◆どのような病気か?◆
心臓の調律は右心房にある洞結節がペースメーカーとなり、その刺激が房室結節、ヒス束、心室中隔の左右脚、プルキンエ線維など心臓内の刺激伝導路を伝わり、心室に達し律動的な収縮・拡張が行われています。不整脈はこれらの経路に異常が生じ、正常の洞調律が乱れて不規則になった状態をいいます。
原因の多くは洞結節以外の心臓内の細胞が刺激の発生源となったり、あるいは刺激伝達経路に正常の経路以外の副伝導路やブロックなどが生ずるためです。刺激生成異常に属する不整脈には心室性期外収縮、心房性期外収縮、心房細動、心房粗動、心室細動、副伝導路の関与するものは先天的に心房と心室をバイパスする副伝導路をもつWPW(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト)症候群や各種頻拍症があり、興奮伝導ブロックには洞房ブロック、房室ブロック、脚ブロックなどがあります。
不整脈を起こしやすい疾患には高血圧症、虚血性心疾患などの各種心疾患、甲状腺機能亢進症、ジギタリス中毒などがあります。
◆症状と特徴◆
最も普通にみられる症状は動悸、胸部不快感ですが、自覚症状がまったくなく本人も気づかないことがまれではありません。一般に頻脈性(脈が急に早くなる)の場合に胸部不快感がでやすく、徐脈性(脈が異常に遅くなる)の場合はめまい感、失神などの症状が特徴です。
不整脈は自分で脈拍を触れてみれば、規則的でなかったり、脈が抜けたりするので判断できます。期外収縮では″ドキンと瞬間の衝撃を胸に感じることがあります。老人では洞結節の機能低下のため徐脈になりやすく、房室ブロック、脚ブロック、上室性期外収縮、心房細動などが多くなる傾向があります。
緊急時の応急処置
心電図で不整脈の種類を診断し、重症で心停止にいたる可能性のあるものでは、積極的な治療が必要です。専門的には薬物療法、直流電流による電気ショック治療、人工ペーシングなどの適応を検討する必要があります。
発作性頻拍症にはまず最初に眼球を圧迫したり頚動脈の一部分をマッサージすると治まることがありますが、息ごらえ、冷水を飲む、あるいは冷たい水を入れた洗面器に顔をつけできるだけ呼吸を止めると、迷走神経が刺激され正常に戻ることが多いので覚えておくとよいでしょう。
老人の高度の徐脈には人工ペースメーカーの植え込みが必要です。
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