摂食嚥下障害の倫理
箕岡 真子,藤島 一郎,稲葉 一人/著



体 裁
A5判 170頁
刊行日
2014年5月
ISBN
9784863510753
内容紹介
- 食の倫理を考える!
- 食べることができなくなったとき、あなたは何を考えますか? 胃ろうですか? 喉に穴を開けること?? それとも、誤嚥によって肺炎を起こし死ぬとしても口から食べようとしますか・・・!?
- 本書は生きることの意義、食べることの意義とは何かを考えるための書籍です。
著者紹介 (2014/5 現在)
- 箕岡 真子
- 東京大学大学院医学系研究科医療倫理・客員研究員/箕岡医院内科医師
- ●主な研究領域:
- バイオエシックス・終末期医療ケアの倫理・高齢者の介護倫理・認知症ケアの倫理
- ●主な著書:
- 「ケースから学ぶ高齢者ケアにおける介護倫理」共著;医歯薬出版,2008.「認知症ケアの倫理」ワールドプランニング,2010.
「私の四つのお願い」ワールドプランニング,2011.「蘇生不要指示のゆくえ」ワールドプランニング,2012.
- 藤島 一郎
- 浜松市リハビリテーション病院・院長/浜松医科大学臨床・教授/聖隷クリストファー大学臨床・教授/東京医科歯科大学大学院・講師
- ●主な著書:
- 「脳卒中の摂食・嚥下障害」医歯薬出版,1993.
「摂食・嚥下リハビリテーション」医歯薬出版,1998.
「嚥下障害ビデオシリーズ@〜G」医歯薬出版, 2004.
「目で見る嚥下障害」医歯薬出版,2006.
「嚥下障害ポケットマニュアル」第3版,医歯薬出版,2011.
「口から食べる 嚥下障害Q&A」中央法規出版,第4版,2011.
- 稲葉 一人
- 中京大学法科大学院・教授/久留米大学医学部医学科客員教授/元大阪地方裁判所判事
- ●主な著書:
- 「医療・看護過誤と訴訟」メディカ出版,2003.
「ナースのためのトラブル法律相談所」メディカ出版,2008.
「ケースから学ぶ高齢者ケアにおける介護倫理」共著,医歯薬出版,2008.
「わかりやすい倫理」共著,ワールドプランニング,2011.
目 次
- T.摂食嚥下障害に気づく
- ケース1:『夫は最近,体重減少があります』と妻がいったケース
- Q1 Aさんの栄養状態をどのように考えるのか?
- Q2 Aさんの食事摂取について先入観はなかったのか?
- Q3 摂食嚥下障害の評価とは?
- Q4 摂食嚥下障害への対処法とは?
- Q5 在宅において嚥下リハビリテーションを実行するためには?
- Q6 嚥下障害の程度に応じた対応法とは?
- Q7 嚥下機能の維持・管理のポイントとは?
- U.嚥下障害が回復可能であったケース
- ケース2:嚥下リハビリテーションで回復した脳血管障害のケース
- Q1 嚥下障害と摂食嚥下障害について
- Q2 嚥下障害の原因とは?
- Q3 嚥下障害がある場合はどこに行けばよいのか?
- Q4 Bさんのその後の経過は?
- Q5 嚥下障害について適切な評価をするための検査にはどのようなものがあるのか?
- Q6 Bさんの嚥下リハビリテーションの経過はどのようなものだったのか?
- Q7 誤嚥防止のための嚥下リハビリテーションの工夫にはどのようなものがあるのか?
- Q8 間欠的口腔食道経管栄養法(OE法)とはどのようなものか?
- Q9 嚥下障害の重症度はどのように表せばよいのか?
- ケース3:一時的な胃ろうで乗り切った脳血管障害のケース
- Q1 Cさんのケースで,胃ろうが有効と判断された理由はどうしてか?
- Q2 本人は胃ろうをすることに対して,どのように考えていたのか?
- Q3 インフォームドコンセントとはどのような概念か?
- Q4 本人は治療に関する説明を理解する能力はあったのか?
- Q5 転院後の嚥下機能検査および嚥下リハビリテーションの経過はどのようなものだったのか?
- Q6 しばしば胃ろう造設後に介護施設に入所する高齢者が,そのまま胃ろうのつけっぱなし状態のことがありますが…
- V.認知症の食事拒否のケース
- ケース4:本人の食事拒否による栄養不良にもかかわらず,家族が経管栄養を拒否したケース
- Q1 認知症の食事拒否とはどのようなものか?
- Q2 このケースにはどのような倫理的論点があるのか?
- Q3 なぜ,Dさんは食事拒否をするのか.それは認知症によるBPSDだけが原因なのか.他の疾患の合併などはないのか?
- Q4 認知症による行動障害だとすると,どのような対応方法(認
- Q5 本人には方針決定のための意思能力があるのか? 認知症である入所者は,意思能力が欠如しているという理由で食事を拒絶する権利はないのか?
- Q6 長男は代理判断者として適切か?
- Q7 長男の経管栄養を拒絶した判断は適切といえるのか?
- Q8 このような認知症のケースに対する適切な食事介助の方法とはどのようなものか?
- Q9 認知症の人の口腔ケアについて,どのようなことに留意すればよいのか?
- Q10 認知症全般における摂食嚥下障害について
- W.摂食条件を守らず,誤嚥を繰り返したケース
- ケース5:胃ろうを拒否し,死んでも口から食べたいといったケース
- Q1 このケースにはどのような倫理的論点があるのか?
- Q2 実際の事例を検討する際に,正確な医学的事実を明らかにすることは,なぜ大切なのか?
- Q3 誤嚥性肺炎を繰り返した経過はどのようなものだったのか?
- Q4 嚥下機能はどの程度だったのか?
- Q5 「口から食べること」について,本人の意思はどうだったのか?
- Q6 倫理的価値の対立
- Q7 口から食べることは,Eさん本人の最善の利益(BestInterest)にかなうのか?
- Q8 家族の判断は適切か?
- Q9 医療者は,どのような姿勢を取るべきだったのか?
- Q10 このケースの結末は?・
- Q11「食べること」に関する判例にはどのようなものがあるのか?
- X.本人に意思能力がある回復困難なケース
- ケース6-1:症状を改善する可能性のある有益な治療を拒否したケース
- Q1 Fさんの病状の経過はどのようなものだったのか? また担当医は治療方針について,どのように考えていたのか?
- Q2 Fさん本人の,治療についての考えや気持ちはどのようなものだったのか?
- Q3 家族はどのように考えていたのか?
- Q4 結局どのような結論を出したのか?
- ケース6-2:医学的適応のない治療を要求したケース
- Q1 Gさんの病状について.また担当医は治療方針についてどのように考えていたのか?
- Q2 本人の意思;Gさん本人の治療についての考えはどのようなものだったのか?
- Q3 家族の意思;家族はどのように考えていたのか?
- Q4 結局どのような結論を出したのか?
- Q5 患者にとっての「最善の利益」とは?
- Y.本人に意思能力がないと,更なる倫理的ジレンマが生じる
- ケース7:家族が「お父さんは延命治療を望んでいなかった」といった脳血管障害のケース
- Q1 担当医は具体的にどのような悩みをかかえているのか?
- Q2 このケースに含まれる医学的問題とは?
- Q3 本人意思についてどのように考えればよいのか?・
- Q4 家族の代理判断はどのような手順を踏むことが適切か?
- Q5 人工的水分栄養補給に関する法的判断にはどのようなものがあるのか?
- Q6 人工的水分栄養補給(胃ろう)に関するその他の問題点としてはどのようなものがありますか?
- ケース8:関係者間で意見が対立したアルツハイマー病の嚥下困難のケース
- Q1 家族や医療ケアチーム内では,どのような意見の相違があったのか?
- Q2 関係者間の複雑な事実関係や意見を整理し,倫理的論点を明確にするためにはどのようにすればよいのか?・
- Q3 このケースにはどのような倫理的論点があるのか?
- Q4 適切な意思決定のプロセスとはどのようなものか?
- Q5 倫理コンサルテーションについて
- Z.新たな問題提起
- ケース9-1:誤嚥性肺炎予防目的で喉頭摘出術を実施した原因不明の大脳基底核疾患の患者ケース
- ケース9-2:経口摂取を望み,局麻下声門閉鎖術という医療的処置を受けたケース
- Q1 このケースKさんの誤嚥および誤嚥性肺炎の見通し(予後)はどうですか?
- Q2 このような状況を改善するために,医療者が提案した「声門閉鎖術」とはどのようなものですか?
- Q3 Kさん本人の意思はどうでしたか?
- Q4 家族の意思はどうだったのか?
- Q5 その後の経過はどうなったのか?
- おわりに
- 1.「摂食嚥下障害の倫理」の今後の展望:法的視点から
- 2.患者さんからのサインに気づく
- 3.執筆を終わって
関連書籍
私の四つのお願い
わかりやすい倫理
認知症ケアの倫理
蘇生不要指示のゆくえ