第2回(5月7日)
痴呆症の介護と普通の介護との違いの有無は?
(その2)

 

 ヘルパーが初期から中期の痴呆の方を介護する際は(1)安心してもらう、落ち着いてもらうことを優先させる(2)その方の生活のペースで気分良く過していただくようにする(3)急に外に出ていく等、予測のつかない行動による転倒等の危険を回避する。などを含めた、安全・安心のための見守りを中心に自立支援を行います。
 目が離せない、手が懸かる、意志の疎通がむつかしい等の点でどのような痴呆のタイプの方かがわかるまでは正直、絶えず、気付き、気くばり等の連続と緊張で、新しい方の時は疲れます。又、時間の予測が立ち難いのも悩みです。
 それでもヘルパーは限られた時間に専念できますが、家族の方は24時間かかりきり、負担が大きいと言えましょう。ヘルパーが入っている間だけでも、ゆっくりお休み頂く、外出など気分転換を図って頂きたいと思いますし、又、任されるような信頼されるヘルパーでありたいものです。
 介護行為は、食事・水分補給、排泄、着替え、歩行、外出・散歩、通院、などを自立支援を基本に、自主性を尊重しながら誘導、確認しながら勧めますが活動的な軽・中等度の痴呆の方の場合は予定時間通りいかない事があります。この点はご家族のご理解を得たい点です。時には介護というより自然の行動を妨げずに視野に入れながら見守る、行動を共にして世話をする、家族の代わり的見守りの介護が中心になります。
 その点介護の手間でなく、動作・行為の時間のみを計画としてくみ込む介護保険は、痴呆症の方の生活パターンにあてはまりにくいのではないでしょうか。
 痴呆は病気・障害又はその方の個性なのだと、性質を理解することが無理のない介護に繋がるとやっと最近解ってきました。基本的人権、人格を尊重する。そして、訂正したり説得したりしない「逆らわず、従わず」、本人の自然の行動を妨げず、楽しく、気楽にあるがままを受け入れる。そのためには、近隣の理解、見守りネットワーク等地域ぐるみの介護環境の整備も必要になります。そしてヘルパーとしては、観察を怠らず、常に客観的視点と判断で家族やケアマネージャーを通じて関連機関との連携による統合化された介護をめざすよう心がけます。

次回へ続く

 
第1回(4月23日) 痴呆症の介護と普通の介護との違いの有無は?(その1)
第2回(5月7日) 痴呆症の介護と普通の介護との違いの有無は?(その2)
第3回(5月24日) コミュニケーションが大切、関係づくりは芝居の要領で
第4回(6月11日) 痴呆症の方は自分から喉の渇きを訴えないことも。
水分補給はまめに (その1)
第5回(8月3日) 痴呆症の方は自分から喉の渇きを訴えないことも。
水分補給はまめに (その2)
第6回(8月17日) トイレの意思表示がある前に、早めのお誘い、ついでのお誘いを(その1)
第7回(9月17日) トイレの意思表示がある前に、早めのお誘い、ついでのお誘いを(その2)
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