→English 最新更新日:2013年2月14日

日本老年社会科学会  Japan Socio-Gerontological Society

最新刊案内:老年社会科学 2013.1 Vol.34-4
論文名 熟練ケアワーカーの臨床能力の評価
― 語りからみたケアワーク実践の分析を通して ―
著者名 向井 通郎
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学, 34(4):471-481,2013
抄録  本研究の目的は,高齢者介護施設においてケアがどのように実践されて,ケアワーカーが臨床能力を どのように獲得していくかを,実践現場の5 人の熟練ケアワーカーの語りに基づいて明らかにすること である.データ収集においては,模擬介護場面を設定しその実施方法について半構成的インタビューを 実施した.その結果,ケアワーク実践においては,支援のプロセス全体にわたり実践の根拠となる知識 や価値を確認しつつ,要介護者の個別的ニーズや支援の状況に応じた介入方法が繰り返し検討され,実 施されていた.この実践上の手続きを踏んで展開することは,実践科学の方法として位置づけられる. また職場内のコミュニケーションは,臨床能力としての知識や技術の継承ならびにケアワーカーとして の援助観の錬磨において重要な促進要因となる.
キーワード 臨床能力,ケアワーク,熟練ケアワーカー, 半構成的面接,質的研究
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論文名 介護サービス資源の地域格差と要介護高齢者のサービス利用
― 介護保険レセプトデータに基づく実証分析 ―
著者名 菊澤佐江子,澤井 勝
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学, 34(4):482-490,2013
抄録  本稿は,一自治体を事例として,介護保険サービスの供給における市町村間格差の現状をサービスご とに検討するとともに,要介護高齢者の介護保険サービス利用に関する個別データと地域のサービス事 業者数等を含む市町村データを併せた統合データを階層一般線形モデル(Hierarchical Generalized Linear Model;HGLM)によって分析することを通じて,居住地域におけるサービス供給等の地域要因 が,個別要因とともに要介護者の介護保険サービスの利用に及ぼす影響について,包括的に検証した.
 その結果,サービス供給量には地域間格差があり,とくに普及が相対的に進んでいるサービスで地域 間格差が大きいこと,また,要介護度や年齢等の個別要因を一定としても,施設介護,訪問介護,訪問 看護,デイサービスについて,居住地域のサービス供給量の多少は要介護高齢者のサービス利用に有意 な影響を与えていることが示された.
キーワード 介護保険制度,地域間格差,サービス供給,サービス利用,要介護高齢者
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論文名 高齢者施設における排泄ケアの協働を目的とした教育プログラムの介護職に対する効果
著者名 小岡亜希子,陶山啓子,形上五月,田中久美子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学, 34(4):491-499,2013
抄録  本研究の目的は,介護職と看護職が協働して排泄ケアを実践するための教育プログラムを実施し,そ の効果を検討するために,仕事・協働・排泄に関する介護職の認識の変化を明らかにすることである. プログラムの内容は,排泄の基礎知識と協働に関する講義および12 週間の排泄カンファレンスの実施 である.対象は,A 県内2 か所の介護老人保健施設に勤務する介護職52 人のうち,有効回答が得られた 26 人である.介入前,講義終了後,カンファレンス終了後の3 時点で経時的な変化を比較した.その結 果,排泄ケアの信念において,プログラム終了時点で「ケアによっておむつの使用を減らせる可能性が ある」という信念が有意に上昇した.しかし,職務満足感や仕事のコントロール感には有意な変化を認 めなかった.以上のことより,本プログラムの排泄ケア改善への有効性と協働を促進するための課題が 示唆された.
キーワード 協働,排泄ケア,カンファレンス,介護職,高齢者
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論文名 特別養護老人ホームにおける看取りケア実施状況と関連要因
著者名 島田千穂,堀内ふき,鶴若麻理,高橋龍太郎
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学, 34(4):500-509 ,2013
抄録  特別養護老人ホームで,看取りケア実施状況と体制上の関連要因を明らかにするため,施設内での療養後 死亡の実態とスタッフ・ケア体制,意向確認・説明の実施状況,連携の仕組み,ケアに対する自己評価との 関連を検討した.全国老人福祉施設協議会加盟施設1,200 か所を抽出し,各施設長あてに調査票を郵送して 看護職リーダーによる記入と返送を求めた.回収率は35.9%であった.退所者の死亡の内訳から,施設を3 群;施設内死亡なし群(n = 79),療養後死亡低群(n = 231),療養後死亡高群(n = 79)に分類し分析した. 療養後死亡高群は,夜間死亡時の医師の往診,および終末期ケアの意向確認の実施の割合が他2 群に比べて 高かった.利用者・家族とコミュニケーションを図り,施設職員のケアの技術を向上させることを通じて, 看取りケアが安定的に実施できる体制につながることが示唆された.
キーワード 特別養護老人ホーム,看取りケア,意向確認,医療連携,多職種間連携
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論文名 介護うつ
著者名 谷向 知,坂根真弓,酒井ミサヲ,吉田 卓,藤田君子,豊田泰孝,小森憲治郎
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学, 34(4):511-515,2013
抄録  高齢者人口の増加とともに要介護状態にある人も増加している.これまで介護負担に比べ,高齢者や 認知症の介護を行っている家族のうつに対する報告は多くはないが,50%以上の家族介護者でうつが みられる.介護うつが引き起こされる背景要因として,介護者側では「介護負担感」のほか,「介護者 自身の健康状態」「孤独感」が挙げられた.
 認知症の介護においては,認知症が中等度以上では介護負担全般においてうつとの相関がみられたが, 軽症群では介護負担感の下位項目は個人負担や役割負担とは相関せず,「将来どうなるかの不安」と「金 銭的余裕がないと思う」が介護うつを引き起こす要因と考えられた.また,認知症当事者の要因として は,初期には幻覚と興奮が,中等度以上では無為・無関心が介護うつと相関していた.
 介護うつは,介護負担とは似て非なるものであり,孤立させないように配慮し,時期やニーズに応じ た介入を当事者同様,介護家族にも行い,介護うつを防いでいくことが重要である.
キーワード 介護,うつ,家族介護者,高齢者,認知症
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論文名 認知症の人と暮らす人の“介護うつ”
著者名 原 昭
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学, 34(4):516-521,2013
抄録  少子高齢化のなか,認知症の人の介護は在宅での介護が推奨されている.介護者が増えることが考え にくい現状では,今後被介護者が増加することは容易に想像することができる.それでは,今後の介護 者の確保はどうすればよいのだろうか.それは,現在介護している介護者を支持し“ 介護うつ” になら ず介護をより長く充実したものにし,続けてもらうための支援が必要だと考える.とくに認知症の人の 介護の場合には,この介護環境の調整は重要で,介護者は“ 介護うつ” になりやすいといわれている. 介護にかかわる専門家は“ 介護うつ” にならないようなかかわりをする必要がある.
キーワード 認知症,介護うつ,看護
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論文名 家族からの実践報告
著者名 平田眞佐子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学, 34(4):522-524,2012
抄録  
キーワード
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論文名 介護うつ:認知症介護における介護者支援のための課題
-司法福祉の立場から-
著者名 湯原悦子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学, 34(4):525-530,2013
抄録  介護殺人のうち,被害者に認知症,加害者にうつがみられる事件は珍しくない.介護者は自身の体調 不良,被介護者のBPSD などを理由に将来を悲観し,被介護者を殺害,あるいは心中することがある. 介護者は健康なときにはだれかに相談するなど問題解決の道を見いだすことができても,うつになると 思考停止状態に陥り,心中こそが困難な現状を打開する唯一の道と考える傾向がある.
 ケアマネジャーや地域包括支援センター職員は,うつの介護者に対し傾聴する,受診を促すなどの支 援を行っている.しかし具体的な支援方法がわからない,うつの介護者に使えるサービスが乏しい,介 護者の支援にどこまでかかわればよいのかがわからないなど,うつの介護者の支援を困難にしている. うつの介護者を支援するにあたり,ケアマネジャーや包括職員のみならず,地域の保健師やかかりつけ 医,精神科医も含め,介護者自身を支援するシステムを地域に構築していくことが必要である.
キーワード 司法福祉,介護殺人,うつ,認知症,介護者
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日本老年社会科学会事務センター
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