◆どのような病気か?◆
憩室とは、消化管壁の一部が内圧により袋状に膨隆したり、周囲から引っぱられて袋状に突出したりする形の異常で、食道、十二指腸、小腸、そして大腸にできます。先天性のものと後天性のものとがあります。単発するものと多発するものがあります。憩室の発生は、加齢とともに増加します。食道にできるものでは、下咽頭部にできるものをツェンカーの憩室とよんでいます。十二指腸にできるものでは、乳頭部付近に発生したものは、胆道や膵臓の疾患との関連があるとされています。大腸に発生する憩室は、盲腸や上行結腸に多いとされており、老人では群発することが多いとされています。
◆症状と特徴◆
どの部位の憩室でも無症状であることがほとんどです。咽頭食道憩室では、大きくなると咽頭部の不快感、異物感などを感じ、嚥下困難を生じたり未消化の腐敗臭のある食べ物をもどす(吐逆)ことがあります。十二指腸憩室の場合は、合併症がなければ無症状であることがほとんどです。小腸の多発性の憩室では、時に吸収障害などの盲管症候群の症状をみることがあります。大腸憩室でも多くは無症状ですが、腹痛、腹部の不快感、便秘、下痢、出血などがみられることがあります。S状結腸憩室は老人に多く、左下腹部痛を呈することがあり、左側虫垂炎とよばれています。
緊急時の応急処置
憩室のあることがわかっていて、腹痛や出血などがあったときは、憩室炎や憩室からの出血を考えて、安静、絶食してすみやかに医療機関を受診しなくてはいけません。 |
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