第5回(8月3日) 痴呆症の方は自分から喉の渇きを訴えないことも。
水分補給はまめに (その2)

 

 寝たきりの痴呆のかたへの水分補給は誤嚥の心配があり、つい控え目になってしまいがちです。また、重度の痴呆のかたは飲み物、食べ物という認識が失せ、味覚機能も弱く、食べること、飲むこと自体を忘れ、かむ飲むの伝達機能がうまく働いていない場合が多いのです。「ぱくぱくとよくかめてますよ」「はい,ゴックン」と声かけしたり、時にはいっしょに「おいしいですね」と同じ動作をすることによってスムーズに喉を通る時もあります。また、飲みやすく工夫したり好みを知ることも大事なことで始めてのひと口で飲みやすさやその日の調子が分かります。
 
お茶や白湯はむせやすいのですが、スポーツ飲料や低糖の果汁は喉の通りがよく、吸収も早いようです。塩分や糖分が気になるときは、夏は水割り、冬はお湯割りもよいでしょう。
嚥下力が低下しているときは、トロミ剤の活用やゼリー状の飲料を試してみてください。便秘や尿の回数が少ない、赤茶の濃い尿が出る、熱がある、口を開けている、あくびばかりしているは水分不足が原因のこともあります。この状態が続くと脳梗塞などの心配も出てきます。あの手この手の工夫と観察で、1日の水分をしっかりとっていただくことが大事になります。
いずれにしても家族が最良の介護者です。生活歴や好みがよく分かっていて、さまざまな工夫をしてどうにか水分をとってもらおうとする愛情ある介護に出会うと、ヘルパーもより積極的な姿勢になるものです。その日の体調、季節、室温などを踏まえた,まめな水分補給が大切です。1日のうちで家族やヘルパーが交代で介護にあたる場合は、朝・昼・夕の体温の変化とともにノートにその日の水分摂取量をすぐ記入できるようにすると、見やすく簡単に計算ができ、フォローもしやすい。水分のとり方は、家族もヘルパーも「意識の持ち方」で差がつきます。

次回へ続く

 

第1回(4月23日) 痴呆症の介護と普通の介護との違いの有無は?(その1)
第2回(5月7日) 痴呆症の介護と普通の介護との違いの有無は?(その2)
第3回(5月24日) コミュニケーションが大切、関係づくりは芝居の要領で
第4回(6月11日) 痴呆症の方は自分から喉の渇きを訴えないことも。
水分補給はまめに (その1)
第5回(8月3日) 痴呆症の方は自分から喉の渇きを訴えないことも。
水分補給はまめに (その2)
第6回(8月17日) トイレの意思表示がある前に、早めのお誘い、ついでのお誘いを(その1)
第7回(9月17日) トイレの意思表示がある前に、早めのお誘い、ついでのお誘いを(その2)
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