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日本老年社会科学会  Japan Socio-Gerontological Society

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最新刊案内:老年社会科学 2019.1 Vol.41-1
論文名 中高年女性における介護と就業の相互の関係
―― 二時点パネルデータ分析による検討 ――
著者名 菊澤佐江子,植村良太郎
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,41(1):9 −17,2019
抄録  本研究は,中高年女性の就業と介護の相互の関係を検討することを目的として,厚生労働省が2005 年・ 2006 年に実施した第1 回・第2 回「中高年者縦断調査」データを探索的に分析した.まず,第2 回調査 時点(T2)での介護の開始についてのロジスティック回帰分析を行ったところ,就業の有無と介護の開 始との間に負の関連がみられた.就業者に限定した分析の結果,就業時間と介護開始との間に負の関連 がみられる一方,就業形態や収入と介護開始との間に関連はみられなかった.次に,T2 の就業時間の 重回帰分析の結果,就業女性のうち介護開始者には,介護をしていない者に比べて,就業時間が有意に 減少する傾向がみられた.結果から,就業時間をのぞけば,就業状況( 就業形態や収入)の異なる就業 女性間で介護を担う確率は変わらない一方で,就業女性が介護を担うことは就業の停止または就業時間 の短縮といった対応を伴う傾向にある可能性が示唆された.
キーワード 介護,就業,中高年期,パネルデータ
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論文名 民生委員を対象とした認知症に関する知識尺度の構成概念妥当性の検討
著者名 竹本与志人,杉山 京,神部智司
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,41(1):18 − 27,2019
抄録 本研究では,民生委員への認知症に関する知識尺度の使用可能性を確認することを目的に,尺度の構 成概念妥当性の検討を行った.A 市の全民生委員1,009 人に無記名自記式の質問紙調査を行った.解析 には各質問項目に欠損値のない644 人の資料を用い,まず認知症に関する知識の構成概念妥当性を検討 するため1 因子モデルを設定し,検証的因子分析を行った.次いで,2 母数ロジスティックモデルを用 いて各項目の識別力および困難度,尺度全体のテスト情報量を算出した.最後に,認知症の人に対する 態度を外的基準に置いた構成概念妥当性の検討を行った.結果,認知症に関する知識尺度は民生委員へ の使用可能性が高いことが示され,今後は認知症の医療水準の進展に照らしながら,項目の修正等の検 討が課題である.
キーワード 民生委員,認知症に関する知識,尺度,構成概念妥当性
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論文名 高齢者の若年者に対する否定的態度に関連する要因
――― 世代間関係における「もうひとつのエイジズム」 ――
著者名 原田 謙,小林江里香,深谷太郎,村山 陽, 高橋知也,藤原佳典
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,41(1):28 − 37,2019
抄録 高齢者に対するエイジズム研究は,国内外において蓄積されてきた.しかし「もうひとつのエイジズ ム」とよぶべき,若年者に対する否定的態度に関する研究は乏しい.本研究は,地域と職場における世 代間関係に着目して,高齢者の若年者に対する否定的態度に関連する要因を検討することを目的とした. データは,無作為抽出された首都圏の60 - 69 歳の男女813人から得た.分析の結果,以下の知見が得 られた.
@若年者との接触頻度が低い者ほど,若年者を嫌悪・回避する傾向がみられた.
A 高齢者の生活満足度は若年者に対する否定的態度と関連していなかった.ただし職場満足度が低い者ほど若年者を嫌悪・回避する傾向がみられた.
B 世代性の得点が低い者ほど若年者を嫌悪・回避する傾向がみられた.一方,世代性の得点が高い者ほど若年者を誹謗するという,アンビバレントな態度が示された.
C職場でエイジズムを経験している者ほど,若年者を誹謗していた.
キーワード エイジズム,若年者に対する態度,世代性,高齢就業者
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論文名 性的マイノリティ(LGBTQIA+)高齢者に関する歴史と老年学における実証研究および今後の課題
著者名 Masami Takahashi,Benjamin Walker
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,41(1):39 − 47,2019
抄録 欧米の老年学において性的マイノリティに言及するようになってから半世紀ほど経つが,日本ではい まだにその議論や実証研究が非常に少ないのが現状である.本稿では,まず初めに性に関する認識,指 向,嗜好を差別化しながら,性的マイノリティの歴史,定義,呼称(LGBTQIA+)の由来について説明 する.また,カミングアウト,「遅咲き」高齢者,性の流動性,性的マイノリティの自我形成,ソーシ ャルサポートの役割など,とくに老年学に特化したテーマの実証研究の概要を紹介する.これらの研究 結果は性的マイノリティ高齢者の健康格差や長期ケア施設における迫害や差別など既存の問題点を是正 するうえでも非常に重要となっている.最後に,その具体例として,行政と市民の連携によって行われ ている,イリノイ州シカゴ市の性的マイノリティ高齢者の医療や社会参加をサポートする2 つの施設の 運営内容とサービス活動の一部を紹介する.
キーワード LGBTQIA+,性の流動性,自我形成,ソーシャルサポート,健康格差
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論文名 生活者としての性的マイノリティと その高齢期
著者名 永易至文
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,41(1):48 − 53,2019
抄録 近年,性的マイノリティへの関心が高まっているが,その高齢期への関心はまだ低く,一般的ではな い.1990 年代に日本で当事者運動が高まった時期に覚醒した若い性的マイノリティたちが,現在,中 高年時期を迎え,老後の課題に直面しはじめた.当会は当事者団体として,既存の法制度を活用した実 際的な解決策のための講座や相談,居場所運営とともに,介護や福祉など,社会の高齢期セクターへの情報発信に努めている.本稿後段では,介護,医療,HIV,トランスジェンダー,認知症,相続,死後 事務,グリーフワークについて,当事者をめぐる課題を紹介する.
キーワード 性的マイノリティ,LGBT,高齢期,介護,認知症
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論文名 介護現場における性的マイノリティ利用者 への対応
―― 介護職がマイノリティ当事者と「出会い」,「向き合う」と いうこと ――
著者名 佐々木 宰
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,41(1):403 - 408,2019
抄録 性的マイノリティの可視化が進み,介護サービス現場でも, 施設や訪問介護先で当事者( そうかもし れない人を含む)と出会い,関係形成のあり方を模索する介護関係者の声も聞かれるようになってきた. 本稿では,筆者や筆者の周囲の関係者経験を紹介しながら,当事者のプライバシーや尊厳ある暮らしと 切り離せない性的な要素とどう向き合うべきかについて考える.
当事者がオープンにしなくても,性的マイノリティに関する認知や理解が多少進んだことで介護職側 が気づくこともある.正確な知識がないことによる忌避,嫌悪や安易な判断のほか,プライバシーにど こまで介入すべきか自問自答する介護職も多い.反対に,当事者との出会いによりかかわった側が新た な価値観を手に入れた事例もあった.だからこそ介護職には,思考を放棄して安易に答えをだしたりた りせず,個々の利用者と向き合い,双方向的な風通しのよい関係を少しずつ築こうとする姿勢こそが求 められる.
キーワード 性的マイノリティ,介護現場,プライバシー,尊厳,関係形成
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論文名 インフォーマルサポートの構築に関係するセクシュアリティの影響
―― ゲイ・バイセクシュアル男性高齢者の語りから ――
著者名 北島洋美
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,41(1):60 − 66,2019
抄録 本稿では,ゲイ・バイセクシュアル男性の高齢者が,インフォーマルサポートを構築する際にセクシ
ュアリティがどのような影響をもつか,筆者が行ったインタビュー調査からの知見を紹介する.
ゲイ・バイセクシュアルの高齢男性は,同性愛は異常だという誤った知識を思春期に刷り込まれたこ
とと,差別や偏見,いじめを容認する社会の在り方により,自己を隠さなくてはいけないと決意せざる
を得ない状況に置かれた.このことから家族・親戚,近隣等と距離を置くことになり,結果としてイン
フォーマルサポートの確保がむずかしくなり,孤立のリスクを高めている.この状況は当事者個々人が
もっている意識や環境の問題ではなく,社会構造の問題として認識し対策が講じられなくてはならない.
キーワード ゲイ・バイセクシュアル,高齢男性,孤立,インフォーマルサポート,互助
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日本老年社会科学会事務センター
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