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日本老年社会科学会  Japan Socio-Gerontological Society

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最新刊案内:老年社会科学 2021.4 Vol.43-1
論文名 高齢者における社会参加,ソーシャル・キャピタル,主観的幸福感の関連
著者名 崔  煌,権藤恭之,増井幸恵,中川 威,安元佐織,
小野口航,池邉一典,神出 計,樺山 舞,石崎達郎
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,43(1):5 − 14,2021
抄録  本研究の目的は高齢者の社会参加と主観的幸福感の関連において,ソーシャル・キャピタルがどのよ うな役割を果たしているのかを明らかにすることである.地域在住高齢者のデータ(74 ?78 歳,N = 624)を分析した結果,社会参加と主観的幸福感の関連は認められないが,4 種類の社会参加のなか, 地縁組織への参加は主観的幸福感と統計的に有意な関連があること,また,ソーシャル・キャピタルへ の認識と近所の人の数を介した間接効果があることが確認された.この結果から,社会参加の種類によっ て主観的幸福感との関連が異なり,地縁組織への参加はソーシャル・キャピタルを介して主観的幸福感 に影響を与えることが明らかになった.
キーワード 社会参加,ソーシャル・キャピタル,主観的幸福感
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論文名 高齢者施設で看取る介護職員の悲嘆
――死に対する準備性と看取りケア効力感に着目して――
著者名 久保田彩,佐藤眞一
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,43(1):15 − 25,2021
抄録  本研究は,高齢者施設の介護職員の,利用者の死に対する悲嘆の程度を検討することと,回顧的にた ずねた死に対する準備性と看取りケア効力感,およびその交互作用と悲嘆との関連を検討することを目 的とした.オンライン調査で看取り経験のある介護職員399 人から有効回答を得た.介護職員は,いち ばん最近経験した利用者の死に対して一定の悲嘆を感じていることが示された.また,悲嘆に対する階 層的重回帰分析の結果,死に対する準備性の有意な負の効果,看取りケア効力感の有意傾向の正の効果, および,死に対する準備性と看取りケア効力感の有意な交互作用が確認された.単純傾斜の検定の結果, 看取りケア効力感の高さは悲嘆の強さと関連するが,死に対する準備性の高さがその関連を緩衝するこ とが示唆された.看取りケア効力感は看取りケアの実施に必要なものであるため,介護職員の悲嘆によ る問題を予防するうえでは,死に対する準備性を高めることの有用性が示唆された.
キーワード 看取りケア,介護職員,悲嘆,死に対する準備性,看取りケア効力感
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論文名 単身男性中高年者における将来展望を抑制する意識の検討
著者名 村山 陽,山崎幸子,長谷部雅美,高橋知也,小林江里香
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,43(1):26 − 35,2021
抄録  単身男性中高年者の将来展望を抑制する心理的要因を明らかにすることを目的とした.インターネッ ト調査会社に登録している50 ?79 歳までのモニター1,200 人を対象者とし,オンライン・アンケート 調査を実施した.因子分析の結果,将来展望の意識には「将来諦め・放棄」と「将来不安」の2 因子が 抽出された.「将来諦め・放棄」と「将来不安」を従属変数,年代,世帯状況および性別を独立変数とし, 健康感,主観的経済状態,仕事の有無を共変量とする3 要因共分散分析を行った.その結果,年代にか かわらず単身男性中高年者は,将来諦め・放棄が有意に高いことが示された.一方で,60 代において 単身男性中高年者の将来不安は,単身女性中高年者より有意に低いことが認められた.こうした結果か ら,単身男性中高年者は中年後期から高齢期に至るまで将来に対する展望を諦める意識が強く,そのこ とにより将来の生活に向けた準備が抑制される可能性が示唆された.
キーワード 単身者,男性中高年者,思考抑制,将来展望,将来不安
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論文名 都市部の中高年就労者における地域活動への参加
――仕事特性および主観的ウェルビーイングとの関連――
著者名 小林江里香,原田 謙,斎藤 民
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,43(1):36 − 48,2021
抄録  高齢者就労の促進に伴い,仕事と地域活動の両立は中高年者自身にとっても活動の担い手が不足する 地域にとっても課題となっている.本研究は,東京都内の無作為抽出された55 ?84 歳対象の郵送調査 における就労者(n = 399)を分析対象とし,地域活動参加と@仕事特性,およびA主観的ウェルビーイ ング(SWB)との関係,その男女差について検討した.地域貢献型,趣味・学習型の2 種類の地域活動 への参加についてのロジスティック回帰分析の結果,両活動ともフルタイムより短時間就労者のほうが 参加していたが,通勤時間の短い人や仕事の裁量度が高い人ほど参加する傾向は地域貢献型活動のみで みられ,通勤時間との関連は男性より女性で強かった.また,SWB についての重回帰分析では,活動 の種類やSWB の指標( 人生満足度,幸福感)による違いはあるが,就労者においても地域活動に参加 する人ほどSWB が高い傾向が示された.
キーワード 高齢者就労,ボランティア,余暇活動,仕事裁量度,ワークライフバランス
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論文名 援助ができる関係の構築が困難な認知症高齢者とその支援者へのソーシャルワーカーによる 対人援助論に基づく援助と成果
著者名 渡邉篤尚
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,43(1):49 − 58,2021
抄録  本研究の目的は,援助ができる関係の構築が困難な認知症高齢者とその支援者に対して,ソーシ ャルワーカー(SW)が対人援助論に基づき実施した援助によって,援助ができる関係が成立した2 事例への援助内容と成果について記述的に明らかにすることである.対象者は,援助関係の構築が 困難な認知症高齢者とその支援者の2 事例である.方法はSW が援助を実施し,参与観察法を用い てデータを収集し記述現象学の手法を用いて分析した.かかわりを拒否され支援できずスピリチュ アルペインに苦しむ支援者にSW が傾聴を行った.そして傾聴を通して得られた支援者の気がかり を手がかりに,認知症高齢者本人にも傾聴を行った結果,気がかりを聴いてもらえた認知症高齢者 本人と気がかりを気遣うSW の間に援助ができる関係が成立した.またSW と支援者にもサポート ができる関係が成立した.援助関係の構築が困難な認知症高齢者の援助には,傾聴が有効であるこ とが示唆された.
キーワード 認知症高齢者,困難事例,ソーシャルワーカー,対人援助論,記述現象学
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論文名 地域包括支援センター職員の高齢在留外国人対応における通訳利用に対する意識
著者名 相原洋子,石原逸子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,43(1):59 - 67,2021
抄録  65歳以上の在留外国人数が多い兵庫県と大阪府の地域包括支援センターの職員を対象に,外国人対応経験 と専門通訳者利用の意識について把握することを目的に質問紙調査を行った.外国人対応経験,通訳利用意 識の実態と職種別の差異の有無を統計分析した.また通訳利用意識の理由に関して,利用につながる要因と 妨げる要因を探索的に検討した.回答者453 人のうち約5 割が外国人対応の経験を有し,通訳の利用につい て8 割の回答者が「毎回/時々利用する」と回答した.社会福祉士に通訳利用意識が高かったが,職種別の 利用意識に統計学的有意な差異はなかった.自由記述結果より,〈対象者を理解する〉〈円滑なコミュニケー ションを図る〉ことが通訳者利用につながり,逆に〈費用負担や調整時間の懸念〉が利用を妨げる可能性が示 唆された.高齢在留外国人のケアの質を保障するうえで,今後通訳制度に関する検討が必要である.
キーワード 在留外国人,地域包括支援センター,専門通訳者,言語障壁
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論文名 高齢者教育の展望と課題
著者名 堀  薫夫
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,43(1):68 − 73,2021
抄録  教育老年学を高齢者教育論の視点から論じる動向が出てくるなかで,高齢学習者が人文系の学習を好む 傾向にあることをふまえ,人文科学系の老年学の有効性をHarry Moody の論に則してまとめた.それらは, 歴史的継続性・コミュニケーション・批判性というものであった.
 他方で教育学が歴史学や哲学を重視する人文系の学問であると同時に,教育現場を方向づける実践志向 的学問でもあることをかんがみ,従来の学校教育学の枠組み( 教える教育学)とはやや異なる,高齢学習 者の関係性の豊饒化を目指す,相互行為・共同構築としての高齢者教育学の可能性を展望した.
キーワード 高齢者教育,教育老年学,高齢学習者,人文系の老年学,相互行為
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論文名 高齢者就労における事故と防止対策
著者名 石橋智昭
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,43(1):74 − 78,2021
抄録  就労は雇用契約による労働者と指揮命令のない事業主に大別できるが,高年齢者ほど雇用の割合は減少 し,75 歳以上の過半数は労働安全衛生法の適用外で就業している.
 労働力人口の65 歳以上の割合は,1990 年の5.6%から2018 年には12.8%へ急増したが,雇用者の労働災 害発生率(1,000 人当たり)は,男性の最大は75 ?79 歳:4.76 で最小(25 ?29 歳:2.05)の倍以上,女性 の最大は65 ?69 歳:4.00 で最小(25 ?29 歳:0.82)の約4.8 倍も高い.非雇用型で軽易な仕事中心のシ ルバー人材センターでも同等の災害発生率がみられ,事故防止は高齢者就労に共通の重要課題である.
 今後は,負担軽減に資するテクノロジー開発と社会実装のための財政支援,事故事例と防止策を収集・ 共有する仕組みの構築,多様な仕事の遂行能力の測定基準の整備,高齢就業者向けの包括的な健康度指標 と活用方法の開発が求められる.
キーワード 高齢者就労,雇用,シルバー人材センター,事故,健康管理
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日本老年社会科学会事務センター
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