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  専門看護師・認定看護師活動推進委員会報告

2021/9/9 掲載

専門看護師・認定看護師の挑戦

-現場からの発信-

公益社団法人日本看護協会が定めている資格制度に基づき、老人看護専門看護師は、複雑で解決困難な看護問題を持つ高齢者、家族及び集団に対して卓越した看護を実践し、関係者からの相談を受け、必要なケアが円滑に行われるために調整を行い、高齢者や家族の権利を守るための倫理調整、ケアを向上させるため教育的役割を果たし、さらに実践の場における研究活動を通して老年看護の質向上に寄与しています。また、認知症看護認定看護師は、認知症者とその家族および集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて、水準の高い看護実践を行い、指導相談を通して看護現場における認知症ケアの広がりと質の向上を図るために日々活発に活動しています。
一般社団法人老年看護学会はこれらの資格の誕生に関わっており、現在は専門看護師・認定看護師活動推進委員会がこれらの活動を一層活発にするために研修などを企画・運営することにより支援しています。
その一環としてCNSCN活動推進委員会では、老人看護専門看護師、認知症看護認定看護師の活動について会員・非会員を問わず広く知っていただき、理解を深めたいと考えHPに公表していくこととしました。概ね2か月に1回、報告内容を更新していく予定です。専門看護師、認定看護師の活動について理解を深めていただくとともに、看護実践の課題解決のヒントとして役立てていただければ幸いです。

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Vol.10-1
超高齢化の進む地域での認知症ケア 〜地域の活性化をめざす取り組み〜
地方独立行政法人 長野県立病院機構
長野県立阿南病院認知症看護認定看護師
西森 則子
 

自施設の診療圏は、中山間地域で高齢化率が45.4%と高く、高齢者夫婦や独居高齢者が多い地域です。また、へき地医療拠点病院に指定されていて、医療が行き届かない無医地区へ、巡回診療も行っています。診療圏は不便な地域ですが、その地に暮らす方々は、その不便さを受容したうえで、愛着を持ち生活を継続しています。こうした、自施設を取り巻く状況から、看護部のビジョンを「地域を守り・医療を守り・看護を守る」と掲げています。
私は、2014年に認知症看護認定看護師(以下DCN)の資格を取得しました。高齢化の進む地域の要望から、病院の計画に「認知症なんでも相談室」が上げられ、資格取得直後から看護外来として開始しました。認知症の診療体制が無い状態で看護外来を行うには、地域とつながりを作ることが大切だと考えました。そこで、院内の許可を得て地域の保健師会に参加させていただき、認知症ケアに対する研修を行いました。その事をきっかけに、地域ケア会議の出席や認知症に対する出前講座、認知症サポーター養成講座を行い相談しやすい関係性の構築に努めました。地域へ出ることで、当事者や対応に困窮している介護者の方からの相談を受けることが多くなりました。
アルツハイマー型認知症になった実母の事で、何度も相談に来られた方が「最初は外に出て行ったり、排泄を失敗したり、手を煩わす事が多かった。あの頃は、ずっと続くのではないかと感じていた時に話が出来て楽になった。でも、月日が経ち、じっとしている母を見るとあの頃のほうが良かったと感じる。」と話をしてくれました。相談する方も相談の当事者も、笑顔で過ごせるような関わりが出来るようにしたいと思ったきっかけとなりました。
高齢者看護外来は月に1度ですが、当院に通院する患者さんを対象に本人・家族の困り事を把握し、ケアの提案と地域との連携、神経内科の医師と協働し在宅療養を支援しています。
また、入院中の高齢者や認知機能が低下している方へ、生活の質を維持できるような関わりとして院内デイを計画し、2015年から連日行っています。2016年からは、病院内で「認知症カフェ」を開始しました。DCNとして、認知症カフェを「楽しい場」になるように関わりました。活動には消極的になってくる高齢の方々が、得意な裁縫を教えてくれたり、カラオケで得意気に歌を披露してくれたりしました。季節毎の行事を参加者が中心となって進めたことで、楽しい集いの場となったようです。また、DCNが認知症の話や参加者の様子から家族などへの助言も行いました。相談とは別の立ち位置から地域の方と関わることができました。(昨年4月から、COVID-19の関係で院内開催を休止しています。)
地域の方々と関わる活動は私自身の学びになりました。そして、その活動は地域活性化の一助になったのではないかと感じています。現在、COVID-19の関係から地域活動は縮小傾向にあります。今後DCNとして、地域への関わりを検討していきたいと思っています。
西森 則子
東京都生まれ。
看護師免許取得後、東京大学医学部付属病院勤務。 その後、長野県立阿南病院勤務。
平成26(2014)年 認知症看護認定看護師の資格取得
平成29(2017)年 地域連携室長として入退院調整業務
令和  1(2019)年 病棟看護師長
令和  2(2020)年 副看護部長
*認知症看護認定看護師としての業務を並行して行っている。
Vol.10-2
病棟スタッフによるケアの変化を積み重ねて、高齢者の生活を支える
愛媛大学医学部附属病院
 老人看護専門看護師 曽根 司央子
 

私の勤務する愛媛大学医学部附属病院は、松山平野の南東部に位置した自然豊かな環境にあります。愛媛県唯一の特定機能病院であり、「患者から学び、患者に還元する病院」を基本理念に地域に根差した医療を実践しています。
私は歯科口腔外科・泌尿器科病棟に所属しています。手術や化学療法など積極的な治療を受ける高齢者が多いのですが、治療に関わる意思決定は家族に委ねられることもあります。特に認知症高齢者のケースでは、治療が進んでいく中で本人の意思が確認できず、スタッフが「本当にこれでよいのか」と悩むことがあります。そのため、認知症高齢者の思いを引き出す関わりについてスタッフと一緒に考えることから始めました。高齢者の意思決定を支援するためのケアについて話し合い、身体状態を良好に保つこと、認知機能や聴覚などの身体的・精神的状態に応じたコミュニケーション方法の工夫の大切さを伝えています。関わり方の工夫によって、認知症高齢者の思いを引き出すことが可能なのだとスタッフが気づくことで、患者さんが大切にしてきた人生についての思いを知ろうとスタッフの意識が変化しています。高齢者の意思決定支援については、まだたくさんの課題があります。まずは、目の前の高齢者を私たちが知ろうとすることが、高齢者にとっての最善を考える第一歩になることを伝えていきたいと思います。
急性期病院では治療が優先されますが、治療の後にも高齢者の生活は続いていきます。そのため、疾患や障害とともに生きていく高齢者の生活を整えることも大切となります。食事や排泄といった日常生活を整えること、そして、その人の生活環境や価値観によって形づくられた生活を支えることの大切さについても一つ一つのケースに丁寧に取り組みながら伝えていく必要があると考えています。病棟スタッフの高齢者に対する意識やケアの変化は少しずつです。けれど、小さな変化を積み重ねていくことが今の私にできることだと思います。小さな変化がやがて大きな変化となり、高齢者ケアの質向上に繋がるように病棟での看護実践に取り組んでいます。
曽根 司央子
2008年に愛媛大学医学部附属病院へ入職。脳神経外科病棟、回復期リハビリ病院勤務を経験。2018年に大学院を修了後、同病院の歯科口腔外科・泌尿器科病棟で勤務。同年老人看護専門看護師の認定を受ける。