Q&A 痴呆介護の100か条
091〜093
痴呆症の介護における自己決定
091.
自己決定の問題は難しいが、逃げてばかりもいられない
老人ホームに入るかどうか、自分の資産を介護のためにどのように使うのか、終末期医療をどのようにするのかといった、生活の質を高めるための重要な問題を自分で決めることを、自己決定といいます。痴呆症になると、このような自己決定がなかなか難しいうえに、決定したことを自分一人では実行できないために、問題が複雑になります。介護する人の体力、気力、経済力など、諸般の事情で、本人の希望に添えないことも多々ありますが、できる限りご本人の意思に沿った介護を心がける必要があると思います。
092.
独りよがりは間違いの始まり
ご本人の意思が確認できない場合、あるいは周囲の状況やご自分の状況が的確に判断できない場合、ご家族が代わって判断をすることになります。そのようなときは、関係するご家族が集まって、充分話し合いをすべきです。ある決定のために、実際に介護をする人の負担が大きく変わるような場合、その人の意見がまず尊重されるべきであることはもちろんですが、初めから、お母さんの気持ちがわかっているのは私だけだ、といった独りよがりの態度は、間違いの元であり、かえってその人の最期のときを気まずいものにしかねません。
093.
入院、入所をどのようにするのか
ホーム入所や病院への入院は、本来は本人の意思によらなければなりません。特に、入り口に鍵がかかっており、自由に出入りできないような所は、何らかの法律的な手続きが必要ですが、現在の日本の実状では、ご本人に能力がなくなれば、ご家族がご本人の名前で書類を作って代行しています。法律が整備されていなために、これはやむを得ないことなのですが、たとえ徘徊があって危険であるにせよ、個人の自由を束縛することになるため、十分かつ慎重に対応する必要があります。
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