Q&A 痴呆介護の100か条 014〜017
痴呆症と診断されたとき

 


 

014.

病院での説明を聞く場合は、関係者全員で
 病院では初診の後、検査を受け、検査結果が出そろったところで診断や今後の見通しを聞くことになります。本人にもできる限り正確な情報を伝え、本人の希望が介護に生かせるようにします。本人がすでに理解力を失っているときは、実際に介護に携わる人だけでなく、関係する人がそろって医者から説明を聞くようにしましょう。子どもが多い場合など、1人だけが医者の話を聞いて、後で他の兄弟に伝えるというケースを時々見かけますが、情報が途中で混乱し、後々、介護している人のやり方に、他の兄弟が不満をもったり、介護にかかる経費負担や遺産の相続などで、思いがけない家族間のトラブルを引き起こす原因となったりすることがあります。伝言ゲームは間違いのもとです。

 

015. 一緒に住んでいない親戚や周囲の人たちにも、正しい理解をもってもらう
 親戚といっても、立場やその家族関係により、介護への関わりはさまざまです。病気についての情報は、基本的には患者のプライバシーの問題であるため、やたらに知らせればよいというものではありません。しかし、介護方法や対応の仕方に、普段あまり付き合いのない兄弟や親戚が口を出して面倒だというようなエピソードは少なくありません。このような事態が予測されるときは、あらかじめ、必要最小限の客観的な情報を知らせておいたほうがよいと思います。

 

016. 介護計画を立てる前に、わからないことはどんどん相談する
 介護の方針を立てる前に、わからないことは、診断をした医者や、地元の福祉事務所、在宅介護支援センターなどに質問しましょう。いざというとき入院できる医療機関、身体の病気やけがを診療してくれる病院が近所にあるか、往診してくれる医者がいるか、地元の福祉の現状はどうかなどをチェックします。福祉サービスのリストだけをみると、何でもそろっているようにみえますが、週に1度だけの給食サービス、3年待ちの特別養護老人ホームなどということもしばしばみられることから具体的なチェックが重要です。

 

017. 在宅介護のほうが、施設介護より優れているとはいえない
 なにはともあれ在宅介護が一番というのは幻想です。在宅介護、施設介護それぞれに長所、短所があり、家族ごとに向き不向きがあります。地方に行くといまだに老人の在宅介護は嫁の役目だと思われ、在宅介護に対する無言の強制がある場合が少なくありません。そのようなときは、せめて嫁だけでなく、息子にもなにがしかの責任を負ってもらう必要があります。世間の偏見、親族の身勝手に負けないで、実際に介護する人を中心に、家族全員が、本当はどのようにしたいのかを考えましょう。

 


 

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