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 研究事業報告 
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【 本事業の趣旨 】
 
終末期医療をめぐる諸問題には、歴史的文化的な背景による価値判断の相違や個人の死生観が影響するため、臨床上の意思決定には慎重な配慮が必要と考えられる。終末期医療の諸問題のなかでも、特に、経口摂取が困難となってからの人工的な水分・栄養補給(AHN: artificial hydration and nutrition)は、治療ではなく食事の代替と認識されることが多いため、その差し控えや中止は医学的にも倫理的にも法的にも受け入れ困難と、日本では一般的に考えられてきた。そのため、摂食困難な場合は、標準的に、経管栄養法あるいは静脈栄養法が施行されてきた。また、近年、経皮内視鏡的胃ろう造設術(PEG)によって比較的容易に胃ろうが造設可能となってからは、「食べられなくなったら胃ろうへ」が一般的な選択となってきている。
しかし、認知症の終末期においては、AHN による生存期間の延長効果もQOL 改善効果も非常に限定的で、総合的には患者の不利益と帰することが多いとする研究論文も発表されている。患者本人にとって最も苦痛の少ない最期を実現するためには、AHN は不要であると報告している研究もある。また、緩和ケアの進展やその考え方の一般市民への浸透のなか、生存期間の延長よりもQOL を重視する患者も増えつつあり、AHN なしで自然の経過に委ねたいと声をあげる市民・家族も増えつつある。一方、何らかの可能性がある限り、医療行為はすべて行ってほしいと考える患者家族もいる。
そこで、医学の伝統である延命最重視の考え方から多様な価値判断を許容する考え方へ発想を転換し、延命重視から自然な看取りまで、臨床現場において多様な選択肢を可能とするため、日本老年医学会など国内7つの老年関係学会で構成する日本老年学会は、認知症の終末期における AHN について、考え方の道筋となるものをまとめたいと考えるに至り、今回の事業を実施することとした。長期的な目標をガイドライン策定として、今年度はその基礎資料として、臨床現場の実態を把握し医療者の意識を探るため、日本老年医学会医師会員を対象とする量的調査、日本老年看護学会看護師会員を対象とする量的調査、臨床現場の看護師を対象とする量的調査、患者家族を対象とする面接調査を実施した。
また、摂食・嚥下困難という状態となった場合に患者側が主体的に臨床上の選択肢を検討することを可能にするため、患者本人と家族の意思決定を支援する『意思決定プロセスノート』の開発にも着手した。
本事業では、学会外から、コミュニケーション・プロセスを重視する意思決定に関して日本を代表する樋口範雄氏(法学)と清水哲郎氏(哲学・臨床倫理学)に参画頂いている。お二人からご指導を得て、欧米からの翻訳学習では対応困難な終末期医療問題への日本的なアプローチの道筋を示し、それによって、法的・社会的な問題のみならず、日本人の死生観や倫理感を踏まえた問題への対応の道も探ってまいりたいと考えている。
 
日本老年学会・日本老年医学会理事長 大内尉義
http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/




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【 はしがきより(抜粋) 】
 
我が国の特別養護老人ホームにおいては、入所(居)者の高齢化がますます進み、心身の疾病や障害が重度化し、ケアの困難さが増してきている。 このような特別養護老人ホームにおいては、入所(居)者の医療ケアと生活ケアも包含した全体的なケア提供を、資源を活用し、かつケア提供者の専門性 を活かした連携・協働の上で看護職が中心になってなされていくことが必要であると考える。
本研究班は、これからの特別養護老人ホームにおけるケアの提供方法や体制といったケア管理のあり方を提言することをねらいとし、看護職と介護職によ るケア業務の現状を明らかにするために実態調査を行った。本報告は、平成20 年度看護職のケア業務の実態と21 年度看護職および介護職によるケア業務の実態を明らかにした結果をまとめて報告、提言するものである。
 
平成20,21 年度 厚生労働省老人保健事業推進等補助金(老人保健健康増進等事業)
日本老年看護学会 介護施設の看護職におけるケア管理研究班
中島紀恵子 太田喜久子
平成22年(2010)年3月