Q&A 痴呆介護の100か条 068〜074
在宅介護のための社会資源・介護機器

 


 

068. ホームヘルパーにもいろいろある
 ホームヘルパーというのは、お年寄りの自宅を訪問して家事や介護を手伝ってくれる人のことです。訪問看護婦とは違うため、注射や褥瘡の手当てなどという、医療行為はできません。介護保険では、家事だけを頼むか、介護だけを頼むか、あるいは両方を少しずつ頼むかによって、料金が異なります。まとまって数時間、家に滞在して仕事をしてもらう場合と、時間を決めて、24時間、定期的に短時間の介護を依頼する場合があり、必要に応じて使い分けましょう。ホームヘルプは文字どおりマンツーマンの仕事ですから、お互いに率直に接し、わだかまりができないように気をつけましょう。ヘルパーさんのくる日は、気を遣って疲れるというようでは意味がありません。なにを依頼するかをはっきりさせ、依頼したならば、遠慮なくすべてを任せ、不満な点については話し合いましょう。

 

069. デイサービス・デイケアを上手に使う
 デイサービス、デイケアというのは、福祉機関や医療機関が、日中、痴呆症などのお年寄りを預かってケアしてくれる制度です。集団になじみやすい人、なじみにくい人がいますが、うまく適応できれば、介護者は、決まった時間、介護から解放されます。うちのおじいさんは気むずかしくてだめだと決めつける前に、見学だけでもしてみましょう。週2日、6時間という所もあれば、年中無休で、さらに長時間のケアをしてくれる所もあります。

 

070. ショートステイサービスをうまく使うこつ
 ショートステイは、福祉施設に短期間、お年寄りを預かってくれる制度です。泊まる場所が変わることは、お年寄りにとってはストレスですから、初めてこの制度を利用するときは、調子を狂わせて、せん妄状態を起こしたりする人も少なくありません。初めは無理をせず、混乱するようであるならば、1日で連れ戻すぐらいの気持ちで利用してみましょう。繰り返し利用しているうちにお年寄りも、預かる施設の職員も慣れてきて、楽しく過ごせるようになります。気長にトライしてみましょう。

 

071. 入浴介助も積極的に利用する
 入浴サービスには、寝たきりのお年寄りのために、専用の浴槽を運んできて入浴させてくれるもの、デイサービスを行っている施設で、日中お風呂に入れてくれるサービスなどがあります。入浴介助は、専門家といえども重労働であり、まして、狭い家庭のお風呂で、嫌がるお年寄りを入浴させるのは高齢の介護者にとって危険な作業といえます。歳をとると新陳代謝も少なくなることから、若いときのように頻繁に入浴する必要もなくなります。必要に応じて、利用してみましょう。

 

072. その他の在宅介護支援サービス
 いままで紹介してきましたサービスのほかに保健婦による訪問指導、リハビリテーションの専門家による訪問指導、配食サービス、介護用具(介護用ベッド、車椅子、歩行器など)の給付、助成、あるいは貸与、おむつの支給(現物支給と費用給付があります)、住まいの改造助成、緊急通報システムの設置など、さまざまなサービスが準備されつつあります。しかしながら、これらのサービスの実状は、自治体ごとに大きく異なっていますから、自分の住んでいる地域の実体をよく把握しておくことが重要です。

 

073. 介護の道具は創意工夫で
 食器、衣類など日常使用する道具は、お年寄りの様子を観察しながら、工夫してみましょう。たとえば、スプーンで食事をする場合、平らなお皿より、グラタン皿のように縁のたったもののほうがスプーンに食物をのせやすくなります。衣類の着脱がスムーズにできないときは、ウエストがゴムのズボンがよいかもしれませんが、市販のものは、いかにもそれらしいものばかりです。ふつうの服に工夫をして、おしゃれで、かつ脱ぎ着が楽なものを作ってみましょう。

 

074. ボランティアの利用は逆ボラ精神で
 ボランティアは、公的福祉の隙間を埋めるサービスをしてくれますが、在宅介護をボランティアに手伝ってもらうためには、それなりの気配りが必要です。お金を払っているわけではないため、関係が曖昧になりがちですが、事前にこちらがボランティアに期待すること、相手が提供してくれるサービス、条件などをよく話し合い、トラブルが生じた場合の解決方法も明確にしておきましょう。初めは、ボランティアのお世話をするぐらいのつもりでいなければうまくいきません。

 


 

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