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  専門看護師・認定看護師活動推進委員会報告

2020/7/6 掲載

専門看護師・認定看護師の挑戦

-現場からの発信-

 
公益社団法人日本看護協会が定めている資格制度に基づき、老人看護専門看護師は、複雑で解決困難な看護問題を持つ高齢者、家族及び集団に対して卓越した看護を実践し、関係者からの相談を受け、必要なケアが円滑に行われるために調整を行い、高齢者や家族の権利を守るための倫理調整、ケアを向上させるため教育的役割を果たし、さらに実践の場における研究活動を通して老年看護の質向上に寄与しています。また、認知症看護認定看護師は、認知症者とその家族および集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて、水準の高い看護実践を行い、指導相談を通して看護現場における認知症ケアの広がりと質の向上を図るために日々活発に活動しています。
一般社団法人老年看護学会はこれらの資格の誕生に関わっており、現在は専門看護師・認定看護師活動推進委員会がこれらの活動を一層活発にするために研修などを企画・運営することにより支援しています。
その一環としてCNSCN活動推進委員会では、老人看護専門看護師、認知症看護認定看護師の活動について会員・非会員を問わず広く知っていただき、理解を深めたいと考えHPに公表していくこととしました。
2回目となる今回は、老人看護専門看護師による高齢者の意思を支える実践・相談・調整・倫理調整の活動例と、認知症看護認定看護師が地域の人々と共に認知症の方が住み慣れた地域で暮らせるよう介入した訪問看護の実践例を紹介します。
これからも概ね2か月に1回、報告内容を更新していく予定です。専門看護師、認定看護師の活動について理解を深めていただくとともに、看護実践の課題解決のヒントとして役立てていただければ幸いです。
Vol.2-1
高齢者の意思を大切にしたい
2007年認定 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 高梨早苗
 

私は、国立長寿医療研究センターの「私たちは高齢者の心と体の自立を促進し、健康長寿社会の構築に貢献します」という理念のもと、GCNSとして高齢者のフレイル予防や認知症ケア、せん妄ケア、EOLケアなどに取り組んでいます。2014年当時、認知度が低かったフレイルについて、高齢者自身や関係者がその予防に取り組めるよう、多職種で教室を開催し、栄養や運動、生活習慣、ACPについて講義やワークなどを行い、教室のテキストをホームページや学会で配信しています。また、2011年に発足したスマイルチーム―人生の最終段階における患者と家族のQOLを保つために疾患にかかわらず介入するEOLケアチーム―に2014年に加入し、活動を行っています。
このような取り組みの中で、常に高齢者の意思や考えはどうなのかと自分に問いかけ、高齢者に聴き、想像し、ご家族、医療者、介護者といった人々と一緒に考えることを大切にしています。スマイルチームの一員として、病棟看護師や他職種と連携し、「ご本人の意思は?」という視点を中心におき、ご本人の微弱なサインの共有、苦痛症状のマネジメント、ご本人が意思表出できるような環境整備を行っています。意識変容がある高齢者に対し意識が明確な時を見計らったり、苦痛症状がある場合には最大限緩和を図り、感覚機能や認知機能低下を考慮し問いかけたりすることで意思表示が可能になることもあります。しかし、難しいときも多く、その場合、ご家族や医療者、介護者といった人々とご本人の意思を推定し「ご本人の最善のために、みんなで考えよう」といった関わりをしています。
これらの実践・相談・調整・倫理調整といった活動を通じて、「ご本人の意思は?」と問いかける、キャッチしようと取り組む、ご家族と一緒に考える、といった医療者が少しずつ増え、さらにチームにGCNS加入後、意思決定や倫理判断に関する依頼が増えています。現在、高齢者の意思を支える力を高めるため、ラダー別の教育を取り組んでいます。
どんな状況であっても高齢者の意思が大切にされるよう、GCNSとして支援していきたいと考えています。
高梨 早苗(たかなし さなえ)
2006年大学院修了後、西神戸医療センター(現:神戸市立西神戸医療センター)に就職し、2007年老人看護専門看護師の認定を受ける。2013年現職に就き、2018年より病院と長寿医療研修センターを兼務している。
Vol.2-2
地域で暮らす人々と共に認知症看護を実践する
2011年認定
医療法人ハートフリーやすらぎ 訪問看護ステーションハートフリーやすらぎ
笹山志帆子
 

当法人は、診療所、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、ナーシングデイの4つの事業があります。その中で私は、訪問看護ステーション、診療所で勤務しています。
診療所では、地域の方がいつでも気軽に認知症について相談できる場所を目指して、週1回もの忘れ看護外来を開いています。訪問看護では、認知症の方を担当して、認知症看護や家族支援を実践しています。
15年前の訪問看護では、『認知症の方に訪問看護が入る必要はあるのか?』『認知症があるので一人暮らしはできない、どこか施設に入った方がいい!』と地域の方やかかりつけ医、ケアマネジャーからの声がありました。認知症の方が住み慣れた地域で暮らし続けることができるように、認知症看護の正しい知識を得たいと考え、認知症看護認定看護師の資格取得を考えました。研修では『認知症の正しい知識』『認知症の人を中心とした考え方』が重要であることを学び、自分なりに地域で何ができるかを考えました。その結果、認知症だから一人暮らしができないと考えるのではなく、なぜ一人暮らしは難しいと思われているのかを考えるようにしました。その結果、必要である支援を見極めることで、一人暮らしが継続できるケースが増えてきました。 今では地域の方から『○○さん、今まできれいに玄関のところの花の手入れをしていたけど、最近は手入れができていないよ』などの情報をいただけるようになりました。
地域包括支援センター、ケアマネジャー、近医からの認知症の人への訪問看護の依頼も年々増えています。特に地域包括支援センターやケアマネジャーからは、夫と二人暮らしの方で、「毎日のように怒鳴り声が聞こえる」と近所の方から連絡が入り、虐待に繋がる可能性のある事案として訪問看護が導入される事例もあります。このような訪問看護の際には、特に本人と家族と信頼関係ができるように心がけ、同時に本人と家族の生活に関する考え方を聞き、認知症の進行状態に合わせた看護、家族支援を行うようにしています。
1例1例を大切に、その人の持つ力に着目し生活能力を最大限に引き出せるように、本人の意思を尊重し、その人にとって最善は何かを支援者や多職種と検討しています。今後も認知症の方、周囲の方々と話し合いながら、認知症の方が住み慣れた地域で暮らせるように認知症看護認定看護師として支援していきたいと思います。
笹山 志帆子(ささやま しほこ)
一般病院での勤務を経て、2004年医療法人ハートフリーやすらぎに入職し訪問看護を始める。2011年認知症看護認定看護師の認定を受ける。2016年日本認知症ケア学会関西2地域部会委員を受ける。2019年特定行為研修(栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連、創傷管理関連、精神及び神経症状に係る薬剤投与関連)終了後、2019年より医療法人の理事、訪問看護ステーションと診療所の師長を兼務している。