Q&A 痴呆介護の100か条
087〜090
施設の選び方
087.
使う気がなくても、見ておいて損はない
在宅介護をしようと決めている人も、余裕のあるうちに、病院や施設を見学しておくのは無駄になりません。施設介護の良さがわかることもあるし、自分の介護のすばらしさを確認して自信をもつこともあるでしょう。いずれにせよ、痴呆介護は長い年月を要することですから、将来に備えて、いざというときは、あそこでケアしてもらおうという心づもりがあると、心理的に介護が楽になるはずです。在宅介護以外のオプションをもっていると、介護の幅、介護者の人生の幅も広がります。
088.
施設は来て、見て、嗅いでみる
見学に行ったときは、建物の立派さ、職員の若々しさなどに目を奪われずに、そこにいるお年寄りの様子、表情をよくみてきてください。生き生きとして、清潔な様子ならば良い施設と考えてよいでしょう。部屋のベッドにいる寝たきりのお年寄りの様子もしっかりみてきましょう。居室に入ったとたんに、排泄物の臭いがするようでは問題があります。おむつが汚れた場合は随時交換か、時間を決めて換えるのか、後者なら、一日何回換えるのかなども聞いてみましょう。入浴の施設もみせてもらい、入浴回数も確認します。
089.
グループホームはオールマイティーではない
痴呆症のお年寄りを八人前後の小グループで介護する、グループホームが増えています。グループホームには、大規模施設や病院にない素晴らしい面がたくさんありますが、欠点もたくさんあります。たとえば、大声を上げるとか、激しい徘徊があるような場合、大きい施設の場合はそれほど目立たなかったのに、小さなグループホームでは、他の入居者から浮いてしまうようなことがあります。施設の種類による特性や、個々の施設の個性を理解して、自分の家族にふさわしい施設を探すようにしてください。
090.
グループホームの注意点
グループホームの最大の利点は、規模が小さいので、家庭に近い生活が可能であるという点です。一方で、規模の小ささがグループホームの限界でもあります。前の章でも述べたように、規模が小さいと、仲間と合わなかった場合に逃げ場がありません。また、職員の数も少なくなりますから、その中に一人、困った職員がいると、その影響は大きな施設とは比べものになりません。事前の調査を慎重にし、入居後も、グループホームだから安心だなどと思わず、家族が頻繁に顔を出すことが、施設のモラルを高めるために非常に重要です。
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