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  専門看護師・認定看護師活動推進委員会報告

2020/9/15 掲載

専門看護師・認定看護師の挑戦

-現場からの発信-

公益社団法人日本看護協会が定めている資格制度に基づき、老人看護専門看護師は、複雑で解決困難な看護問題を持つ高齢者、家族及び集団に対して卓越した看護を実践し、関係者からの相談を受け、必要なケアが円滑に行われるために調整を行い、高齢者や家族の権利を守るための倫理調整、ケアを向上させるため教育的役割を果たし、さらに実践の場における研究活動を通して老年看護の質向上に寄与しています。また、認知症看護認定看護師は、認知症者とその家族および集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて、水準の高い看護実践を行い、指導相談を通して看護現場における認知症ケアの広がりと質の向上を図るために日々活発に活動しています。
一般社団法人老年看護学会はこれらの資格の誕生に関わっており、現在は専門看護師・認定看護師活動推進委員会がこれらの活動を一層活発にするために研修などを企画・運営することにより支援しています。
その一環としてCNSCN活動推進委員会では、老人看護専門看護師、認知症看護認定看護師の活動について会員・非会員を問わず広く知っていただき、理解を深めたいと考えHPに公表していくこととしました。概ね2か月に1回、報告内容を更新していく予定です。専門看護師、認定看護師の活動について理解を深めていただくとともに、看護実践の課題解決のヒントとして役立てていただければ幸いです。
Vol.3-1
認知症の人の「その人らしさ」が発揮できる生活を目指して
2015年認定 長浜市立湖北病院 馬場直哉
 

私が勤務する病院は滋賀県の北部にあり、山間部への出張診療を担う“へき地中核病院”です。一般急性期病棟、地域包括ケア病棟、療養病棟があるケアミックス型の病院です。また、介護老人保健施設や介護老人福祉施設を併設しており、地域包括支援センターも院内に開設しています。  
病院では外来に所属し、認知症サポートチームや院内デイケアで活動しています。認知症サポートチームでは、認知症の人が入院した場合に、所属の強みを生かし、外来受診時の様子や生活歴などの情報を多職種カンファレンスの場で提供し、入院中も在宅での生活とできるだけ差がないように普段の暮らしから想像し、本人に確認しながら環境を整える工夫をしています。
院内デイケア開催時は進行役を務め、認知症の人が入院生活で薄れていく季節感を取り戻してもらえるように、季節ごとの懐かしい歌を選んで一緒に歌っています。レクリエーションには体操などを取り入れ、多職種もかかわり、一緒に楽しむことができるようにしています。院内デイケアに参加される方が互いに声をかけ合い、人と人との交流が自然と生まれるような雰囲気づくりを大切にしています。
認知症ケア専門講座として院内職員向けの研修を開講していましたが、認知症の人が地域で暮らしていくには、地域の福祉・介護に携わる方々とも繋がり一緒に考えることが必要と思い、現在は院内外から職種を問わず受講していただくようにしています。
独居の高齢者や高齢者夫婦で、受診日に来院されないことや、処方された薬を失くして来院されるときなどは、院内にある地域包括支援センターの職員と連携して、今の暮らしを継続できるように対応しています。ただ、どこまで今の暮らしが続けられるか悩ましいケースも多くあります。
これからも認知症の人が入院した場合、入院生活や地域での生活が「その人らしく」ありうるかという事を、関わる全ての人が考えたいと思えるように取り組んでいきたいと思います。
馬場 直哉(ばば なおや)
1992年に近江八幡市民病院に入職し、1995年より長浜市立湖北病院に勤務する。2015年に認知症看護認定看護師の資格を取得後、急性期病棟・地域包括ケア病棟を経て、現在は外来に所属し、認知症の人のケアに携わっている。
Vol.3-2
高齢者の日常や価値観を知って関わる大切さを伝えたい
2010年認定 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 山元智穂
 

私の勤務する虎の門病院は、「その時代になしうる最良の医療を提供する」という理念を持つ急性期病院です。現在は高齢者総合診療部という多職種チームに所属し、CNS個人、チームとして、主に病棟でのコンサルテーション活動を行っています。
コンサルテーションの内容で最も多いのは“せん妄への対応”です。当院では緩和ケアチーム、リエゾンチーム、高齢者総合診療部という横断的活動を行うチームが各々、せん妄への相談に対応してきました。2019年にはこの3つでチームの垣根を越えたワーキンググループを作り、病院全体でのせん妄対策づくりに着手しました。マニュアルの整備や勉強会の開催、記録方法の充実化などを行った結果、現在では入院患者全員を対象にせん妄リスクを評価し、ケアプランを立てられる仕組みが整えられました。GCNSとして、せん妄のハイリスクとなる高齢者には、個々の持つ習慣や価値観を踏まえ、環境へ働きかけることが重要だと伝えてきました。病棟ラウンドの際は積極的にスタッフと情報交換を行い、患者の言動を正しく理解できているかという視点で話し合うようにしています。
その他にも行動制限に関するワーキンググループに参加し、講義や体験学習、事例検討などで構成されるスタッフ向けのワークショップを開催しています。担当する講義では、私たちが問題視している行動にはその人なりの意味があること、そこには加齢や疾患による機能変化、馴染んだ生活や価値観が影響していることを、丁寧に伝えるようにしています。身体拘束の実施数が減ってきたことは、こうした取り組みの成果だと考えています。
GCNSとして何よりも、高齢者の“人としての尊厳”を守れる存在でありたいと考えています。高齢者の日常や価値観を知って関わることの大切さを、これからも伝えていきたいと思います。
山元 智穂
2007年に大学院を修了。同年社会福祉法人浴風会 浴風会病院に就職し、一般病棟、医療療養病棟、介護療養病棟(認知症対応)で勤務後入退院支援看護師として活動。2017年より現職。老人看護専門看護師の取得は2010年。