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日本老年社会科学会  Japan Socio-Gerontological Society

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最新刊案内:老年社会科学 2021.1 Vol.42-4
    
論文名 高齢者介護施設における介護職員の離職意向に関連する要因の構造分析
著者名 内田和宏,李 泰俊,加瀬裕子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(4):289 −300,2021
抄録  本研究は,高齢者介護施設における介護職員の離職防止に向けた取り組みから,離職意向に関連する 要因について構造的なモデルを検討し,離職意向に影響を及ぼす要因を明らかすることを目的とした. 調査は東京近郊の市にある高齢者介護施設(77 施設)の介護職員900 人を対象に行った.調査方法は自 記式調査票を用いた郵送調査を行った.有効回答数は285 人であった.探索的因子分析を行った結果,「介 護の質向上への取り組み」「適切な評価と人員配置」「業務負担軽減への取り組み」「トップダウンの管 理体制」の4 因子が抽出された.さらに,共分散構造分析を行った結果,介護の質向上への取り組みは 離職意向を直接低め,トップダウンの管理体制は離職意向を直接高めていた.業務負担軽減の取り組み, 適切な評価と人員配置に関しては,離職意向に直接の影響はみられなかったが,介護の質向上への取り 組みを介して,離職意向を低めて いた.
キーワード 高齢者介護施設,介護職員,職場環境,離職意向
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論文名 介護を通じた利用者理解とヘルパー援助力の因果モデル
著者名 須加 美明
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(4):301 −310,2021
抄録  目的:訪問介護員が利用者理解に必要な情報を介護を通じて把握することを測る尺度の開発を第一の 目的とし,この利用者理解の水準が訪問介護の援助力に影響することの検証を第二の目的にした.
 方法:訪問介護員503 人を対象に質問紙調査を行い,有効回答267 件(53%)を分析した.探索的因 子分析によって得られた4 因子11 項目を,2 次因子の測定モデルにして確認的因子分析を行った.尺度 の2 次因子がヘルパー援助力の考える援助に影響する因果モデルを検討した.
 結果と考察:構成概念として設定した食生活の内実,健康状態,健康への意識性,家族近隣との関係, 介護家族の意識のうち,因子を構成しなかった健康状態を除き4 因子が抽出され,確認的因子分析の適 合度はよく,構成概念妥当性が認められた.α係数は十分な値であった.因果モデルは有意な関連を 示し,介護を通じた利用者理解が援助力に影響することが示唆さ れた.
キーワード 訪問介護,アセスメント,利用者理解,援助力,因果モデル
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論文名 高齢就業者の今後の業種・職種についての希望
著者名 小池 高史
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(4):311 −317,2021
抄録  就業中の高齢者の働く理由の違いによって今後の業種・職種についての希望に違いがみられるかを検証し た.データは,福岡市在住の無作為抽出された60 ?74 歳の人3,000 人を対象とした調査から得られた.有 効回答数は1,922( 回収率64.1%)であった.分析対象は,そのうち就業中で今後も働く意思をもっている人 (905 人)とした.今後の業種・職種についての希望を従属変数に,働く理由を独立変数に設定した多項ロジ スティック回帰分析を行った.
 その結果,生きがいや社会貢献・社会とのつながりを働く理由にしている人ほど,同じ業種への希望をも っていた.生きがいは,同じ業種のみ希望と正の関連があり,社会貢献・社会とのつながりは同じ業種希望 と同じ業種と違う業種の両方を希望した人に正の関連があった.また,生きがいを働く理由にしている人ほ ど,同じ職種のみを希望する割合が大きく,借金返済を働く理由にしている人ほど,同じ職種と違う職種の 両方を希望する割合が大きかった.
キーワード 高齢者就業,就業希望,就業理由,業種,職種
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論文名 足腰に痛みをもつ高齢者の主観的健康感とセルフケアおよび社会活動参加との関連
著者名 古川紀子,薬袋淳子,成 順月
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(4):318 −326,2021
抄録 本研究では,足腰に痛みをもつ高齢者の主観的健康感に寄与するセルフケアと社会活動への参加を,前期・ 後期高齢者の各群で明らかにすることを目的とした.地域在住高齢者1,300 人に対し,郵送法で質問紙によ る調査を実施した.主観的健康感( 健康/ 非健康)を従属変数,痛みを悪化させないためのセルフケア,社会 活動参加を独立変数とし多変量解析を行った.
 その結果,前期高齢者では趣味の会への参加が,後期高齢者では市民講座への参加が主観的健康感と正の 関連を示した.一方,セルフケアは主観的健康感と正の関連を示さず,前期高齢者では,マッサージ,杖や 手すりの使用が,後期高齢者では,姿勢に気をつけることが主観的健康感と負の関連を示した.このことから 足腰に痛みがある高齢者に対しては,年齢層別の特徴に応じた社会活動参加への支援が必要であることが示 唆された.
キーワード 主観的健康感,足腰痛,高齢者,セルフケア,社会活動参加
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論文名 文化的自己観と幸福感との関連について
著者名 福沢 愛,繁桝江里,菅原育子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(4):327 −336,2021
抄録  文化的自己観と幸福感との関連を年代別に検討するため,第6 回世界価値観調査の20 ?80 歳の日本人デ ータを分析した.欧米における先行研究では,文化的自己観のうち相互独立性と幸福感の正の関連が示され ているが,相互協調性が優位な日本では,この結果が再現されない可能性がある.若年層ほど文化的規範の 影響を受けやすいとされているため,相互独立性と幸福感の関連は,年齢が高い日本人でのみみられると予 測した.重回帰分析の結果,中年後期以上でのみ,相互独立性_ 個の主張が幸福感と正の関連をもっていた. 健康状態や世帯収入は年代とともに下がる反面,相互独立性は高年代集団で高い傾向もみられた.高齢期に 相互独立性_ 個の主張を高くもつことが,幸福感を維持するために重要である可能性が示唆された.
キーワード 幸福感,文化的自己観,世代間比較,老いのパラドクス
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論文名 Covid-19の高齢者へのインパクト
著者名 大上 真一
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(4):338 −345,2021
抄録  国際長寿センターグローバルアライアンスに所属する国際長寿センターオランダセンターではCovid- 19 の高齢者のウェルビーイングへの影響と高齢者のレジリエンスの理解を目的として同国の高齢者へ のインタビュー調査を行った.その結果,生活のなかの活動,親族や近隣または仲間とのコミュニケー ションの縮小に悩んでいたが,SNS も含めて可能なかたちと範囲でこれまでのコミュニケーションを 続けていた.そして社会活動・運動習慣を維持し,煽情的な報道からは距離を置いていた.また,つと めてポジティブで落ち着いた姿勢を維持しようと努力を重ね,さらに冷静に死をみつめようとしていた.
 また,海外でこれまでに発表された調査からは,就労,ボランティア活動,社会生活,健康等につい て高齢者に大きな影響を及ぼしていた.それはとくにヨーロッパと南米アメリカにおいて顕著にみら れた.
キーワード 高齢者,新型コロナウイルス感染症(Covid-19),ウェルビーイング,レジリエンス,国際長寿 センター(ILC)
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論文名 コロナ禍における高齢者の生活再編と社会関係
著者名 渡邉 大輔
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(4):346 −353,2021
抄録  新型コロナウイルス感染症の広がりは,これまで地域における関係性を重視し,支援してきた地域包括ケアシステムの構築や地域支援事業にも大きな影響を及ぼしている.本稿は,高齢者の生活が,コロナ禍においてどう変化したのかを,都市と地方に在住する65 歳以上の高齢者35 人への聞き取り調査から考察する. 都市と地方では,日々の活動や外出への対応において異なる部分があるものの,コロナ禍が日常を変容させたという語り自体は維持されていた.また,畑仕事の有無による日常生活の維持や,買い物,受診行動を控えるかといった点について,都市と地方では違いがみられた.そのうえで,コロナ禍において従来の地域での関係のうえに,マスク作りでの交流,新しいボランティア活動,ICT 活用への挑戦など,高齢者が新しい活動を始めているさまを描き出した.
キーワード 新型コロナウイルス,日常生活,地域差,社会関係老
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論文名 団地における新型コロナウイルス流行(第1 波)後の変化とコミュニティ主導地域活動
著者名 松岡 洋子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(4):354 −362,2021
抄録  都内A区にある都営団地B は3,243 世帯・5,274 人からなり,高齢化率56.8%(2020 年10 月)に達し ている.新型コロナウイルス感染症が拡大する7 月,この都営団地住人が主体となって運営している介 護保険総合事業住民参加型通所事業の利用者8 人,運営にあたるボランティア9 人を対象として,緊急 事態宣言解除後( 第1 波)の活動休止中に半構造化インタビューを行った.本稿では,この未曽有の体 験に都営団地住人がどのように対処したかについて両グループ( 利用者・ボランティア)の比較を通じ て描き,その体験を通して支え合い活動がどのように変化したかを考察することを目的とした.両グル ープ共にすべての活動がストップして心身ともに大きな影響を受けたが,レジリエンスを発揮して新し い日常を模索し始めていた.ボランティアグループでは,活動の休止をきっかけにコミュニティ主導の 新しい活動を開始し,グループLINE 活用による仲間意識の高まり,ボランティア意義の再確認,大切 な日常への気づきなどの成果がみられた.コロナ禍という逆境によって,地域支え合い活動が強化され たといえる.
キーワード 都営団地,新型コロナウイルス,新しい介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業),コミュニティ主導,レジリエンス
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論文名 新型コロナウイルス流行時における心身変化とその対応
著者名 中島民恵子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(4):363 −368,2021
抄録  新型コロナウイルスの感染に伴う緊急事態宣言から解除された時期( 第1 波)に,高齢者がどのよう な心身変化を感じたか,心身の変化に対して,健康維持に向けた取り組みを中心にどのように向き合い, 対処・工夫等をしたかを35 人の高齢者の語りから明らかにした.突然のさまざまな活動の中止,3 密を 避け人とかかわることが制限される暮らしのなかで,不安,気力の低下,ストレスを抱いている様子が 確認された.それとともに足腰の弱まりや疲れやすさ,体力低下といった身体的な影響を受けている高 齢者がみられた.その状況に対して,運動・活動量が減っている高齢者もみられたが本調査では少数で あり,多くの高齢者ができるだけ人と接触しないよう意識して早朝のウォーキングやラジオ体操等を中 心に積極的に暮らしのなかの時間の使い方を工夫していた.
キーワード 新型コロナウイルス,心身変化,健康維持
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論文名 普通の高齢者が限界に挑戦するマスターズスポーツの役割と未来
著者名 植木 章三
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(4):369 −376,2021
抄録  近年の一般高齢者の若返りは,体力面や社会的活動面からも周知のことであり,その波は競い合うスポー ツに向き合う高齢者の増加からも垣間みることができる.本論では,わが国でも各競技団体がマスターズ スポーツイベントを企画し,多くの高齢者が参加する現状を踏まえ,その社会的背景と参加者の特性を概 観し,どのような要因が参加を促すのか,また参加によって高齢者にどのような影響を与える可能性があ るのかを論じ, マスターズスポーツの果たしてきた役割と今後のあり方について論じた.
キーワード 高齢者の若返り,マスターズスポーツ,マスターズスポーツ参加者の特性,マスターズスポーツ志向
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