抄録 |
介護保険制度施行後の10
年間で,リハビリテーションの考え方は,国際生活機能分類(ICF)も踏まえ,心身機能に限らず,活動,参加を要素として,全人間的復権の理念が掲げられ,地域包括ケア全般に広がっていった.次の10
年では,医療介護連携の強化を契機として,制度化されたリハビリテーションのサービス・事業は,心身機能への重点化,ICIDH への回帰の傾向がみられる状況となっている.リハビリテーションの考え方およびICF
の機能が,さまざまな事業・サービスに分散する現状において,「全人間的復権」の理念は,「尊厳」「自立」と併存しつつ,事業・サービスの一体性を検証する軸になり得るのではないか.また,医療介護のサービス提供体制の一体性の要請が高まっているが,高齢者が自らの「全人間的」「復権」の意味を考えること,それをサポートすることが必要とされていると考える.
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