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さぼることも大切

 高率よく、仕事や勉強を進めるためには、なによりも休息が必要です。介護でも休みなしには長続きしません。そのためには、お年寄りのいる空間から離れることは最良の方法です。そして、その時間を、買い物や映画、芝居見学、温泉旅行など、普段の環境とは違うことに使うべきです。思い切って介護をさぼるのもよいことと思います。

 介護者のなかには、お年寄りを介護しなければならないという理由で、自分で自分の行動範囲を非常に狭めている人がいます。友人との旅行など、自分が楽しむことに何となく自責感にかられることもあります。しかし、それがかえって家庭介護の破綻を早めているのではないでしょうか。もし仮に2泊3日の旅行に親しい友人から誘われたとすれば、積極的に参加することを勧めます。その旅行の間、家族が介護を代わってくれるとしたならば、それは家族が普段の介護者の大変さを身をもって理解できるよいチャンスです。この体験は、その後の家庭介護に力強い見方を得ることになると思います。また、ショートスティを利用することもできます。その利用には、介護者の不安もあるでしょうが、考えてみれば長期間にわたる介護の間には、介護者になにが起こるかもしれません。介護者が高齢の場合、いつ病気で入院するかもしれません。また、これから先、冠婚葬祭等で、2〜3日家を空けなければならないこともあります。そのときのために、なじみの施設を作っておくことは、なにか起こった場合、介護者が安心して預けられるだけでなく、高齢者にとっても家庭と違う環境におかれることに慣れて不安が少なくなります。

 なによりも、介護者が休息のために旅行に出かけたり、ほかに楽しむ時間をもてるということは、心のゆとりとその後の介護に大きなプラスとなるのではないでしょうか。

家事の手を抜いて

 介護者には、いくら時間があっても足りません。食事の支度や家事一般、近所つき合い等々、介護以外にもしなければならないことが山ほどあります。しかし、その忙しい毎日のなかのごく短かい時間でも、介護者自身の休息の時間や楽しむ時間をもつことが必要です。そのためには、1日の生活のなかで、また介護のなかで、時間が節約できることは極力節約し、それを自分の時間に当てる努力をしなければなりません。

 食事の支度は、1日のうちでも多くの時間を費やします。たまにはスーパーの総菜や弁当、出前などを利用し、手を抜いてみたらいかがでしょう。味も良く手ごろな値段のものがたくさんあり、材料から作るよりも値段が安い場合もあります。さらに最近では、多くの地域で高齢者世帯のための給食サービスを行っています。これなどは、大変便利で値段も安く、また栄養バランスを考えた高齢者用のメニューですから、安心して食べられます。さらに気分転換に外食なども良いかもしれません。痴呆のお年寄りをレストランに連れて行くなど考えられない、と思う介護者も多いようですが、車椅子で利用できる店も近頃では増えています。楽しい雰囲気のなかでは、お年寄りも周囲の客に気を遣いながら楽しく食事をするものです。

 そして意外に多いのが1日の汚れ物の量です。特に失禁が始まると、それは大変なことです。そこで、いっそのこと何回かに1回は汚れた衣服や寝具をオムツといっしょに捨ててしまうというのはいかがでしょう。そのためには、古くなった衣服、寝間着、シーツやタオルなどを友人や親戚に分けてもらったり、青空マーケット、リサイクルショップで安い物を探してくることもよいでしょう。そうすれば、汚れ物を気楽に捨てられるのではないでしょうか。

 ほかにも、少し考えてみれば手を抜ける家事がたくさんあるはずです。その時間を自分のために使ってみたらいかがですか。

 


 

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