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  専門看護師・認定看護師活動推進委員会報告

2020/5/11 掲載

専門看護師・認定看護師の挑戦

-現場からの発信-

 
公益社団法人日本看護協会が定めている資格制度に基づき,老人看護専門看護師は,複雑で解決困難な看護問題を持つ高齢者,家族及び集団に対して卓越した看護を実践し,関係者からの相談を受け,必要なケアが円滑に行われるために調整を行い,高齢者や家族の権利を守るための倫理調整,ケアを向上させるため教育的役割を果たし,さらに実践の場における研究活動を通して老年看護の質向上に寄与しています.また,認知症看護認定看護師は,認知症者とその家族および集団に対して,高い臨床推論力と病態判断力に基づき,熟練した看護技術及び知識を用いて,水準の高い看護実践を行い,指導相談を通して看護現場における認知症ケアの広がりと質の向上を図るために日々活発に活動しています.
一般社団法人老年看護学会はこれらの資格の誕生に関わっており,現在は専門看護師・認定看護師活動推進委員会がこれらの活動を一層活発にするために研修などを企画・運営することにより支援しています.
その一環としてCNSCN活動推進委員会では,老人看護専門看護師,認知症看護認定看護師の活動について会員・非会員を問わず広く知っていただき,理解を深めたいと考えHPに公表していくこととしました.
今回は,老人看護専門看護師による高齢者の退院支援に関わる実践・相談・調整・倫理調整の活動例と,認知症看護認定看護師が入院早期からチームでせん妄リスクアセスメントを行い介入したことにより予防できた実践例を紹介します.
今後も概ね2か月に1回,報告内容を更新していく予定です.専門看護師,認定看護師の活動について理解を深めていただくとともに,看護実践の課題解決のヒントとして役立てていただければ幸いです.
Vol.1-1
CNSの役割と向き合い歩んだ10年の老人看護CNS活動報告
〜高齢者ケアをよりよくするため地道に歩みを進める〜
2009年認定 公立七日市病院 齊田綾子
 

私の所属組織は回復期〜慢性期医療を担う一般病院で、急性期治療を終えた患者の生活再構築支援を使命としています。私は配属病棟での看護実践活動を主体としながら他病棟でも直接的・間接的ケアを行う時間を与えられ、組織のニーズに応え高齢者・家族,スタッフのために何ができるかを問い続け活動してきました。
主なCNSとしての活動には退院支援があります。これは認定後2年間の実践・相談・調整・倫理調整の介入割合で退院困難事例が最多であったことや組織の使命から、優先されるCNSへの現場ニーズと捉え取り組んできたことです。取り組み当時、病棟看護師は退院支援に関心が高いものの、退院支援の流れの理解や退院後の生活を見据えたケアの見直しの必要性等のアセスメント不足があり、退院困難事例はMSWに依存傾向、院内・外の多職種間の調整が十分とは言えない状況でした。そこで、病棟看護師が主体となり退院支援を進められることを目指し、まずは病棟からCNSへの相談事例や、CNS自らが倫理調整等の必要性を判断した事例に対し、病棟看護師と共に必要な支援を検討・実践する過程を重ねていきました。特に院内・外の多職種をつなぐために多職種カンファレンスを推進しました。また退院支援チームを始動し、退院支援のフロー整備や退院支援ワークシートを作成して退院支援の全体像を可視化したり、連携施設が必要とする情報の調査結果を反映し退院サマリー項目の見直しにも取り組んできました。現在は、高齢者が安心して療養生活へ移行できるよう退院後訪問指導の運用を整備しバックアップしたり、訪問診療・訪問看護で在宅生活を支援している事例紹介の研修企画など、退院後の生活をイメージし支援できる看護師の育成に努めています。活動の成果として、多職種での退院支援の進捗の共有が積極的に行われるようになっています。
よりよい高齢者ケアの提供に貢献できるよう、今後も努力を続けていきたいと思います。
齊田 綾子(さいだ あやこ)
 1999年に富岡地域医療企業団の急性期病院に入職し、2003年より公立七日市病院で勤務。2009年にサブマネジャーとなり、同年12月老人看護専門看護師の認定を受ける。2020年4月までに、院内全病棟(障害者一般病棟,地域包括ケア病棟,回復期リハビリ病棟)での勤務を経験。2019年にマネジャーとなり病棟管理を担っている。
Vol.1-2
認知症のある方の入院生活を支えるチームアプローチ
2009年認定  社会医療法人蘇西厚生会 松波総合病院  住若智子
 

私は岐阜県にありますケアミックス型の病院に所属しています。当院は、ICU、HCU、一般急性期病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、障害者病棟を有する501床の病院で、地域の急性期から慢性期の医療を担っています。
主な活動は認知症ケアチーム(以下DST)の活動になります。週に2〜3回、多職種チームでのラウンド・カンファレンスを行ない「認知機能の低下がある入院患者が安心できる環境で適切な治療が円滑に受けられるようにサポートする」ことを目指しています。病棟看護師の「対応の仕方がわからない」という『困った』の相談や、認知症のある方の「ニーズは何か」や「苦痛や不快な症状はないか」などを本人に『聞く』ことや『言葉の代わりに何らかのサインを発信していないか』を観察し、スタッフと一緒に考えることを大切に活動しています。また、急性期治療の場ではせん妄を併発する患者が少なくありません。そのため、入退院センターにて入院前と入院早期に「せん妄リスクアセスメント」のチェックを導入し、「せん妄ハイリスク」となった患者はDSTが早期より介入を行なっています。例えばせん妄の既往がある方に、本人とご家族から入院前の生活の様子や前回入院時の様子などを聴取し、音や光を気にされることが分かると足音や話し声に注意し、テレビの電源の光を隠すなどの環境調整をします。同時に普段使われている時計や読んでいる新聞を持ってきてもらうなど生活の継続性を大切にすることをスタッフと共有し、身体治療だけでないケアの実践することでせん妄の予防ができた事例がありました。その他の活動として、施設内には老人保健施設や訪問看護ステーションがあり法人内の認知症ケアに携わっています。法人職員や地域住民向けの「認知症サポーター養成研修」や勉強会の開催など、認知症ケアの啓発活動を行なっています。
認知症のある方の入院生活での混乱を最小限にし、安全で安心できる療養環境を提供し、また住み慣れた地域に戻って行けるように今後も活動を行なっていきたいと思います。
住若 智子(すみわか ともこ)
 看護師免許取得後、地域に根付いた民間の病院に入職し、循環器病棟・内科一般病棟に勤務。2009年に認知症看護認定看護師の資格取得後、療養型病棟、地域包括ケア病棟での勤務を経験し、退院調整や地域との繋がりを学ぶ。2017年から現法人に入職し、法人内の認知症ケアに携わっている。