Q&A 痴呆介護の100か条
083〜086
医療機関の利用
083.
病院にもいろいろな種類がある
痴呆のケアをする病院には、痴呆性疾患治療病棟、痴呆性疾患療養病棟、介護力強化病院、療養型病院などがあります。痴呆性疾患治療病棟は、精神病院に併設され、激しい精神症状や問題行動をもつ患者さんを治療する所で、入院期間はおよそ3か月です。その他の病院は、もう少し長くケアをしてくれますが1年ぐらいを限度とする所が多いようです。病院の種類によって、病棟の広さや看護スタッフと介護スタッフの人数の比率、入院可能期間などに違いがあります。
084.
「精神科ではいくら何でもかわいそう」は大いなる誤解
「いくら何でも精神科ではかわいそうだ」という理由で、精神科の病院を避けたくなるご家族の気持ちはわかりますが、身体疾患の患者さんの多い病院に、痴呆症で動きの激しい患者さんが入院すると、スタッフの目が届かないばかりか、医者も精神科の薬を使い慣れていないことが多く、結局、薬の副作用等で寝たきりにされてしまうということが少なくありません。もっとも、精神科医が全員、痴呆症の治療に習熟しているわけではないことを念頭に、慎重に病院を選んでください。
085.
入院には、保険外負担がある
入院によるケアを受けようと思うときは、見学によりケアの質を自分の目で確かめるのと同時に、費用や入院期間などを調べることが大切です。これらの病院では、医療費の自己負担分、給食費に加えて、おむつ代、クリーニング代、おやつや消耗品代として、保険外に8万円から20万円程度が必要です。このほか、個室や2人部屋などを使用すると別途、差額ベッド代が必要になります。さらに入院時に、保証金として一定の額を預けなければならない所もあります。保証金は退院時に戻ります。
086.
病院は長くて1年と思っていたほうがいい
例外もありますが、病院の入院期間は長くて1年程度の所が多いと思っていたほうが安全です。精神科的な治療を積極的にするために、いろいろな職種のスタッフを多く抱えている痴呆性疾患治療病棟はおよそ3か月がめどですし、少しスタッフの少ない長期療養のための病院でも1年程度という所が多いようです。入院時に実状をよく聞いて、早めに次の手を打つ必要があります。介護保険の導入などによって、この辺が実際にどのように変わっていくかは、いまのところはわかりません。
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