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  専門看護師・認定看護師活動推進委員会報告

2021/1/8 掲載

専門看護師・認定看護師の挑戦

-現場からの発信-

公益社団法人日本看護協会が定めている資格制度に基づき、老人看護専門看護師は、複雑で解決困難な看護問題を持つ高齢者、家族及び集団に対して卓越した看護を実践し、関係者からの相談を受け、必要なケアが円滑に行われるために調整を行い、高齢者や家族の権利を守るための倫理調整、ケアを向上させるため教育的役割を果たし、さらに実践の場における研究活動を通して老年看護の質向上に寄与しています。また、認知症看護認定看護師は、認知症者とその家族および集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて、水準の高い看護実践を行い、指導相談を通して看護現場における認知症ケアの広がりと質の向上を図るために日々活発に活動しています。
一般社団法人老年看護学会はこれらの資格の誕生に関わっており、現在は専門看護師・認定看護師活動推進委員会がこれらの活動を一層活発にするために研修などを企画・運営することにより支援しています。
その一環としてCNSCN活動推進委員会では、老人看護専門看護師、認知症看護認定看護師の活動について会員・非会員を問わず広く知っていただき、理解を深めたいと考えHPに公表していくこととしました。概ね2か月に1回、報告内容を更新していく予定です。専門看護師、認定看護師の活動について理解を深めていただくとともに、看護実践の課題解決のヒントとして役立てていただければ幸いです。

Vol.5 NEW

Vol.4

Vol.3

Vol.2

Vol.1

Vol.5-1
認知症のある方の思いを大切にする看護の実践を目指して
2012年度認定 認知症看護認定看護師 小川赤十字病院 大石 留美子
 

私が勤務する病院は、「人口高齢化に対応するために、老年期疾患に対して総合的に取り組みます」を基本方針の一つに掲げチーム医療を実践し、「人を大切にする看護を実践いたします」の看護理念のもと、一人一人の看護師が日々の看護に取り組んでいます。
私は看護部に所属し、もの忘れ外来や認知症カフェの運営、認知症ケアチーム・認知症初期集中支援チームの一員として院内外問わず、組織横断的に認知症ケア活動を実践しています。主な活動は、認知症ケアチームの活動になります。週 1回、多職種チームで病棟ラウンドとカンファレンスを行い、認知症または認知機能低下のある方が入院しても穏やかに過ごせるよう、入院早期からサポートをしています。
当院は、入院される6割が70歳以上となっており、身体疾患による苦痛や環境の変化などでせん妄や行動心理症状を発症する方は少なくありません。認知症ケアチームラウンドの際、慣れない環境の中で不安を感じ、なじみの環境を求めて「ここはどこですか?」「家に帰ります」などを繰り返し訴える患者さんがいらっしゃいます。それに対し臨床現場では「ここは病院ですよ、さっきも言いましたよね」「入院しているのだから帰れません」など、医療者の当たり前を押し付け、患者さんが混乱し興奮状態となるケースが多くみられます。その際、なぜ患者さんは繰り返し今いる場所を確認し、家に帰りたいと訴えているのかを病棟スタッフとベッドサイドへ足を運び、ともに考えるようにしています。そうすることで、患者さんの言葉の裏にある真の思いを見出すことができ、最善のケアを提供することができるのだと思います。認知症ケアは、私一人の力ではなし得ることはできません。認知症看護認定看護師として、認知症ケアチームメンバーや病棟スタッフ、患者さんを取り巻くすべての医療従事者と協働して認知症ある方の思いを大切にする看護を実践し、入院しても穏やかに生活できるようにサポートをしていきたいと思います。
大石 留美子(おおいし るみこ)
看護師免許取得後、小川赤十字病院に勤務。2012年認知症看護認定看護師の資格取得。外科・整形外科・内科・精神科病棟で勤務後、現在は看護部に所属して組織横断的に認知症ケア活動をしている。
Vol.5-2
高齢者へ最善の医療とケアの提供にむけて
2011年度認定老人看護専門看護師
社会医療法人畿内会 岡波総合病院  市川 智子
 

当法人は介護老人保健施設、居宅介護支援事業所、訪問看護ステーションを併設しており、住民が住み慣れた地域で安心して暮らせることを目指し医療や福祉を提供しています。私は、一般病棟、回復期リハビリテーション病棟、障害者等病棟などケアミックスの医療機関に従事しています。
GCNSとして認定を受けた当初、自分に何が求められているのかわからず手探り状態でした。そのため、積極的に法人内をラウンドし、スタッフや管理者と困り事を共有するよう努めました。その結果、次第に認知症ケア、せん妄ケア、人工栄養法導入の意思決定支援など取り組むべき課題が明確となりました。認知症の知識不足からスタッフが苦手意識を抱いていたため、勉強会で知識を補いながら、スタッフとともにケアの振り返りを行うことで、知識と現象を結び付けられるよう働きかけました。また疼痛や身体拘束、薬剤を要因としたせん妄が引き起こされていたため、せん妄要因や言語的表現が難しい高齢者に対する疼痛の評価方法の周知、せん妄予防・発症時の薬剤一覧表の作成と同時に、医師・薬剤師と連携し電子カルテ上の不眠・不穏時の薬剤を修正しました。ラウンド開始当初、経口摂取が困難な高齢者に対し経管栄養法が導入されることが多かったため、2012年に日本老年医学会が公表した「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン」を院内に紹介し、人工栄養法の意思決定の際、ガイドラインに沿い支援していきました。この後、スタッフが本人に意向を確認し、多職種間で本人にとっての最善の検討を行う姿をよく目にするようになりました。
当初把握した課題については、法人全職種に働きかけられるよう看護職や介護職のラダー教育、事務員研修などに高齢者ケア、認知症ケア、意思決定支援の内容を組み込んでいきました。活動する中で、高齢者に最善の医療やケアを提供するためには、地域住民を巻き込む必要性を痛感するようになりました。地域住民や介護施設職員を対象とした出前講座の開始に合わせ、老化や認知症、終活についての講座を担当し、老いや認知症を自分のこととして捉え、最期の時に向け考えてもらえるような時間を提供しています。
GCNSの認定を取得し10年が経とうとしています。今後も高齢者へ最善の医療とケアを提供するために、自分に何が出来るのか考え続けていきたいと思います。
市川 智子(いちかわ ともこ)
2010年大学院を修了し、社会医療法人畿内会 岡波総合病院へ入職。2011年老人看護専門看護師の認定を受ける。