入院(入所)時、高齢者やご家族に対しては、感染対策、面会制限の必要性などをわかりやすく丁寧に説明します。面会制限の中でも安心して、心地よい日常生活が過ごせるよう高齢者やご家族と検討をします。ご家族に対しては、面会制限下での連絡手段や連絡頻度を伝え、ご家族の心配に配慮して関わります。
→ Q3.対面式の面会にかわる方法 及び
コロナ禍での入院(入所)中は、面会やアクティビティケアなどが制限されることがあります。制限下でも高齢者が安心・安全に過ごし、心身の機能低下を抑えるようなかかわり、いつもどおりの丁寧な日常生活援助が必要です。
職員全員がマスクを装着しており、目しか見えず表情が分かりにくい状況です。
家族との面会禁止、入院による環境変化等の刺激の減少による心身機能の廃用やせん妄予防のため、以下のようなケアを積極的に行います。
高齢者と家族の絆を大切にするため対面式にかわる方法としてオンライン面会、窓越し・ガラス越し面会、電話連絡、高齢者の写真付きのはがきを家族宅へ郵送するなどの様々な取り組みが行われています。
面会人数・時間を決め、健康確認と個人防護具(PPE)装着を行い、面会を許可している施設が多いようです。
ワクチン接種は進んでいますが、変異株の出現で複数の都道府県に緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が実施されていることから、感染経路の遮断という観点で多くの病院・施設で面会制限が継続されている状況です。
施設によっては、手術や検査、病状説明や看取りに際して面会制限を緩和している場合もあります。その際も、面会者の健康観察・マスク着用の上、人数や時間の制限、患者との関係性や面会者の居住地域によって制限を設ける場合が多いようです。(2021年9月1日時点)
認知機能に障害のある高齢者は、記憶障害、見当識障害などから、現在どのような状況にあるのか理解することが困難な場合が少なくありません。また、現状の説明を聞いても忘れてしまうことがあります。本人にわかりやすい言葉を探し、納得できるように説明する必要があります。忘れてしまう場合には、メモや説明文を作成し覚えやすいようにすることが有効です。
認知機能に障害のある場合は、記憶障害等から現状が理解しにくいです。また、面会制限になっている理由を覚えて実行することが難しい場合もあります。
まずは、職員自身が感染源にならないように標準予防策を遵守しています。個人防護具(PPE)の装着、手洗い・消毒を徹底しています。そして、高齢者にも標準予防策が遵守できるように関わっています。人との接触が感染リスクになりますので、高齢者が3密(密閉・密集・密接)にならない空間で生活できるように環境整備をしています。また、換気や患者同士の間隔を空ける(空間分離)、時間をずらす(時間分離)、デイルームなど人が集合する場所の利用を控える、使用物品の消毒を徹底しています。
活動自粛によりフレイルが進行すると、感染症リスクが高まるため、身体的状態、認知機能、精神状態を整えるケア、オンラインや電話などによる家族との関係性の維持も感染の予防につながります。
個室隔離やゾーニング(病原体によって汚染されている区域 (汚染区域)と汚染されていない区域(清潔区域)を区分けすること)によって行動制限が生じるので、行動制限の範囲やその必要性、個人防護具(PPE)装着によって職員や介護者の姿(服装)が普段とは異なることを丁寧に説明します。行動制限は不安を増すので、緩和できるようなケアを工夫しています。
個室隔離による行動制限や職員が訪室するまでに時間を要することを説明します。個人防護具(PPE)装着によって個々の職員の見当がつきにくいことへの配慮も必要です。また、行動制限の中の不自由さを少しでも解消できるように、療養環境を整え、入院前の日常生活が継続できるようにケアを心がけています。
→ Q1.(例) 参照
患者にとって感染対策をした職員の姿は、これまで見たことのない姿であることを心に留めておくことが必要です。その上で、高齢者の不安を取り除けるようなコミュニケーションの工夫やリスク防止を行います。
新型コロナウイルス感染症の治療の場では、一般に廃用症候群のケア・予防として推奨される関わりを行うことが難しくなります。面会制限のみならず、患者同士や職員との会話も減少し、大勢で行うレクリエーションが難しくなります。また、新型コロナウイルス感染症の病棟や病室には私物の持ち込みも制限されるため、個別の気分転換にも工夫が必要となります。
他職種と普段から顔の見える関係を構築し、相談体制を整えていくことが重要です。
入院時から病状悪化を予測して、高齢者本人の意思が尊重された医療が提供されるように支援することが基本になります。病状説明は高齢者本人へ行うことが基本であり、入院時、病状変化時に繰り返し意思を確認していきます。意思の表出や意思決定できない場合も考慮し、キーパーソンや代理意思決定者を確認し、急速な判断が求められる家族の心情にも配慮しながら意思決定を支援します。
高齢者のキーパーソンとなっている家族も新型コロナウイルス感染症に罹患している場合は、その他の家族・支援者の存在を確認し、その方に伝えています。しかし、感染している家族しかいない場合、家族が自宅やホテルで療養をしていれば、家族の体調も確認し配慮しながら、電話やオンラインにより高齢者の状況を伝えています。家族が病院入院中であれば、保健所・家族が入院中の病院と連携し、病状を確認し合い、退院支援・調整を行っています。家族が濃厚接触者になっている場合は、家族の体調も確認し配慮しながら、電話やオンラインにより高齢者の状況を伝えています。
家族自身が新型コロナウイルスに罹患したり、濃厚接触者になっている場合は、自分の病状に対する不安や心配、恐怖を抱いていることが考えられます。そのため、高齢者の状況を伝える前に、まずは家族の体調や精神状態を聞いています。そして、高齢者の状態を、いつ、誰に、どのように伝えたらよいのかを確認し、家族が希望する方法で高齢者の状態を伝えています。
近隣の医療機関や高齢者施設でのアフターコロナの高齢者の受け入れについて相談・連携することが必要です。
*上記の1)、2)において、10日以上感染性を維持している可能性がある患者(例:重度免疫不全患者)では、地域の感染症科医との相談も考慮する。
メンタルヘルスへの支援や労務環境の整備、また高齢者看護の実施にあたって相談できる体制を整えることが求められます。具体的には、以下のような取り組みがあります。