論文名 | 認知症患者の地域生活支援 |
著者名 | 斎藤正彦 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,26(5):0473-0478,2015 |
抄録 | これからの認知症対策を考えるとき,標準的なモデルとなるのは,単身者,あるいは高齢者2人だけの核家族世帯である.最少限,必要なものは,さりげない見守りやちょっとした援助が得やすい住環境というハードと,そこでの生活の安全を保証する制度というソフトである.この2つが整えば,認知症のみならず,障害をもつ人,母子家庭,高齢の単身者などがともに生活するユニバーサルな社会が創出できるはずである. |
キーワード | 住居,権利擁護,地域ケア,高齢者,認知症 |
論文名 | コミュニケーション困難な人の住宅・住環境におけるバリアの存在とその除去の可能性について |
著者名 | 園田眞理子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,26(5):0479-0486,2015 |
抄録 | 近年の研究により,高機能自閉症,アスペルガー症候群等のコミュニケーション困難な人が,実は感覚過敏・鈍麻等の障害を有していることがわかってきている.本稿ではコミュニケーション困難者の認知特性や心理特性を踏まえた居住環境のバリアフリーを目指して,当事者固有の感覚障害と現状の建築環境の間に生じている摩擦の存在を指摘し,環境条件を調整して当事者にとっての快適な環境を実現する可能性を指摘した. |
キーワード | 自閉症スペクトラム障害,アスペルガー症候群,認知症,感覚過敏・鈍麻,居住環境,バリアフリー |
論文名 | 認知症の人の暮らしを支える「生活支援」とはなにか |
著者名 | 粟田主一 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,26(5):0487-0492,2015 |
抄録 | 認知症の人の暮らしを支える「生活支援」とは,@認知症の人の思いに耳を傾け,相互に信頼し,尊重し,助け合うことができる人と人との関係性の構築を支援すること(対人関係支援),Aそれを基礎にして,情緒的・情報的・手段的ソーシャルサポートを継続的・包括的に提供することができる環境をつくること(トータル・サポート),Bそれらによって,認知症の有無にかかわらず,人々が社会とのつながりのなかで,希望と尊厳をもって生きていくことができる地域社会をつくること(地域づくり,社会関係資本の醸成)であろう.その実現を担保する人・ |
キーワード | 認知症,生活支援,対人関係支援,トータル・サポート,社会関係資本 |
論文名 | 過疎高齢化が進む中山間地域に暮らす認知症高齢者の「住まい」と「生活支援」 |
著者名 | 池田昌弘 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,26(5):0493-0497,2015 |
抄録 | 資源がないようにみえる中山間の小さな集落で,認知症の人や何らかの支援の必要な人,近所で気にかけている人とともに工夫して「支え合っている」という実践が生まれている.住民の困り事を住民が手伝う便利屋事業や宅幼老所,過疎地有償運送,若者定住対策事業,食品加工,災害時一泊避難所体験など,いずれも支援する人とされる人という境目を際立たせずに,最期まで暮らせる集落づくりに取り組む.介護保険改正に伴い,ご近所のつながりや支え合いを支える「介護保険の運用」が期待される. |
キーワード | 「地域での暮らし」こそフォーマルサービス,支援する人と支援される人を明確に分けない,住民の暮らしに寄り添う介護保険の運用,地区社会福祉協議会の活動 |
論文名 | 大都市に暮らす単身・低所得認知症高齢者の「住まい」と「生活支援」 |
著者名 | 滝脇 憲 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,26(5):0498-0508,2015 |
抄録 | 賃貸住宅管理の経験をもとに,低所得認知症高齢者のような“弱い人”が住み続けられる地域をつくる「寄りそい地域事業」を構想した.高齢化や人口減少により都市部でも空き家が増えるなか,賃貸住宅経営の持続可能性が不安視されている.社会的不動産事業者は大家となって,家主の抱える不安に寄り添い,入居者のトラブルに対応し,互助をつくる.認知症高齢者等の居場所や生活支援のコストは家主が負担するが,そのためには生活支援をオーソライズすることが必要である. |
キーワード | 社会的不動産,家主支援,トラブル対応,互助,寄りそい地域 |
論文名 | 認知症の人とともに暮らす街を創る |
著者名 | 池田武俊 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,26(5):0509-0516,2015 |
抄録 | 福岡県大牟田市では平成13年から認知症の人とともに暮らす街づくり「地域認知症ケアコミュニティ推進事業」を進めてきた.認知症になっても住み慣れた地域で,豊かに暮らし続けることができるように「地域全体で認知症の理解を深め,認知症の人と家族を支える」街づくりである.この街づくりは,10年以上にわたる大牟田市認知症ケア研究会と行政とのコラボレーションの成果であり,その取組みと成果をここに記した. |
キーワード | 大牟田市地域認知症ケアコミュニティ推進事業,地域全体で認知症の人を支える,介護現場と地域と行政との協働,大牟田地区高齢者等SOSネットワーク,認知症であってもなくても一緒にスポーツ「九州ファイア」 |
論文名 | 認知症高齢者の地域居住の戦略 |
著者名 | 高橋紘士 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,26(5):0517-0524,2015 |
抄録 | 今後急速に増加する認知症の人への対処は,従来のような病院・施設では明らかに限界があり,また,認知症の生活機能低下の促進要因でもある.地域での生活継続のためには地域住民によるインフォーマルサポートを開発することが必要で,そのような実践事例を紹介し,国のモデル事業の取組みを紹介した.さらに地域づくりを通じた「地域善隣事業」の取組みは今後の認知症の人への地域居住支援としても重要になるということを論じた. |
キーワード | 単身要介護世帯,退院促進,地域居住,地域づくり,インフォーマルサポート |
論文名 | 認知症の人のための「住まい」と「生活支援」の議論の枠組みについて |
著者名 | 宮島俊彦 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,26(5):0525-0529,2015 |
抄録 | 認知症の人のための「住まい」と「生活支援」といった場合に,そもそもそれはなにを指しているのかを議論するための枠組みを提示した.「住まい」については,その範囲とケアが外付けとなっていることに伴う課題を述べた.また,「生活支援」については,自助,互助,共助,公助の提供形態について概説した.そして,認知症の人にとって,とりわけ重要な初期支援,後見,公助としての支援のそれぞれについての課題と政策の方向を述べた. |
キーワード | 住まいとケア,ケアの内付けと外付け,生活支援の提供形態,初期支援,リンクワーカー |
論文名 | 日本語版The Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J)の遅延再生における床効果の検討 |
著者名 | 追分千春・大日方千春・田畑千絵・塚田大剛・星野美幸・鳥羽泰之 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,26(5):0531-0538,2015 |
抄録 | 本研究では,記憶障害の評価として日本語版The Montreal Cognitive Assessment (MoCA-J) の記憶と遅延再生の項目を活用できないか模索することを目的に,MMSEと比較を行い,MoCA-Jの遅延再生の床効果について検討した.対象は,もの忘れを主訴に当院を受診した234人の患者(CDR 0:58人,CDR 0.5:98人,CDR 1:56人,CDR 2:22人)であった.調査の結果,軽度認知障害(Mild NCD),軽度の認知症(Major NCD)においてMoCA-Jの記憶 |
キーワード | 日本語版The Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J),臨床的認知症尺度(CDR),軽度認知障害(Mild NCD),記憶障害 |