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急性膵炎

 

◆どのような病気か?◆
 急性膵炎とは、種々の原因により膵臓自体の防御機構が破壊されて、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エラスターゼなどの膵酵素が膵臓の細胞周囲の組織に漏れ出して膵臓の自己消化を起こし、膵実質の破壊、脂肪壊死、膵出血などをきたす疾患です。膵臓のみか周囲の消化管、腎臓、肝臓、心臓、肺、脳などにも影響が及び、ショック、腎不全、呼吸不全などを引き起こし死亡率も50〜80%と高いきわめて重篤な疾患です。
 急性膵炎の誘因としては、胆石症、胆道炎、脂肪の豊富な食べ物の過食、アルコールの長期摂取や過剰摂取、腹部外傷、腹部手術、慢性膵炎、膵嚢胞、膵臓がん、胃・十二指腸潰瘍、回虫症、流行性耳下腺炎などさまざまのものがありますが、胆石症とアルコール摂取が二大成因として重要です。
 胆石が胆管内で嵌頓したり、胆道の炎症を併発して膵臓の圧力が上昇し、膵液のうっ滞、胆汁などの膵管内逆流を起こすことによって生じやすくなります。
 また、アルコールは胃酸分泌を亢進させることから、消化管ホルモンの作用を介して膵臓の分泌機能を亢進させて膵炎を起こすと考えられています。
 食生活の欧米化、アルコール摂取の増加に伴って近年増加傾向にあります。30〜50歳代の人に多く、胆石症によるものは女性に、アルコールによるものは男性に多いようです。

◆症状と特徴◆
 心窩部(みずおち)から背中へ放散する激しい腹痛が必発です。腹痛は、膵炎発症時より徐々に増悪して数時間で持続する激痛となります。とくに、飲酒、暴飲暴食、脂肪の多い食べ物を食べたあとに起こりやすく、また吐きけ、嘔吐も伴うことがあります。
 腹痛はあおむけに寝ると増強し、まえかがみの姿勢でやや軽くなるという特徴があります。上腹部痛は、比較的軽症であれば数時間〜2日でしだいに軽くなります。しかしこじれて、胆道の感染などや膵膿瘍を併発すると、39〜40度の熱もでます。
 膵酵素が血管に作用して出血が高度になったものが急性出血性膵炎、膵細胞や脂肪組織に作用して壊死を生じたものが膵臓壊死です。
 このような重症例では、高度の脱水、ショック、呼吸困難、消化管出血も出現します。とくに全身のショック症状の出現は、生命の危険が切迫している徴候としてきわめて重要です。頻脈、血圧低下、冷や汗、チアノーゼ、意識障害、尿量減少などで危険な状態となります。また、肺水腫、肺炎、胸水貯留などによる呼吸不全、播種性血管内凝固症候群などの症状も重篤化したときの症状として重要です。
 検査としては、血液と尿中のアミラーゼの測定をします。急性膵炎では両者とも上昇します。

緊急時の応急処置
 再発を繰り返しやすく、胆石をもっている人やアルコールをつねに飲んでいる人、暴飲暴食のあとに出現したみずおちの激痛は急性膵炎の可能性が大ですが、急性胆嚢炎、胆石発作、胃・十二指腸潰瘍、腸閉塞症さらには急性心筋梗塞なども同様の症状を示すことがありますので、緊急に医療機関へ搬送して必要な検査や処置を受けること必要があります。勝手に食事や水分をとると急激に悪化するので、医師の診察を受けるまえは絶飲、絶食としてください。

 

 

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