3.循環系の緊急症
 (A) 急性左心不全


起座呼吸


救急車が到着するまでは、呼吸が楽にできる姿勢をとらせて絶対安静を保ちます。

 

 


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 急性左心不全では、肺うっ血を起こし呼吸不全となります。夜間に発作性に呼吸困難が起こり、起き上がってまえかがみに座る(起座位)と呼吸が楽になるため、いわゆる起座呼吸をするのが特徴です。気管支がピューピュー鳴ったり、胸全体がゼイゼイ鳴ることがあり、この状態を心臓喘息とよぶことがあります。急性肺水腫やショックを起こして処置が遅れると死亡することもあるので、一刻も早く医師の治療を受ける必要があります。家庭での応急処置としては、頭部、上半身を高くし下肢をベッドの下にさげ、座位、半座位をとらせて外の空気を吸わせたり、酸素吸入を行います。
 (B) 虚血性心疾患
 狭心症や心筋梗塞があります。心臓自体を栄養する冠動脈の動脈硬化が進み狭窄または閉塞したり、発作的に収縮したりするために起こります。ともに重症な発作では、激しい胸痛と、締めつけられるような息苦しさでじっとり汗をかき、胸を手でかきむしるようにして苦しみ、顔面蒼白となり意識を失います。
 狭心症の場合は、発作が治まるまで最も楽な姿勢で安静にさせます。座るかあるいは立ったままなにかにもたれ、背中を丸めて胸を抱え込む姿勢をとらせるとよいでしょう。また、ニトログリセリンの舌下錠をつねに用意し、発作時に舌の下に入れて溶かし、安静にして治まるのを待ちます。使用法は必ず医師の指示を受けましょう。
 心筋梗塞の場合は、絶対安静にし、動かさずに救急車を待ち、集中治療施設で治療する必要があります。
 医師あるいは救急隊が来るまでの応急手当としては、患者の衣服を緩め、意識があればあおむけに寝かせるか、上体を起こしてふとんに寄りかからせたり、机にうつぶせにさせて呼吸が楽にできる姿勢をとらせて絶対安静を保ちます。部屋は暖かくします。全身状態の変化に留意し、呼吸が止まっていたり弱くなっていたら、ただちに気道の確保・人工呼吸をし、脈が止まっていたら心臓マッサージをします。

 

病気の場合:   

急性腹症   意識障害   循環系の緊急症

けが、事故などの場合 転倒による骨折  ねんざ   頭を打ったとき   のどにものが詰まったとき
やけど(熱傷)   
中毒と薬の飲みすぎ   床ずれ(褥瘡)   水におぼれたとき

 

痴呆になったとき 症状からみる病気 緊急時の応急処置 老人の身体の特徴
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