◆どのような病気か?◆
痛風は、高尿酸血症の結果起こる疾患です。尿酸は、細胞の新陳代謝により生じる老廃物の1つで、毎日一定量が体内でつくられ、一定量が腎臓から尿に排泄されます。しかし、何らかの原因により尿酸の過生産や(過剰生産型)、腎臓からの排泄障害により(排泄低下型)、尿酸が血液中に多くなり高尿酸血症となります。血清尿酸がある程度の濃度以上になると、足指の関節に尿酸塩が結晶化し析出します。その結晶を白血球が異物と認識し炎症を起こし、激痛を生じます。これが“痛風発作”といわれる痛みです。
しかし痛風発作は、その本体である高尿酸血症の一症状で、大切なのは無症状である高尿酸血症です。というのは、治療せずに放置すると、高尿酸血症は腎障害や尿路結石を引き起こし、さらに血管障害の結果、脳梗塞や心筋梗塞のような重大な合併症を引き起こすことがあるからです。老人の場合、とくに注意が必要です。
以前、日本人には痛風はほとんどみられないといわれていました。いまは日本人の痛風有病率は高いほうにあります。かつては王者の病といわれたように、ぜいたくなものをたくさん食べる人に起こるといわれたものですが、腎機能低下、高血圧、薬物や遺伝体質などが要因としてあげられます。また、その痛風患者のほとんどは50歳前後の男性であり、活動的、行動的な性格とも関係がありそうです。しかし、完治しないままに慢性化している老人もよくみられます。
◆症状と特徴◆
痛風の痛みは夜明け前に急激に起こり、一番の特徴は足の親指の付け根が赤く腫れ、患部に激痛が起こることです。これが″痛風発作″で、この関節炎は「急性単関節炎」です。発作後24時間以内に最高に達し、多くは1週間以内に軽微となりますが、年に数回発作を繰り返します。軽快後は次の発作まで無症状であることが特徴です。またこれは、手指や膝、足首などの関節にも起こることがあります。この激痛は高齢になると程度が軽くなる傾向があります。しかし痛風で大切なのは、高尿酸血症であることはいうまでもありません。
その後、発作を繰り返すうちに、多くの他の関節が次々と炎症を起こし、痛むようになります。さらに関節炎が慢性化し、痛風結節が形成されたり、関節破壊や前述の尿路結石、その他の合併症が起こってきます。
痛風結節とは、重症化し皮下に蓄積された尿酸塩の結晶をいいます。しかし、放置することなく適切な治療をすれば、これらはほとんど完全に防止することが可能です。
緊急時の応急処置
痛風発作には発作の予感(局所に違和感を伴う)があり、うまく予感をとらえコルヒチンを1錠服用すると、発作が予防できます。痛風発作が起こったときは、抗炎症鎮痛薬を用います。
痛風発作の経験をした人は、主治医から発作時の対処の方法の指導を受けておくことが必要です。
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