1990 年代後半,Rowe とKahn によって紹介された,文脈を考慮して加齢を理解すべきであるという
理論的枠組みによって,アメリカでは,高齢者が加齢に伴う出来事をどのように解釈しているかを理解
するために質的研究の重要性が高まった.そして,2000 年に入り老年学雑誌では,「当事者の理解や解
釈を重視する」質的研究論文の投稿数が増加したが,採択率は伸び悩むという状況が続いた.本稿では,
そのような状況の打破を試みた2 つの老年学雑誌(The Journal of Gerontology, The Gerontologist)を
紹介すると同時に,質的研究 vs. 量的研究の議論を超えて,質的研究者間でも方法論の認識が異なる場
合があることを紹介したThe Journal of Marriage and Family の特集を紹介する.また,質的研究論文
を国際誌に投稿する際の課題についても言及する.