老人の身体の特徴
 
 熱の有無を知るには、額に手を当てて皮膚温をみる方法がありますが、他の部位に比べて変動が少ないので、ある程度役に立ちます。
 体温計による検温法には、腋窩検温法、口内検温法などがあります。検温は朝夕の同じ時間に行い、状態によっては回数を増やします。いずれの方法も、同じ条件で行うこと、正しい位置で十分な時間をかけることが大切です。
 腋窩検温法では、汗で湿っていると正確にはかれないので、よくわきの下をふいてから測定します。体温計のさきをわきの下の中央部にいれ、ぴったり皮膚につけてはかります。数分でもはかれますが、10〜15分かけるとより正確な値が得られます。
 口内検温法では、体温計の水銀槽を破壊しない注意が必要です。せきがでたり、呼吸困難をきたしている人、意識障害、ぼけのあるような人は危険なので避けましょう。口を開いたり、しゃべったりしたあとは正しい値を示しません。体温計のさきを舌の裏側中央部にいれ、前歯で軽くはさみ口を閉じて約5分間はかります。口内用の特別な体温計もできています。最近は、水銀を用いない電気的方法による電子体温計もあり、水銀体温計と値もかわらず、便利です。
 通常体温は、午前2〜4時ごろに最低となり、以後上昇し、午後2〜6時ごろ最高となり、正常な人では規則正しいリズムをもっています。しかし、老人では体温のリズムが不規則になることがしばしばです。しかも、環境温度の変化に左右されます。暑いときには高めに、寒いときはやや低めになります。
 
 発熱とは正常体温以上のことですが、正常体温はかなり幅があり、37度を超えたものをすべて「熱がある」とするわけにはいきません。しかし、37.2〜37.3度をつねに超える場合には発熱を疑うべきです。それでも、老人では必ずしも37度以上が有熱とは限りません。普段の体温(平熱)を知っておくと、発熱したときに異常の程度を知ることができるので、日ごろからはかっておきましょう。
 次に、低体温症は36度以下のものをいいます。つねに低体温を示すものとして、甲状腺機能低下症、慢性消耗性疾患などの病気があります。一般に老人の体温は、成人の平熱より低い傾向がありますが、甲状腺機能低下症、室温の低いところにいる場合等が問題になります。とくに寝たきり老人では、肺炎、その他の感染症にかかっても発熱しない場合もあります。このような患者さんは定期的に体温測定を行い、36度台の熱でも、普段より高い場合はかかりつけの医師にみていただく必要があります。
  
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