老人の身体の特徴
 
 正常成人で1分間の呼吸数は14〜20くらいで、規則正しく適度な深さと長さがあるものです。呼吸数は、女性のほうが男性よりやや多く、年齢とともにしだいに減少します。気温や運動、発熱、精神状態でも多少変化します。
 呼吸は、胸の上下運動を見て1分間はかります。そのほか、胸や腹に手を軽く当てて数えたり、眠っているときはティッシュペーパーを鼻孔に近づけて吐く息を数える方法もあります。同時に、呼吸間隔、呼吸の深さや速さ、呼気と吸気のバランス、喘鳴(ぜいぜいする音)がないか、などを観察します。また呼吸数をはかるときは、はかっていることを本人に気づかれない注意が必要です。
 呼吸数の増加したものを頻呼吸といい、少なくなったものを徐呼吸といいます。老人で頻呼吸をみたら、心不全、肺炎を考えなくてはなりません。また、糖尿病で呼吸数が増したときは、昏睡の切迫を疑います。この場合は、数とともに深さも増します。徐呼吸は頭蓋内圧亢進(脳腫瘍など)、気管支の閉塞などでみられます。
 
 原因となった病気により肺性呼吸困難、心臓性呼吸困難、閉塞性呼吸困難その他があります。
 肺性呼吸困難は著明なせき、チアノーゼを伴います。老人でしばしばみられます。老人になると、肺の組織は他の臓器同様に萎縮します。したがって、肺気腫にかかりやすくなります。みかけ上の容積は増しても、呼吸機能はしだいに低下します。したがって、わずかな運動負荷でも息切れを起こしたり、感染を起こしやすくなります。とくに肺炎にかかりやすくなります。
 心臓性呼吸困難は、心不全を起こした人にみられます。軽度なものは、階段を上るときなどにみられます。
 閉塞性呼吸困難は、気管支喘息、咽頭炎、喉頭炎などでみられますが、老人で問題なのは異物、吐物などが気管内に入って起こる突発的な呼吸困難です。
 
 異常を認める呼吸には、次のようなものがあります。
 
(1)呼吸困難
 不快にして困難な呼吸のことです。
(2)起座呼吸
 あおむけに寝ているときには呼吸困難が強く、起き上がって座位またはうしろに寄りかかる姿勢をとると、呼吸が楽になるので、この状態を起座呼吸といいます。心臓病による心不全の徴候です。
(3)無呼吸
 呼吸が一過性に中断された状態をいいます。老人では夜間睡眠中に時々みられます。
  
 
 
 
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