2.意識障害 | |||
意識障害にも、程度によって意識がもうろうとしている状態から昏睡まで、いろいろな段階があります。ほかに、老人によくみられるせん妄などの興奮した精神症状が現れる状態があります。老人が急に意識障害を起こしたときは、以下の病気が疑われます。 |
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(A) 脳卒中 | |||
脳内血管が破れて起こる脳出血、脳血管が閉塞して起こる脳梗塞(脳血栓、脳塞栓)、およびくも膜下出血は総称して脳卒中とよばれます。多くは、高血圧、動脈硬化や糖尿病などの危険因子を有した患者に発症します。発作時には、次のような症状がみられます。 (a) 脳出血 激しい頭痛、嘔吐、痙攣、意識障害が起こり、半身麻痺、しびれ、言語障害などの症状が現れます。重症の場合は、発熱・発汗があり、真っ赤な顔をしていびきをかいていることが多く、昏睡状態に陥ります。 (b) くも膜下出血 突然、後頭部に激しい頭痛が起こり、吐きけ、嘔吐を伴います。発作と同時に、痙攣や手足の麻痺を起こします。頭痛のあと、意識障害、呼吸困難が起こります。 (c) 脳梗塞 発作は脳出血ほど急激ではなく、軽いものであればめまい、しびれ、物が二重に見える(複視)、片麻痺、言語障害などですみます。しかし、太い血管で詰まったり、大脳の部位によっては重篤な場合もあり、意識障害を伴うこともまれではありません。また、脳血栓の前触れといわれる一過性脳虚血発作は、発作が急で意識障害を起こします。半身麻痺、しびれ、めまい、言葉のもつれ、手足の筋力低下などの症状があります。およそ数分前後、長くても24時間以内に完全に症状がとれるのが特徴的ですが、治まったからといって軽視せず、早めに医師の診察を受けることが大切です。 そのほか、糖尿病性昏睡、糖尿病治療中の低血糖性昏睡や、肝不全から引き起こされる肝性昏睡などがあります。 |
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(B) 糖尿病性昏睡・低血糖性昏睡・肝性昏睡 | |||
(a) 糖尿病性昏睡 糖尿病を放置していたり、インスリン療法を中断したときに起こるもので、吐きけ、嘔吐、腹痛を前兆として、高度の脱水とともに意識が混濁し、やがて昏睡状態となり、生命にかかわることがあります。 (b) 低血糖性昏睡 糖尿病の治療中の人に起こりやすく、脱力感、冷や汗、顔面蒼白、手足のふるえ、動悸、頻脈などの症状がでて、ひどい場合には意識障害を起こし、昏睡状態となり、生命にかかわることがあります。応急手当てとして、砂糖水やキャンディなどの甘いものを与えます。 (c) 肝性昏睡 肝機能障害によって有毒なアンモニアが全身、ことに脳に運ばれて起こるもので、意識障害が現れ、ぼんやりしたり、暴れたりして、ついには昏睡状態に陥り、死亡することもあります。 意識障害がある場合、医師あるいは救急隊が来るまでにすべき応急処置は、患者の衣服を緩め静かに薄暗い部屋であたたかくして休ませます。次に顔を横向きにし、あごを持ち上げて顔をやや上向きにし、首を伸ばすようにします(昏睡体位)。こうすることで、舌がのどをふさいだり、気道を閉塞したり、吐いたものがのどに詰まるのを防ぐことができます。また、入れ歯を使っている老人の場合には、飲み込まないようにはずしておきます。 |
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