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 研究事業報告 
本学会ホームページへの公開にあたって
2016・2017年度に本学会研究・教育活動推進委員会の活動として、高齢者看護ケアガイドライン作成にむけた取り組みをいたしました。亀井智子委員長はじめ委員や協力者の方々には、多大なご尽力をいただき感謝申し上げます。2年前の情報でありますが、活動成果として報告いたします。
この取り組みは、Minds(日本医療機能評価機構EBM普及推進事業)による診療ガイドライン作成方法を参照し、広く文献検索とレビューを行い検討したものです。そのため根拠とする文献は、研究デザインがRCT(ランダム化比較試験)のみに限定されています。RCTは介入に対する効果について、コントロール(非介入)群と介入群が比較されます。両群の比較は各研究者が設定した要因(効果指標)について、統計学的な推論に基づき示される点に留意してください。つまり、ここで示されている結論(推奨)は、ケアを実践する上では絶対的なものではないことを念頭においていただきたいと思います。
高齢者は身体の老化や疾病による影響を受け、時代の変化とともに長い人生を歩んできた人であるが故に一人ひとりの個別性が強く、多様性があることを特徴としています。高齢者に対する看護ケアについては、本報告書に示した先行研究の知見を参考にケアを選択しつつも、一人ひとりを観察し個別性に応じたアセスメントをして実施することが重要になります。推奨レベルが高いからといって、その高齢者にとっては適切なケアではないかもしれません。推奨レベルが低いものでも、試してみる価値がある介入かもしれません。RCTでは実証しにくい卓越した看護実践や先進的な取り組みにも、価値ある介入があるはずです。本報告書の47ページには「利用にあたっての注意」が書かれておりますので、ご参照の上、ご活用ください。なお、47ページに書かれている通り、本報告書の活用について本学会が責任を負うものではありません。
また、介入を決定するにあたり、日本における制度上の問題や高齢者の特性、各施設・部署のもつ課題に合致しているかなど、さまざまな点から検討する必要があることにも留意してください。
看護やリハビリテーションなど、ケアの実践に関わる領域の研究ではRCTを行いづらく、日本では研究が乏しい現状があります。そのため、今回検証に用いられたRCTも、海外の文献がほとんどです。この報告書には、それぞれのCQ(クリニカルクエスチョン)について今後の課題が書かれていますので、研究課題を探索する上でご活用いただければ幸いです。
2019年12月12日
一般社団法人日本老年看護学会
理事長 大塚眞理子
 
【報告書の発行にあたって】
一般社団法人日本老年看護学会研究・教育活動推進委員会
委員長 亀井智子
 
本報告書は、2016年度から2年間にわたる日本老年看護学会研究・教育活動推進委員会の教育・研究活動の経過、および活動成果をまとめたものである。 2016年度第1回理事会において、日本老年看護学会による高齢者看護ケアに関するガイドライン作成に向けた活動を当委員会が担うことが了承され、エビデンスに基づく高齢者看護ケアガイドライン(仮称)を作成するための活動を開始することになった。当委員会の目的は、高齢者看護に関する研究と教育の2つを推進することである。そのため、当期の活動内容は、@高齢者看護ケアガイドライン作成に関する会員等への教育の機会の提供、A研究的な取り組みによる高齢者看護ケアガイドライン作成に向けたシステマティックレビューの推進とエビデンスの確認、推奨の提案とした。
一般にガイドラインとは、質を担保し、国民、とりわけ高齢者とその家族に寄与するものとして科学的根拠に基づき、系統的な手法により作成された推奨を含む文書(日本医療評価機構,2014)を指す。当委員会では、看護のケアガイドラインの作成に質の担保は不可欠であると認識し、開発手法としては、日本医療機能評価機構EBM普及推進事業(以下;Minds)による診療ガイドライン作成方法を参照する方針とした。当期活動中にMinds診療ガイドライン作成の手引き2017へ改定があったため、途中から新版に切り替えて再度参照を行った。
具体的な活動内容としては、高齢者看護ケアガイドライン作成に関する考え方や方法等について、会員等への教育の機会を提供し、Mindsに沿ったガイドライン作成に関するセミナーを3回主催した。
もう1つの活動の柱である、研究的な取り組みによる高齢者看護ケアガイドライン作成の作業の推進については、以下のように進めた(日本老年看護学会研究・教育活動推進委員会活動報告,2017)。
2016年度第1回委員会において、作成する高齢者看護ケアガイドラインの方向性や内容の検討、近接する他学会から刊行されているガイドライン類の確認、ガイドライン作成作業全体の検討を行った。第2回から第5回の委員会、および2017年度第1回・第2回の委員会では、クリニカルクエスチョンの候補となる臨床的な高齢者看護のクエスチョンを挙げ、文献レビューを委員が少しずつ進め、報告しあった。各クリニカルクエスチョンはレビューを進める中で更新し、レビューが終了した段階で回答と解説を文章化し、確認していった。エビデンスの強さ、確実性の評価については理事会による投票を得て、それを受けて委員会で最終化を行った。
今後も引き続き、学会内の体制を整備して、看護の受け手である市民、および学会外部者を含む委員会等を組織して、市民目線での理解のしやすさ等の事項を検討することが必要である。
最後になったが、文献レビューと推奨の作成には膨大な資料の読み込みや、根気を必要とする緻密な作業が必要であった。これらを共に2年間継続し、協働して頂いた委員会メンバーには心から御礼を申し上げたい。以上、研究・教育活動推進委員会の活動成果として本書をご一読いただければ幸いである。
 
本報告書の記載内容によって不測の事故等が起こった場合について、本学会はその責を負いかねますことをご了承ください。
 
目次
報告書の発行にあたって
第1章 高齢者看護ガイドライン作成に向けた教育活動報告
1.1 第 1 回教育セミナー 高齢者ケアのためのガイドライン作成セミナー
1.2 第 2 回教育セミナー 〈講義〉クリニカルクエスチョン作成について
〈演習〉Review Manager の使い方
1.3 第 3 回教育セミナー 看護ケアガイドライン作成のための系統的レビュー手法を学ぼう
第2章 エビデンスに基づく高齢者看護ケアの推奨作成に関する研究活動報告
2.1 作成までの経過
2.2 研究・教育活動推進委員会スケジュールと活動内容
2.3 本高齢者看護ケア推奨集の目的とスコープ
2.4 クリニカルクエスチョン(CQ)
2.5 エビデンスの探索:システマティックレビューの方法
2.6 エビデンスの質の評価と統合の方法
2.7 エビデンスから推奨の作成
2.8 高齢者看護ケアの推奨の執筆
2.9 作成した CQ 別高齢者看護ケア推奨一覧
2.10 高齢者看護ケアの推奨集
2.11 今後の課題
 
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