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  専門看護師・認定看護師活動推進委員会報告

2021/3/2 掲載

専門看護師・認定看護師の挑戦

-現場からの発信-

公益社団法人日本看護協会が定めている資格制度に基づき、老人看護専門看護師は、複雑で解決困難な看護問題を持つ高齢者、家族及び集団に対して卓越した看護を実践し、関係者からの相談を受け、必要なケアが円滑に行われるために調整を行い、高齢者や家族の権利を守るための倫理調整、ケアを向上させるため教育的役割を果たし、さらに実践の場における研究活動を通して老年看護の質向上に寄与しています。また、認知症看護認定看護師は、認知症者とその家族および集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて、水準の高い看護実践を行い、指導相談を通して看護現場における認知症ケアの広がりと質の向上を図るために日々活発に活動しています。
一般社団法人老年看護学会はこれらの資格の誕生に関わっており、現在は専門看護師・認定看護師活動推進委員会がこれらの活動を一層活発にするために研修などを企画・運営することにより支援しています。
その一環としてCNSCN活動推進委員会では、老人看護専門看護師、認知症看護認定看護師の活動について会員・非会員を問わず広く知っていただき、理解を深めたいと考えHPに公表していくこととしました。概ね2か月に1回、報告内容を更新していく予定です。専門看護師、認定看護師の活動について理解を深めていただくとともに、看護実践の課題解決のヒントとして役立てていただければ幸いです。

Vol.6 NEW

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Vol.1

Vol.6-1
スタッフへの認知症教育
―認知症高齢者の理解の促進に向けて―
2018年度認定 認知症看護認定看護師
東海大学医学部付属八王子病院 小川和之
 

私は地域医療を基盤とする大学病院に勤務しています。当院では「認知症ケア加算3」「せん妄ハイリスク患者ケア加算」を取得しており、私は病棟業務を中心に院内のコンサルテーションを担っています。活動する中で、日々課題が山積していることを実感しています。臨床現場にいるスタッフは、認知症に対する理解不足や苦手意識があり、対応の難しさに疲弊し、またジレンマを抱いています。その結果、身体拘束や鎮静薬使用に至るという状況があります。
その状況を改善するため「認知症高齢者の理解」を目標に、スタッフへの認知症ケアに関する教育を行っています。教育内容は、現場で対応に苦慮した事例を各部署から事前に提出してもらい、ディスカッション形式で行う検討会を行っています。 この院内での全体研修を年に4回行うほか、新人を対象とした「認知症の基礎知識・対応方法」の研修や「その人らしさを考える」をテーマとしたラダー別の研修を開催しています。
実践を通したスタッフ教育としては、不安から興奮状態になる患者さんに対して、ご本人の生活背景・趣味・嗜好・入院前の生活習慣を家族から聴取し、日中に趣味である英会話の勉強や本を読むなどを取り入れたことで、活動性の向上、睡眠の援助へも繋がり、生活リズムの調整ができ、笑顔で穏やかに過ごせる時間が増えた事例などの実際を紹介しました。その結果、なにもできないと感じていたスタッフから「私たちも実践してみます」とケアへの意欲が変化していきました。
その他、外来において自宅での介護に疲弊する家族の相談に応じています。病棟では職員を対象に高次脳機能障害や老年期の特徴を交えた認知症看護の研修を行いました。また、「認知症看護の質」というテーマでのオープンセミナーでは院外からも参加者を募っています。
現在、新型コロナウイルス感染症によりスタッフ教育にも制限がかかっています。先が見えない現状ですが、病院という特殊な環境の中でも認知症高齢者が自分らしくいられるよう、今後さらに認知症ケアを追求していきたいと思います。
小川和之(おがわ かずゆき)
前勤務は精神科病院(急性期閉鎖病棟、アルコール専門病棟、痴呆<当時>病棟)。現在は、脳神経内科・外科病棟を経て、整形外科、呼吸器外科病棟に所属しスタッフナースとして従事。認定看護師専用PHSを持ち院内の相談に組織横断的に活動している。
Vol.6-2
高齢者、職員の生活を守りながら感染予防に努める
2005年度認定老人看護専門看護師
有馬温泉病院 西山みどり
 

有馬温泉病院は、昭和47年に創立された医療療養型を中心としたケアミックスの病院です。瀬戸内海国立公園内にあり、みどり豊かな環境と源泉かけ流しの温泉を有しています。 
私は昨年の4月、看護部長に就任しました。元々、2020年度は電子カルテの導入と、インドネシアからの技能実習生の受け入れが予定されていました。そのため昨年の今頃は、その準備に追われる毎日でした。しかし新型コロナウイルス感染症の流行により世の中は一転し、当院においても感染対策の強化が喫緊の課題となりました。
例外にもれず当院も、状態の悪い方を除き完全に家族面会を中止し、玄関先での手指消毒や検温等の策を講じました。加えて職員には、高齢者が多く入院する病院に勤める者としての自覚を持ち、不要不急の外出を控え、徹底的に個人衛生に努めるよう、執拗に言い続けました。これにより、幸いこれまで感染症は予防できましたが、職員の不安と緊張感が増し、高齢者の表情が冴えない日々が続くという事態を招きました。そして初めて、感染症を正しく怖がること、職員のメンタルヘルスを守ること、それが高齢者の生活の質を維持することにつながると気付きました。
現在、家族面会に関しては電子媒体もしくは窓越しで顔を見て会っていただくという形をとっています。そして職員に対する私の関りとしては、できる限り足を止め傾聴し、我慢し通しの生活を労うとともに、体調不良時には気兼ねなく休める体制作りに努めています。
老人看護専門看護師になって15年、一人の人格を持った人として高齢者と関わること、心地よい日常生活援助を提供することを大切に、『高齢者ケアの質をあげる』の具現化に努めてきました。そしてその達成には、多くの職員の力が必要であると実感してきました。職員一人一人が心身ともに元気で居なければ、高齢者を元気にすることはできません。日常が再び訪れることを願って、今しばらくは高齢者、職員の生活を守りながら感染予防に努めたいと思います。
西山みどり(にしやま みどり)
2005年老人看護専門看護師の認定を受ける。神戸海星病院勤務を経て、2012年1月より有馬温泉病院に勤務。2020年4月より看護部長として、高齢者が今日を穏やかに、明日を楽しみに生活することができるようスタッフとともに努めてる。