◆どのような病気か?◆
眼底(網膜)に病変を生じ視力障害をきたす疾患で、おもに糖尿病や高血圧によってもたらされます。それぞれ糖尿病性網膜症、高血圧性網膜症(タンパク尿性網膜症)といいます。
いずれの場合も眼科医を受診し、眼底検査を受け、適切な治療を受けます。原因疾患に対しては、内科的治療を行います。特別な応急処置はありません。
−糖尿病性網膜症−
長期間にわたって糖尿病に罹患すると本症が発生してきます。全糖尿病患者の約40%に合併するといわれています。糖尿病性網膜症はその病期により大きく単純網膜症と増殖性網膜症に分けられます。前者は網膜の静脈の拡張、毛細血管瘤、出血、白斑(白い斑点が出現する)や浸出液の存在によって特徴づけられます。後者は網膜の新生血管、線維性増殖や硝子体出血、網膜剥離(網膜が眼底から剥離を起こす)により特徴づけられます。これらの網膜変化の増悪によって視力障害や失明をきたします。網膜剥離をきたしたときは視力障害のほか、眼前に幕様のものが浮遊するように感じることもあります。
治療法としては、まず第一に原因疾患である糖尿病のコントロールを行うことが重要であり、大きな血糖変動を起こさないようにします。単純性網膜症に対しては血管強化薬や微小循環改善薬の服用を行います。増殖性網膜症に対してはレーザー光による網膜光凝固術を行い、新生血管の発生を防ぎ、またその消退を促進させ、硝子体出血や牽引性網膜剥離を予防します。透光体の混濁が強く光凝固が不可能なときは、網膜冷凍凝固術を行います。陳旧性の硝子体出血は硝子体吸引療法や硝子体置換を行います。
−高血圧性網膜症−
高血圧(または高血圧を伴う腎炎)を長期間にわたって罹患すると、両眼の網膜は混濁(浮腫)、出血、白斑を生じ、また乳頭が発赤、混濁、膨張してきます。本症と高血圧症とは密接な関連があり、その眼底所見は高血圧症の経過や重症度の指標となります。
◆治療法◆
治療としては高血圧や腎炎の治療を行います。 |
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