2.ねんざ |
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ねんざとは、関節に無理な力が不適切に加わるために、関節を構成する靱帯、関節包、腱膜などが損傷し、関節の破綻をきたしたものをいいます。老人は、足首をひねったり、ちょっと手をついたりしただけで、足首や手首のねんざを起こしやすくなります。 加わる外力が比較的小さく、関節の損傷も軽く関節面が正常の位置に戻っているものをねんざとよび、関節を包む組織が破損し、関節面がずれてしまったままのものを脱臼とよびます。脱臼を起こしていると、自発的に該当する手足を動かせず、関節の変形を認めます。 ねんざをすると、その関節部に疼痛と運動機能障害を起こします。また、しばらくして関節周囲が腫れてきます。受傷時には激痛がありますが、重篤な損傷がないときには痛みは数十分以内に治まります。関節包や靱帯に損傷があるときは痛みも持続し、負荷をかけたり運動したりすると疼痛は増大します。 関節を他動的に動かすと、一定方向に動かしたときに疼痛が誘発され、その逆方向ではきわめて軽いのが特徴です。これは、断裂した部分が開く方向に関節を屈曲させるときに激痛を伴うからです。関節損傷部の表面の皮膚には、皮下出血のため、赤紫色の出血斑を認めることもあります。関節内に出血したときはしだいに腫れが顕著となり、さらに出血が続くときは関節内骨折を疑う必要があります。 靱帯断裂などのない軽度のねんざは、しばらくは氷や冷湿布で冷やし、局所の安静を保つために弾力包帯、あるいはギプス包帯を巻き、2〜8週間固定します。患部をもんだり、マッサージなどはせず、入浴は中止します。軽度のねんざならば、痛み、腫れは数日以内でひき2〜3週間で治ります。靱帯断裂があっても適切に処置されれば、下肢でも6〜10週間で治ります。このように、適切な治療により早期回復が期待されますから、すみやかに整形外科を受診するのがよいでしょう。適切な手当てをして治しておかないと、関節が動かなくなったり、癖になったりします。 受傷部位によっては、副木をあてて移送することが疼痛を軽減させるのに役立ちます。 |
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