◆どのような病気か?◆
胃液に直接さらされる胃や十二指腸部に発生する粘膜よりも深い部分にまで達する組織の欠損が、胃・十二指腸瘍潰です。急激に発症して早い経過で治る急性のものと、慢性のものとがあります。急性のものでは、胃炎を伴うことが多く、急性胃粘膜病変あるいは急性十二指腸粘膜病変などともよばれています。
粘液層と粘膜上皮細胞層にある粘膜防御因子と胃液(胃酸、ペプシンなど)、アルコール、細菌などの攻撃因子とのアンバランスが胃・十二指腸潰瘍の成因と考えられています。
◆症状と特徴◆
急性の瘍潰では、上腹部痛と吐血や下血(黒色便)などの急激な症状で始まることもありますが、無症状のこともあります。そして潰瘍の発生と症状の発症が同時でないこともあります。胃・十二指腸潰瘍の症状で多いのは上腹部痛で、胃潰瘍ではみずおち(心窩部)にあることが多く、十二指腸潰瘍ではみずおちから右上腹部(右季肋部)にあることが多く、時には背部痛を伴うこともあります。
痛みは食前にも食後にもみられますが、十二指腸潰瘍では空腹時と夜間によく痛みが起き、食事摂取で軽快することもあります。潰瘍からの出血があれば、吐血や下血が認められますが、出血があっても痛みのないときもあります。出血が持続したり、大量に出血があったときには貧血となり、倦怠感、息切れ、動悸などの症状もみられます。吐きけと嘔吐もみられ、嘔吐は胃潰瘍に多くみられます。痛みや、吐きけなどがあるときには食欲不振や倦怠感なども伴います。胸やけ、げっぷ、そして上腹部膨満感などもおもな症状です。
緊急時の応急処置
緊急時にあたるのは、出血と穿孔のときです。安静、絶食してすみやかに医療機関を受診するべきです。嘔吐のあるときは、顔を横に向けて誤嚥を防ぎます。 |
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