Q&A 痴呆介護の100か条 009〜013
痴呆症が疑われたときは、どのようにすればよいのか

 


 

009.

痴呆症の始まりはもの忘れで気づかれることが多い
 家族が高齢者の痴呆症に気づくのは、やはり、もの忘れによることが多いようです。単なる老化現象なのか、痴呆症によるもの忘れなのかは、初めのうちはなかなか判断できません。忘れたことを指摘されても、思い出せないとか、新しいことを全然覚えられない場合は要注意です。このほか、日常の家事がスムーズにできなくなる、判断力が鈍る、自信なさそうで引っ込み思案になる、逆に疑り深く攻撃的になった、怒りっぽくなった、といった性格の変化などで気づくこともあります。

 

010. 単なるもの忘れと、痴呆症によるもの忘れでは、質が違う
 歳をとるに従って新しいことが覚えられない、人の名前が思い出せないといったもの忘れが起こるのは当たり前のことです。それでは、単なるもの忘れと痴呆症のもの忘れとはどこがどのように違うのでしょうか。正常なお年寄りでも歳をとると新しいことを覚えられない、覚えていることを思い出せないという症状が起こってきます。しかし、正常なもの忘れの場合、後から指摘されると、たいていの場合「ああ、そうだった」と思い出せます。これに対して、痴呆症の場合は、忘れたということを忘れてしまい、もの忘れの自覚が薄かったり、後から指摘されても思い出せないことが多くなります。進行すると、覚えていたことを、近いところから少しずつ忘れ、最終的には自分の名前や誕生日さえも忘れてしまうこともあります。

 

011. 痴呆症が心配になったら、まず、正確な診断が大事
 痴呆症の初期においてその診断を下すことは、専門医にとってもなかなか難しいことです。しかし、悩むより信用できる医療機関を探して相談しましょう。早期に診断するためには、経験のある専門医だけでなく、CTやMRIのような画像診断のできる設備や、心理検査のできるスタッフなどが必要です。身体的な病気が原因で痴呆のようにみえることもありますから、身体的な病気のスクリーニングも同時にできる病院であると申し分ありません。

 

012. 正確な診断をしてくれる専門医は、口コミで探す
 痴呆症を扱うのは、精神科、神経内科、老人科などですが、これらの診療科に行けばどこの病院でも痴呆症の専門医がいるというわけではありません。痴呆症を診察してくれる信頼できる医者を捜すには、「呆け老人をかかえる家族の会」の電話相談などを通じて、経験者から教えてもらう、かかりつけの家庭医、保健所、福祉事務所の高齢福祉課で聞いてみるなど、地域の生の声を聞いてみることが大切です。本を何冊も書いているとか、テレビによく出る医者が必ずしもよい医者とは限りません。

 

013. 本人が嫌がるときは、家族が医療機関に相談に行く
 何らかの事情で、ご本人を医療機関に連れていけない場合は、ご家族だけでも相談に行きましょう。福祉事務所、在宅介護支援センターなどにも相談窓口はありますが、痴呆症だということがはっきりしていない段階の相談ならば、老人性痴呆疾患センターなどの老年期の精神医学に詳しい医師がいる病院を訪ねたほうがよいと思います。精神保健福祉センターや保健所で定期的に精神科医が相談に応じている所もあります。

 


 

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