排泄は、そのかたなりのリズムがあると思います。だれでもあるように、ソワソワ、モジモジが、その信号ですが,痴呆のかたには、「トイレだな」と思っても、次の誘い方が難しいと感じました。排泄は人間の尊厳にかかわるいちばん大事で,かつ他人に見られたり、知られたくない行為です。痴呆のかたも同じことで、プライドがあります。さりげなく誘う、ついでに誘うということが大事になってきます。早めに誘導できるきっかけづくりをしなければ間に合いません。
「トイレに行きましょう」と正面からいうと、「あなた先にどうぞ」と押し問答になったときがありました。「では」といったんは行くふりをして、「お待ちどうさま、○○さんの番よ」でスムーズに行っていただける場合はよかったのですが、戻って見ると手遅れのときが。
「散歩に行きましょう」とトイレのほうを通り、「そうだ、トイレを済ませておきましょう」、散歩から帰ったときもついでに寄るというスタイルがよいようです。はしたない言い方ですが、連れション的展開です。このとき、たとえば「散歩する前にトイレに」というような、あれもこれも2つのことを同時にいうと、拒否に合いやすいのです。シンプルに、分かりやすいことばですなおに相手の気持ちに届くように声かけすることが必要です。
トイレの場所が浴室と隣接していたり、分かりにくい場合は、「トイレ」「お手洗い」「便所」などそのかたに分かる表示があると、安心感をもっていただくことができ、自立支援につなげやすくなります。
次回へ続く
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