老人の身体の特徴
 
 老化とはいったいどういうことなのでしょうか。外見で判断する人が多いと思います。また、体力の衰えや記憶力の低下などで感じる人もいるでしょう。このように老化は個人差が大きく、医学的に老化を定義づけるということは、なかなかむずかしいことです。老人を診察しても、内臓の働きは若い人とそう大きな違いはありません。したがって、このようなことだけから老化をみつけるということはできません。また、老化には時代差、男女差もあります。
 しかし、そうはいっても若い人と肉体的にまったく同じかというと、けっしてそうではありません。私たちの体は多くの細胞から成り立っていますが、この細胞そのものに老化としての現象が現れるはずです。ただ、それを具体的にとらえて、「これが老化現象である」ということを臨床面からだけでいいきることはむずかしいので、それには病理学的、生理学的、心理学的な多方面からの検討が必要です。
 私たちは生きているかぎり、歳をとればいろいろな変化、すなわち老化現象が起きるのは避けられないことです。老化を、普通は精神的な老化と身体的な老化の2つの面から考えていきます。
 
 あるアメリカの学者が精神的な老化の指標として15の徴候をあげていますので、列挙してみましょう。
  
(1)最近のことを忘れてしまう。昔のことは比較的よく記憶している。
(2)急ぎの用をしなければならないとイライラする。
(3)すべてのことに対して自己中心的になる。
(4)過去のことを繰り返し話す。
(5)よくグチをこぼす。
(6)目のまえで起こっていることに興味をもたない。
(7)他人にわずらわされず一人でいたい。
(8)新しいことを身につけにくい。
(9)騒がしいことに神経質になる。
(10)知らない人と付き合うことを好まなくなる。
(11)世のなかの変化についていけなくなり、疑い深くなる。
(12)自分自身の感情にとらわれやすい。
(13)過去の自分の苦労話をしたがる。
(14)新しい計画を立てることができない。
(15)つまらないものを収集して喜ぶ。
  
以上、15の徴候ですが、わが身にあてはまることがボツボツでていることに気がつくでしょう。
 
 では、体に現れる老化現象にはどういうものがあるのでしょうか。それは、白髪が多くなった、老眼になり新聞が読みにくくなった、耳が遠くなった、皮膚のしわやしみが多くなり、弾力がなくなった、歯が抜けてそしゃくする力が落ちた、などです。また、骨や関節が衰え、体の動きがぎくしゃくしてきた、反射神経が鈍くなった、なども現れてきます。いずれも歳をとるに従って現れてくる現象(加齢現象といいます)で、これらをいちおう老化とよんでいます。
 歳をとると、体の働きがどのように変化するのでしょう。まず、外からの刺激に対する反応が遅くなります。そして、外からの刺激により起こった体のなかの変化がもとの状態に戻るまでに時間がかかります。また、ウイルスや細菌に対する抵抗力が衰えたり、傷の治り方が遅くなったりします。爪の伸び方も遅くなったりします。そのほか、血圧の変化、視力の低下、暗がりになれるまでに時間かかるなど、いろいろな変化が生じてきます。
 
 
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