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  専門看護師・認定看護師活動推進委員会報告

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公益社団法人日本看護協会が定めている資格制度に基づき、老人看護専門看護師は、複雑で解決困難な看護問題を持つ高齢者、家族及び集団に対して卓越した看護を実践し、関係者からの相談を受け、必要なケアが円滑に行われるために調整を行い、高齢者や家族の権利を守るための倫理調整、ケアを向上させるため教育的役割を果たし、さらに実践の場における研究活動を通して老年看護の質向上に寄与しています。また、認知症看護認定看護師は、認知症者とその家族および集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて、水準の高い看護実践を行い、指導相談を通して看護現場における認知症ケアの広がりと質の向上を図るために日々活発に活動しています。
一般社団法人老年看護学会はこれらの資格の誕生に関わっており、現在は専門看護師・認定看護師活動推進委員会がこれらの活動を一層活発にするために研修などを企画・運営することにより支援しています。
その一環としてCNSCN活動推進委員会では、老人看護専門看護師、認知症看護認定看護師の活動について会員・非会員を問わず広く知っていただき、理解を深めたいと考えHPに公表していくこととしました。概ね2か月に1回、報告内容を更新していく予定です。専門看護師、認定看護師の活動について理解を深めていただくとともに、看護実践の課題解決のヒントとして役立てていただければ幸いです。

Vol.21

Vol.20

Vol.19

Vol.18

Vol.17

Vol.16

Vol.15

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Vol.6

Vol.5

Vol.4

Vol.3

Vol.2

Vol.1

Vol.21-1
終の棲家で最期まで「私らしさ」を支えるケアを目指して
2016年認定 認知症看護認定看護師
株式会社東急イーライフデザイン グランクレール立川ケアレジデンス
坂牧 恵

プロフィ-ル写真

私が勤める株式会社東急イーライフデザインは「私らしくを、いつまでも。」を支えるため、東京と神奈川にシニア住宅15か所・介護住宅8か所・カルチャースクール等の運営(2023年8月1日現在)を展開しています。
私は介護付き有料老人ホームに勤務し、ご入居者の日々の健康管理や経管栄養等の医療行為、日常生活の援助を行っています。また、自部署での認知症ケア研修開催や会社での認知症多職種研修に講師として参加し、知識不足から不適切なケアとしてご入居者へ不利益を与えることのないよう、認知症ケアの質向上を目指して活動しています。
老人ホームは終の棲家となるため、入居時から最期を見据えてケアプランをたて、居心地良く第二の我が家のように過ごしていただけるように支援します。日々、介護職員をはじめとした多職種でその方にとっての最善のケアを模索しています。老化や中核症状、表出されている行動の理由をアセスメントできるようにアドバイスをしたり、考えるきっかけを作ることが私の役割であり、やりがいを感じています。
BPSDのなかにはケアだけではどうにもならないこともあるため、訪問診療医と連携し、薬物療法も実施します。薬物療法を開始した時は漫然と継続しないように、出現する可能性のある副作用を介護職員と共有し、観察・評価をしています。
看取りケアも提供しており、認知機能低下などから苦痛症状を適切に訴えることができないご入居者のアセスメントやケアの見直しを多職種で実施しています。日々行っているカンファレンスでは、ご入居者だけでなくご家族へのケアに対しても、固定観念にとらわれない様々なアイデアが介護職員からも出され、勉強になります。
認知症看護認定看護師として、時にリーダーシップをとりながら、終の棲家で「私らしくを、いつまでも。」を支え、よりよいケアの提供に貢献できるよう活動を継続していきたいと思います。
坂牧 恵(さかまき めぐみ)
2016年に認知症看護認定看護師の認定を受ける。社会医療法人大和会武蔵村山病院の認知症疾患医療センターで専従相談員として活動後、2020年より現所属。
Vol.21-2
「高齢者のこれまでの人生」を多職種チームと共有し最善のケアへつなぐ
2010年認定 老人看護専門看護師
江別市立病院
山下 いずみ

プロフィ-ル写真

私の勤務する江別市立病院は、昭和26年に開設された、急性期医療を担う地域の中核病院です。当院は、「いたわりの心をもって患者さん本意の医療を提供する」という理念を掲げ、多職種チームで取組んでいます。当院を利用する患者の60%は70歳以上の高齢者であり、そのうち40%が認知機能障害を抱えています。
私は、現在、患者支援センター・認知症疾患医療センターに所属し、入退院支援や療養相談、さらに、認知症ケア・精神科リエゾン合同チームの専任看護師として、多職種チームとともに高齢者ケアを実践しています。
私が活動の中で大切にしていることは、「高齢者のこれまでの人生」を多職種チームで共有し、高齢者にとって最善のケアへつなげることです。
先日、独居の認知症高齢者(70歳代、男性)が大腸がんに罹患し、ストーマ造設術の目的で入院してきました。ストーマ装具交換の手技をなかなか覚えることのできない高齢者に対し、多職種チームの中には、自宅へ戻ることは困難ではないかと考えるスタッフもいました。そこで、これまでの高齢者の人生を多職種チームで共有しました。高齢者は、認知症をもちながらも数年前に自宅で妻を看取った経験があり、現在は、妻との思い出がある自宅に帰るために、ストーマ装具交換の手技獲得を目標とし、入院生活を送っていたのです。高齢者の人生背景を知ったスタッフは、「手技獲得ができない高齢者」から「手技獲得をしようとしている高齢者」へと、見方を変えました。そして、多職種チームの思いがひとつになり、退院支援に取組むことができ、その結果、高齢者は自宅へ戻ることができました。
「高齢者のこれまでの人生」を知ることにより、高齢者の希望に共感し、希望を叶えるための支援を多職種チームで建設的に考えることができます。これからも院内外で高齢者に関わる仲間とともに高齢者にとって最善のケアを考え、実践していきたいと思います。
山下 いずみ(やました いずみ)
1997年3月札幌医療福祉専門学校卒業。同年4月から看護師として江別市立病院に勤務。2008年北海道医療大学大学院看護福祉学研究科修士課程修了(老年看護学専攻)後、2010年12月日本看護協会が認定する老人看護専門看護師の資格取得。 現在は、患者支援センター・認知症疾患医療センターの看護師長として勤務。