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最新更新日:2020年4月27日
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最新刊案内:老年社会科学 2020.4 Vol.42-1
論文名
中高年者の社会参加活動の要因に関する文献検討
――活動参加の促進に着目して ――
著者名
茨木裕子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(1):7 − 20,2020
抄録
本研究では,中高年者の社会参加活動の要因に関連する国内文献を精査し,調査対象者,社会参加活動の 定義と種類,活動の評価方法,関連要因などを系統的に整理した.そして,研究対象とされてきた社会活 動の種類や中高年者の活動参加を促進する要因および今後の研究課題を明らかにすることを目的に考察し た.CiNii Articles およびDiaL のデータベースを用いて,1990 〜 2018 年に発表された4,414 文献のうち, 選択基準を満たした34 文献をレビューした.その結果,中年者の社会参加活動に関連する要因について, さらなる研究の蓄積が必要であることが示唆された.また,社会活動の種類や内容を見直し,日本の現状に 即した新たな社会活動性指標の開発や,参加の程度や頻度などを勘案した活動の評価法を取り入れた研究 の必要性が示された.そして,社会参加活動における情報取得の実態を把握する研究が求められることが 示唆された.
キーワード
社会参加,社会活動,文献レビュー,中高年者,関連要因
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論文名
高齢者と若齢者における忘却に関する認識の特徴
著者名
堤 聖月
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(1):21 − 29,2020
抄録
本研究の目的は,高齢者における日常生活の忘却に関する認識の特徴を,質問紙を用いて検討することで ある.本調査には,310 人の一般成人(20 ?23 歳の若齢者197 人,60 ?86 歳の高齢者113 人)が参加した. 調査協力者は,日常生活における忘却に関する認識についての項目と,日本版成人用メタ記憶尺度の一部の 因子,思考抑制に関するメタ認知的信念,記憶機能の低下に対するストレス認知を評定する質問紙に回答し た.また,高齢者のみ忘却に関する自由記述に回答した.得られたデータに対して相関分析を行ったとこ ろ,記憶活動に対する不安と忘却に関する認識は年代関係なく関連することが示された.また,忘却に対す る統制不能感と思考抑制時に生じる逆説的効果に対する確信度は,若齢者でのみ正の相関がみられることが 示された.自由記述から,高齢者は自身の忘却を必ずしも悲観的にはとらえていないことが示唆された.
キーワード
忘却に関する認識, 高齢者, メタ記憶, 思考抑制, 忘却に対する統制不能感
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論文名
地域住民の認知症の人に対する態度とその関連要因
著者名
内田和宏,李 泰俊,茨木裕子,加瀬裕子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(1):30 − 38,2020
抄録
認知症になっても暮らしやすい地域づくりには,認知症の理解とともに地域のつながりが求められてい る.本研究は,地域住民における認知症の人への態度と,それに関連する要因を明らかにすることを目的 とした.調査は東京近郊の市における40 歳以上の男女9,099 人を対象に,自記式調査票を用いた郵送調査 を実施した.有効回答は2,530 人であった.認知症の人に対する態度を因子分析した結果,「認知症への受 容」「近隣からの遮蔽」「認知症介護への拒否」の3 因子が抽出された.認知症の人に対する態度の下位尺度 得点について,近隣関係を要因として一元配置分散分析にて比較した結果,「相談・助け合う人」が多い人 ほど,認知症の人に対する「認知症への受容」が高く,「近隣からの遮蔽」と「認知症介護への拒否」が低い 傾向がみられた.本研究では,認知症の人とその家族が地域で孤立しないよう,近隣で友好的な関係を構築 することが必要であると示唆された.
キーワード
認知症,認知症の人への態度,近隣関係
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論文名
フレイルの社会的側面
――老年社会科学の立場から ――
著者名
古谷野亘
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(1):40 − 44,2020
抄録
日本老年社会科学会は,日本老年医学会のフレイルに関する声明を受けて,「社会的フレイル」に関 するワーキンググループを設け,学会としての公式見解をまとめるべく作業を開始した.本稿は,その ワーキングループの準備会において交わされた議論を踏まえて,いたずらに流行に流されることなく, 生活機能の低下に関連する要因について冷静に分析することを提案するものである.
キーワード
フレイル,虚弱,介護予防,社会老年学
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論文名
高齢者における社会的フレイルと機能障害
著者名
島田裕之
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(1):45 − 48,2020
抄録
社会的フレイルの構成要素は多岐にわたるため,調査可能な変数で操作的に定義し,だれがその状況 に置かれているかを明らかにしなければならない.社会的フレイルを@独居である( はい),A昨年に 比べて外出頻度が減っている( はい),B友人の家を訪ねている( いいえ),C家族や友人の役に立って いると思う( いいえ),Dだれかと毎日会話をしている( いいえ)により把握し,2 項目以上の該当を社 会的フレイルと操作的に定義すると高齢者の11.1%が該当した.これらの高齢者は心身機能が低下して おり,将来のうつ症状発生の危険性が高く,予防のための外出と交流が推奨されるべきである.
キーワード
社会的フレイル,独居,障害,高齢者,構成要素
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論文名
フレイルの社会的決定要因に迫る
――公衆衛生学の視点から ――
著者名
村山洋史
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(1):49 - 55,2020
抄録
健康の社会的決定要因があるように,健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を指 すフレイルにも社会的要因が影響している.近年,健康に負の影響を及ぼす社会的要因の累積を以て, 社会的フレイルと定義する研究がみられるが,「スティグマを生む危険性」「社会的要因の健康影響の 複雑さの問題」から,その扱いには慎重であるべきである.社会的要因にターゲットをあてた方策を考 えるのであれば,ハイリスクな個人へのアプローチではなく,社会全体としてフレイル予防や介護予防, そして健康づくりをどう推し進めていくかという公衆衛生学的なアプローチがいっそう重要になる.
キーワード
フレイル,社会的フレイル,社会的決定要因,公衆衛生学
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論文名
フレイルの社会的側面への介入
――ハイリスク高齢者のためのプログラム開発の重要性 ――
著者名
藺牟田洋美
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(1):56 − 61,2020
抄録
フレイルの社会的側面に対する介入の意義について最初に述べた.閉じこもりや社会的孤立は組み合 わさることで,その後の死亡のリスクが非常に大きくなること,大規模コホート研究からの知見によれ ば,社会的フレイルは2 年後のフレイルやサルコペニアの重要なリスクファクターであることを確認した.
続いて,介入研究の現状についてふれた.自立高齢者がフレイルにならないために,運動だけのプロ グラム,運動や栄養を組み合わせた包括的介入プログラム計3 つを紹介した.これらは,間接的にフレ イルの社会的側面にポジティブな効果をもたらしていた.さらには,その効果は最近発表されたレビュ ー論文の評価法に当てはめたところ,優れたプログラムであることが推測された.
一方,ハイリスク高齢者への介入プログラム開発は喫緊の課題である.高齢者の可逆性という点から もフレイルにしない,フレイルになっても回復できる双方向のプログラムの開発が待たれる.
キーワード
閉じこもり,社会的孤立,孤食,介入研究,自分事化
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論文名
地域包括ケアシステムにおけるフレイル対策
――社会参加の側面から ――
著者名
藤原佳典
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,42(1):62 − 70,2020
抄録
2005 年の介護保険法改正により,一般地域高齢者を対象とした地域支援事業が導入された.同事業 におけるフレイルのとらえ方については,2 つの視点がある.第一は,フレイルをADL 障害発生のリス クのひとつととらえる医学モデルの視点である.第二は,フレイルをADL の前障害状態(pre-disability state)ととらえる生活機能モデルの視点であり,「介護予防・日常生活支援総合事業」に反映されている. また,厚生労働省「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」において,介護予防に資する社会 参加活動は,就労からボランティア,趣味まで広くとらえられている.
社会参加活動の介護予防・フレイル予防への効果は実証されてきたが,人は,介護予防のためだけに 社会参加活動に従事しているのではない.健康は資源であって人生の目的ではない.介護予防だけでな くウェルビーイングを目指したフレイル対策を推進していくためにも,両モデルの位置づけ・役割を明 確にすべきである.
キーワード
地域支援事業,生活機能,介護予防・日常生活支援総合事業,フレイル予防,社会参加
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日本老年社会科学会事務センター
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