40歳以上では年齢とともに多少上昇します。老人では、とくに収縮期血圧が上昇し、拡張期血圧は50歳代でほぼ最高値となります。
 高血圧も加齢とともに増加し、とくに最小血圧は低く最大血圧のみが高い収縮期性高血圧となります。高血圧の診断基準として、WHO(世界保健機関)は最大血圧139以下かつ最小血圧89ミリ以下を正常血圧とし、最大血圧140〜159ミリまたは最小血圧90〜94ミリを正常血圧と高血圧との間の境界域高血圧とし、最大血圧が160ミリ以上または最小血圧95ミリ以上を高血圧としています。この値は老人においても同じです。
 
 老人でみられる収縮期性高血圧の原因は、動脈硬化により大動脈が硬くなり、伸展性、弾力性がなくなるためです。老人の血圧で注意しなくてはならないのは、日内変動が大きいこと、とくに夜間に血圧が下降したり、起立時に血圧が下降しやすく(起立性低血圧)、また食後に血圧下降を起こすことです。また、主要臓器、とくに脳では血圧の多少の変動に対しても脳の血流を一定に保つ機構(自動調節機構)がありますが、老人ではこの大事な機構が障害されていることがあります。その結果、起立などで血圧が変化すると、めまい、ふらつき、失神発作などを起こしやすくなります。
  
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