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日本老年社会科学会  Japan Socio-Gerontological Society

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最新刊案内:老年社会科学 2018.1 Vol.39-4
論文名 「ホームヘルパーの専門職アイデンティティ」の構造とその関連要因
― 楽観的な態度からの検討 ―
著者名 広瀬美千代,杉山 京,清水由香,岡田進一
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,39(4):403 - 413,2018
抄録 「ホームヘルパーの専門職アイデンティティ」を測定する尺度を開発し,それに関連する要因について楽観的態度から検討することを目的とした.
A 県内にある訪問介護事業所のホームヘルパー600 人を対象とした自記式郵送調査を行った. 有効回答率は24.8%であった.ホームヘルパーの楽観的態度がアイデンティティを規定するといった因果関係モデルを構築し,構造方程式モデリングを用いてデータに対する適合度を確認した.
本尺度は確証的因子分析の結果,妥当性が確認された.また,「ヘルパー業務楽観的態度」と「ホームヘルパーの専門職アイデンティティ」の関連では,楽観的態度のうち「自己成長感」(β = 0.591),「困難の楽観的解釈」(β = 0.276)に有意な関連がみられた.
このことから,ホームヘルパーの業務で生じる困難に対する楽観的態度や自己の学びの感覚は,その専門職としてのアイデンティティと関連しているという仮説が支持されたといえる.
キーワード ホームヘルパー,専門職アイデンティティ,楽観的態度,自己成長感,構造方程式モデリング
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論文名 地域包括ケアシステムにおける医療・介護・福祉の連携の課題
― integrated careの実現から深化に向けて ―
著者名 筒井孝子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,39(4):415 - 425,2018
抄録 先進国のヘルスケアシステムのデザインは多様であるが,多くの国でマクロ経済的な制約が厳しくなっていることやシステム内のケアにおける質には,大きな差がみられることが課題となっている.わが 国では,ヘルスケアシステムのデザインとしての地域包括ケアシステムの実現に向けた取り組みを2006 年から進めてきているが,今日,その深化に向けて,医療,介護に加えて,生活支援サービスをも含めた供給体制を再構築することが求められている.だが,このintegration の基盤となるとされる互助機能の強化は容易なことではない.
そこで本稿では,地域包括ケアシステムにおける医療・介護,生活支援サービスの連携にあたってマクロレベルでのintegrated careの現状を概括し,このシステムの深化に向けた,地域における地縁の代替となる互助機能の補強を目指す施策のあり方について論じることを目的とした.
国内外の先行研究レビューした結果,ヘルスケアシステムにおけるintegrated care 全体のパフォーマンスに言及した文献は少なく,そのエビデンスは乏しいことが明らかにされた.しかしながら,integrated care に関する施策に関する検討やパイロット的研究事業が散見された.これらの報告は日本におけるintegrated care および深化に示唆を与えるものであった.地域包括ケアシステムの構築は現在も進行中であることから,これを評価し,その結果に基づいた改善を継続していくことが求められている.
キーワード 地域包括ケアシステム,integrated care,integration,community based care,評価
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論文名 地域包括ケアにおける重度要介護高齢者の支援
著者名 石附 敬
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,39(4):426 - 433,2018
抄録 地域包括ケアシステムは,重度者が自宅生活困難となっても,住まい方を変えることにより地域生活の継続を支えることを目的としている.本稿では,介護サービスの利用実績データを用い,重度者の① 入所・在宅サービスの利用状況,②施設入所率の年次推移を分析し,先行研究から③在宅介護の継続要因について述べた.現状において,重度者の半数以上は施設入所であり,年次推移でも入所率の減少はみられない.一方で,施設入所者の約1 割は地域密着型の施設を利用している.また,地域密着型の在宅サービスはほかのサービスに比べ利用率が著しく低く,事業所数が少ないことが背景にある.これらの現状を基に,今後の課題として,①施設入所者を含め,地域に包摂されること,②在宅支援における効果的ケアマネジメントとサービス供給体制の充実,③在宅介護の質の評価と,適切な住まいの変更を含めた地域生活支援,の必要性について論じた.
キーワード 重度要介護,地域包括ケア,在宅介護,サービス利用,入所率
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論文名 地域包括ケアシステムにおける認知症高齢者の支援
著者名 久松信夫
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,39(4):434 - 442,2018
抄録 わが国は現在,超高齢社会を迎え,認知症高齢者も増加の一途をたどっている.それに対応するために,国は「認知症施策推進総合戦略」( 新オレンジプラン)を策定し,具体的な施策展開が全国で行われている.この施策の取り組みのうち,認知症初期集中支援チームの課題について,チーム員の兼務による影響に基づく「専従スタッフ」の必要性,チーム員が所属する「地域包括支援センターの存在意義」を取り上げた.また,医療と福祉の連携のあり方も論じた.加えて,新オレンジプランに通底する「認知症の人と家族の視点の重視」について論考し,認知症の人と家族の視点に立つ際に支援者に求められる姿勢,認知症の人が意思表示しにくくなった場合には,支援者による代弁の展開が重要であることを指摘し,代弁の展開プロセス( 代弁前段階・代弁段階・代弁後段階)を解説した.
キーワード 新オレンジプラン,認知症初期集中支援チーム,認知症の人の視点,代弁,家族の視点
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論文名 コーディネーターのかかわりによって私的社会統制を強めない住民協働の介護予防の推進効果
著者名 河合  恒
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,39(4):443 - 451,2018
抄録 地域包括ケアシステムの構築に向けて,住民主体の介護予防活動の重要性が高まっている.しかし,住民主体の活動は,住民の一体感「社会的凝集性( 地域の人々への信頼感等)」を高めるだけでなく,「私的社会統制( 地域の秩序を守るための対処行動等)」を強め,構成員への過度な要求や自由の制限をもたらし,要援護者にとっては逆に孤立を高めるような負の側面がある.だれでも気軽に参加できる,持続的な活動のためには,住民主体とはいえすべてを住民に委ねるのではなく,行政,専門職,研究者等 がコーディネーターとしてかかわり,私的社会統制を強めないような活動を支援することが必要ではないだろうか.本稿では,このような住民協働の地域介入モデルによる3 年間の地域コントロールトライアルのプロセスと効果を踏まえ,住民協働の介護予防推進のための要点を整理した.
キーワード 介護予防,社会的凝集性,私的社会統制,地域介入,アクションリサーチ
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論文名 地域包括ケアシステムから地域共生社会へ
― 地域づくりの方法と課題 ―
著者名 和気純子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,39(4):452 - 459,2018
抄録 介護保険制度などによる既存のサービス提供では問題の解決にいたらない支援困難ケースの増大や担い手の不足などにより,旧来の対象別に専門分化した制度の垣根を越え,地域住民の参加と協働,資源開発を含めた地域共生社会の構築が課題となっている.本稿では,地域包括ケアシステムの深化/進化として提起された地域共生社会の提唱に至る経緯とその基本的な考え方を整理し,包括的な相談支援体制の構築に取り組んでいる2 つの先進的自治体の事例を取り上げる.これらの分析から,地域共生社会の特性として,①対象統合性,②予防,早期発見,見守り,アウトリーチなど対象の総合性に加えた方法の総合性,③相互支援性,④保健,医療,福祉を超えた広範囲な連携,⑤市町村の役割の明確化,が認められた.他方,構築に向けた課題として,①地域間格差の拡大,②個人主義社会における「我が事・丸ごと」志向への懐疑,③有形無形のセクショナリズムが考えられる.地域共生社会の構築にむけて老年社会科学がもつ学際性,開発性,実証性の活用が期待される.
キーワード 地域共生社会,我が事・丸ごと,支援困難ケース,包括的相談支援体制
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論文名 地域における世代間交流の可能性と課題
著者名 村山 陽
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,39(4):460 - 466,2018
抄録  少子高齢化の進展を背景に家族間および地域内のつながりが希薄化している現代社会において,福祉や 教育など幅広い分野で地域における「世代間交流」に関心が集まっており,自治体レベルでさまざまな「世 代間交流プログラム」が展開されている.しかしながら「世代間交流プログラム」の多くは単発的なイベ ントで終わってしまうことが多く,継続的な事業へと進展していない現状も報告されている.こうした現 状に対して,「世代間交流」を学問的に見つめ直すとともに,熟慮された仕掛けが組み込まれた世代間交 流プログラムを創出することが求められる.地域における世代間交流プログラムの継続的な展開により, 個人レベルから地域レベルへの波及効果が期待される.
キーワード 世代間交流,世代間交流プログラム,互恵性,高齢者
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論文名 老人の反逆
著者名 小田利勝
雑誌名
巻/号/頁/年
老年社会科学,39(4):467 - 474,2018
抄録  老人は青壮年向き社会に適応することが求められてきたが,高齢化が進むと社会のほうが老人のために 種々の修正をせざるを得なくなった.オルテガの「大衆の反逆」を捩って言えば,「老人の反逆」が進ん できたということである.高齢化がいっそう進むにつれて,老人は高度産業社会の足枷になったことから 老人への反逆ともいえる対抗策が次々と講じられるようになった.生涯現役社会が提唱され,高齢者は75 歳以上と定義されるなど無老後社会の到来かと紛うほどに老人への反逆が勢いを増した.老人が青壮年層 のパートナーとして社会を担わなければならない時代ではあるが,問われるべきは,どのようなパートナー シップを築けるか,ということである.このとき,老人に期待されることは,新たな社会的仕組の構築と 社会があらぬ方向へ向かわないよう軌道修正することにシニアパワーを発揮することであろう.そこにこ そ老人の反逆の意義を見いだせるのではないだろうか.
キーワード 老人の反逆,オルテガ・イ・ガセット,無老後社会,シニアパワー,少子高齢・人口減少社会
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