泌尿・生殖器系
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泌尿・生殖器系
痔 疾

 

 肛門は肛門括約筋という筋肉によって囲まれ、括約筋はさらに内括約筋と外括約筋とに分けられます。外括約筋は随意筋で、肛門を閉じたり開けたりします。直腸と肛門の境には、肛門線とよばれる組織があります。この腺から分泌される粘液によって便のすべりがよくなり、痛みを感じずに排便できます。直腸の下部や肛門には、静脈叢とよばれる網目状になった血管が分布しています。
 肛門の病気には痔疾(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)と肛門周囲腫瘍・痔瘻があります。また、肛門・痒症やポリープ、がんなどの疾患もあります。
 立って生活することの多い人間は、腹圧や重力によって静脈叢が太くなりやすく、これが痔核の発生につながります。排便回数の多い人や、下痢や便秘を繰り返す人は痔瘻や裂肛が多く、便が固かったり、排便時間の長い人には痔核や脱肛が多い傾向にあります。

−痔核−
◆どのような病気か?◆
 痔核とは、直腸や肛門静脈叢から発生する静脈瘤です。直腸の下部と肛門には静脈の網目状構造(静脈叢)があり、うっ血しやすい特徴をもっています。この静脈叢は重力や腹圧などによって容易にうっ血し、静脈瘤様に拡張し膨れあがります。これが痔核(いぼ痔)です。痔核は、発生する場所により、内痔核と外痔核に分けられます。痔核のほとんどは内核痔です。
◆症状と特徴◆
 外痔核では、肛門部に痛みを伴う浮腫状の腫瘤を認めます。血栓性静脈炎が起こると、増大し激しい痛みを伴います。
 内痔核は出血、疼痛、脱出の3つがおもな症状です。内痔核は一般に多発性で、排便、いきみ、立作業などで脱出します。これには手でもとへ戻すことができるものから脱肛といわれるものまであります。脱肛とは、痔核が肛門内に戻らなくなった状態をいいます。痔核が脱出すると不快感、異物感、痛み、湿潤感などの症状があります。出血は、排便時のいきみによる静脈の損傷で起こり、内痔核では紙につく程度のものからほとばしるものまでさまざまな出血を認めます。肛門鏡で確認すると、肛門内に腫瘤を認めます。
 肛門・痒症も痔核で出現する症状です。内痔核は年月を経るにしたがって悪化し、老人では肛門周囲の組織が弱くなっているため、脱肛のようなひどい症状をもつ人が多くなります。
緊急時の応急処置
 安静にし、腹圧をかけないようにします。薬としては、坐薬や軟膏などを使用します。局所には冷湿布をし、脱出して嵌頓とよばれる状態になれば、保護的に還納します。全身的には消炎薬、鎮痛薬を服用します。そしてできるだけ早く総合病院の外科か肛門科を受診します。痛みや出血がひどいときや脱肛が起きた場合は、手術が必要です。

−裂肛−
◆どのような病気か?◆
 排便時に便で粘膜がこすられ、肛門の粘膜が切れてしまうものをいいます。切れ痔ともいいます。多くは便秘がきっかけとなって起こります。とくに肛門のうしろ側は伸び縮みしにくく、好発部位となっています。
◆症状と特徴◆
 激しい焼けるような痛みと出血が特徴です。痛みは、排便に始まり排便後まで続きます。時に長時間持続することがあります。出血は少量のことが多いのですが、痔核の隣が切れたりすると、大量の出血があります。
緊急時の応急処置
 痛みの激しいときは温浴をし、また腹圧をかけないようにします。出血が多く止血しないようであれば、専門科を受診します。坐薬や軟膏を使用すると楽になりますが、後日受診するようにします。

−肛門周囲膿瘍・痔瘻−
◆どのような病気か?◆
肛門周囲腫瘍は、肛門腺が細菌感染によって炎症を起こし、膿が肛門周囲の組織のすきまの弱い部分を伝わって広がり膿瘍(膿のたまり)をつくった状態をいいます。自然に皮膚の一部が破れるか、外科的切開によって組織の間にたまった膿が排泄されると、直腸下部・肛門の粘膜や肛門周囲の皮膚にトンネル状の瘻管を形成します。これを痔瘻といいます。
 特殊な場合として、結核やクローン病、潰瘍性大腸炎、がんが原因の肛門周囲膿瘍・痔瘻があります。
◆症状と特徴◆
 肛門の周囲が腫れ、夜眠れないほどの激しい痛みがあるのが肛門周囲膿瘍の特徴です。時に発熱を伴います。膿性分泌物で下着がよごれます。膿が排泄されると、症状は軽くなります。痔瘻が形成されると、肛門から放射状に固いしこり(硬結)を触れます。腫れたり、膿の排泄を繰り返します。
緊急時の応急処置
 外科的な処置と肛門周囲の清潔は大前提ですが、緊急時には、抗生物質と消炎薬とともに坐薬を用います。痛みで排便が困難な場合は、緩下剤を用います。

 

 

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