腎盂腎炎は腎実質および腎盂腎杯の一般細菌の感染症です。大きく急性腎盂腎炎と慢性腎盂腎炎に分類されます。
−急性腎盂腎炎−
悪寒、発熱、腰背部痛にて急激に発症し、尿中白血球増多、尿中細菌数105/ミリリットル以上を認める急性感染症です。
悪寒、発熱、腰背部痛、側腹部痛、膀胱炎症状がみられ、肋骨脊椎角部叩打痛を伴います。
おもな発症経路は上行性感染(尿道・膀胱から細菌が尿流とは逆に上がってくる)で腸管、尿道、腟由来のグラム陰性杆菌によることが多く、膀胱炎に続発することが多い疾患です。また、糖尿病、痛風、低カリウム血症、高カルシウム血症、尿流障害などが誘因となり起こります。
尿流障害の原因としては、結石、腫瘍、妊娠、神経因性膀胱が考えられ、膀胱尿管逆流現象や腎不全を起こします。
学童期以後と壮年期までは男性に比べて女性に多く発症します。これは女性は男性に比べて尿道が短く、太く、また男性のような殺菌作用を有する前立腺を有しないためです。
−慢性腎盂腎炎−
膀胱炎、急性腎盂腎炎の既往があり、潜在性または再燃により進行した腎盂、腎杯、腎間質、尿細管を主病変とする細菌感染症です。
尿路感染症の既往歴および再燃に伴う経過をたどり、微熱、腰痛がみられます。
病因は急性腎盂腎炎と同様です。尿流障害が原因と思われるときは、できるかぎりその条件を除去するようにします。 |
|