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  専門看護師・認定看護師活動推進委員会報告

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公益社団法人日本看護協会が定めている資格制度に基づき、老人看護専門看護師は、複雑で解決困難な看護問題を持つ高齢者、家族及び集団に対して卓越した看護を実践し、関係者からの相談を受け、必要なケアが円滑に行われるために調整を行い、高齢者や家族の権利を守るための倫理調整、ケアを向上させるため教育的役割を果たし、さらに実践の場における研究活動を通して老年看護の質向上に寄与しています。また、認知症看護認定看護師は、認知症者とその家族および集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて、水準の高い看護実践を行い、指導相談を通して看護現場における認知症ケアの広がりと質の向上を図るために日々活発に活動しています。
一般社団法人老年看護学会はこれらの資格の誕生に関わっており、現在は専門看護師・認定看護師活動推進委員会がこれらの活動を一層活発にするために研修などを企画・運営することにより支援しています。
その一環としてCNSCN活動推進委員会では、老人看護専門看護師、認知症看護認定看護師の活動について会員・非会員を問わず広く知っていただき、理解を深めたいと考えHPに公表していくこととしました。概ね2か月に1回、報告内容を更新していく予定です。専門看護師、認定看護師の活動について理解を深めていただくとともに、看護実践の課題解決のヒントとして役立てていただければ幸いです。

Vol.17

Vol.16

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Vol.1

Vol.17-1
認知症ケアの質向上を目指して-認知症高齢者とのコミュニケーションを大切に-
2009年認定 認知症看護認定看護師
愛媛県立新居浜病院
真鍋光子

愛媛県新居浜市は高齢化率が32.2%(2020年)と全国平均より高く、当院の入院患者の約70%(小児・産科を除く)は65歳以上の高齢者です。そして、高齢者の入院増加に伴い認知機能障害を認める患者が増加しており、2020年度は高齢者の約13%が認知機能障害を認めていました。そこで、2021年度より認知症高齢者ケアの質向上を目的に、認知症ケアワーキンググループを設置しました。認知症ケアワーキングは看護師長2名、各部署から選出された看護師で構成されています。
認知症ケアワーキングで特に力を入れているのは、身体拘束解除への取組みです。現場が身体拘束を必要と判断する視点は「興奮する」等、医療者側の視点が中心となっていました。このため「興奮するのは何故か、何を訴えたいのか」と興奮することが認知症高齢者の訴えであり、コミュニケーションの方法であると捉え、認知症ケアワーキングメンバーや病棟看護師に考えてもらい疼痛や睡眠管理の支援に繋げました。看護師たちは、興奮や大きな声を出すことを”トイレに行きたいから”、”喉が渇いているから”、”疼痛があるかもしれない”等認知症高齢者の視点で原因を考え、ケアを実践しています。
2022年度は、新卒看護師と私で認知症高齢者やせん妄発症患者のラウンドをしています。コロナ禍の実習では、患者とのコミュニケーションが十分できなかった現状があります。認知症高齢者とのコミュニケーションを振り返り、自分の考えを述べてもらうようにしています。新卒看護師たちは「緊張する」と話し、会話が途中で途切れてしまう時もあります。しかし、コミュニケーションを振り返り「以前の職業や生活習慣などを知らないとだめだと思った」と反応があります。
新卒看護師には、「この人はどんな人だろうか、何を大事にしているのか、何が言いたいのだろう」という意識を持ち関わってほしいと伝えています。そして、新卒看護師にうれしい変化がありました。自分からあまり訴えない患者が、唯一笑顔になるのは家族の話題であることに気づき、意識的に家族の話題を提供、患者は少しずつ自分のことを話すようになり、「家に帰りたい」という意思を表出することができていました。また、ご家族が荷物を持参された時に、患者のご家族に対する感謝の気持ちや、「家に帰りたい」という意思を伝えることもでき、ご家族は「気持ちを知ることができてよかった」と涙を流された、という記録が残っていました。
今後も認知症高齢者とのコミュニケーションを大切に、認知症高齢者をとりまく医療スタッフと一緒に考えながら、看護実践を一つ一つ積み重ねて行きたいと思います。
真鍋 光子(まなべ みつこ)
看護師免許取得後、愛媛県立病院に入職
2009年認知症看護認定看護師の資格取得
2010年愛媛県立新居浜病院に転勤、2018年より地域医療連携室所属
Vol.17-2
ケアの質と経営に責任をもって
2009年認定 老人看護専門看護師
(株)在宅看護センターくるみ 代表取締役
田中和子

プロフィール写真

私は2009年に認定を受け、主に訪問看護ステーションで活動してきました。訪問看護は経営上の厳しさがあり、ケアの質だけを目指していても、組織の理解は得られない現場です。しかし、ケアの質と経営は、本来比例するはずであり、両方に責任をもつ立場でやってみたいと考えました。そして2021年に東京都調布市に株式会社を設立し、深大寺元町訪問看護ステーションを開設しました。
事業の将来性と自身の信頼性をアピールして融資を受けることから始まり、場所の選定、スタッフ募集と初めての経験ばかりでした。共に頑張ってくれる仲間に巡り会い、なんとか開設にこぎ着けました。数ある訪問看護ステーションの中から、まだ無名の当事業所にご依頼をいただくことが奇跡のように思え、1件1件、ご縁を感じながら訪問させていただいています。
また、調布市では9月を認知症サポート月間として様々な催しをしており、今年度初めて調布市訪問看護ステーション協議会も参加団体になりました。私は協議会役員として企画リーダーをつとめ、他の役員と有志のメンバーと共に、市民に訪問看護師の認知症ケアを知ってもらい活用してもらうためのパンフレット「訪問看護の認知症ケア~私たちにできること~」を作成し、配布しました。そこでは、失行などの症状に気づきケアを工夫していることや、言葉にならない苦痛を察知していることや、持てる力に目を向けてケアをしていることなどを事例で説明しています。もう一つの企画として、認知症に関心を持ってもらうために29事業所の看護師たちが、認知症月間のオレンジ色のプレートを自転車、自動車につけ、オレンジ色のマスクをつけて、訪問時に町中を走り回りました。看護師同士が道で出会うと、仲間意識が生まれ、声を掛けあったということや、市民と認知症について話す機会があったという声が聴かれています。
これからも一歩一歩、歩んでいきます。
田中 和子(たなか かずこ)
2009年に老人看護専門看護師の認定を受ける。病院と訪問看護ステーションの横断的役割を経た後、訪問看護ステーションで活動。2021年より現職。