2015 Vol.26 No.4
 
 
第26巻第4号(通巻328号)
2015年4月20日 発行
 
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老年精神医学雑誌電子版
巻 頭 言
首を回らせば
深津 亮
特集 アルツハイマー病診断後の生活ストラテジー
早期診断を福音とするために
斎藤正彦
軽度認知障害(MCI)診断後の生活ストラテジー
浅見大紀・朝田 隆
アルツハイマー病診断後の経済的安定に向けた社会資源の活用
駒井由起子
患者自身のための抗認知症薬の効果と適応
入谷修司
成年後見制度を自分の意思で利用する
田山輝明・金川 洋
認知機能低下を補う支援技術(ATC)とセーフティーネット
松田 修
医療サービス,生活支援サービス,介護保険サービスを利用する
粟田主一
認知症の身体合併症の治療,終末期医療の考え方
犬尾英里子・斎藤正彦
アルツハイマー病早期診断の功罪
松下正明
原著論文
amnestic MCIにおけるアルツハイマー病移行への神経心理学的予測
岡ア由美子ほか
基礎講座
老年心理学の最前線C高齢者の実行機能
熊田孝恒
連  載
老年期の精神医療における多職種協働の実践例報告L地域包括支援センター認知症相談事例の検討
中嶋富美子ほか
文献抄録
山本泰司
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編集後記

 
 
論文名 早期診断を福音とするために
著者名 斎藤正彦
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,26(4):0357-0361,2015
抄録 人口高齢化と認知症患者の増大は,世界各国の共通の課題となっている.認知症を発症した高齢者の早期診断,早期治療は長期的な社会政策上の負担を軽減するという視点から語られることが多いが,医療の本来の役割は,患者自身の人生を豊かにするということである.この総説では,わが国の超高齢社会の現実を概観し,認知症施策の問題点を指摘して,認知症早期の診断を,真に患者自身の福音とするための前提条件を整理した.
キーワード 認知症,早期診断,早期治療,認知症対策
 
論文名 軽度認知障害(MCI)診断後の生活ストラテジー
著者名 浅見大紀,朝田 隆
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,26(4):0362-0368,2015
抄録 本稿では,軽度認知障害(MCI)診断あるいは認知症の早期診断に引き続く早期対応について述べた.従来のオレンジプランの方向性をもとにしつつも,一般国民の生活感覚にマッチした新たなモデルが求められている.医療でもなければ介護でもない新しい形態である.ここでは「たとえMCIと診断されても,リカバリー=妥当な期待をもてるようになること」を目指す.そのために必要と思われる基本的な方略と具体的な介入内容について記した.
キーワード MCI,early diagnosis,intervention,daily life,hope
 
論文名 アルツハイマー病診断後の経済的安定に向けた社会資源の活用
著者名 駒井由起子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,26(4):0369-0375,2015
抄録 アルツハイマー病診断後の経済生活と日常生活安定に向けて活用できる社会資源について整理するとともに,事例をもとに具体的な対処方法を紹介した.安定した支援供給のために多面的な視点で制度を駆使することが第1の選択であり,地域のインフォーマル支援を対象者に応じて組み合わせることが第2の選択となる.また社会資源利用時の留意点は,本人の意思表出と判断の補助で,アセスメントおよび理解を補う方法を用いることが大切である.
キーワード 制度,経済的問題,インフォーマル支援,障害年金,財産管理
 
論文名 患者自身のための抗認知症薬の効果と適応
著者名 入谷修司
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,26(4):0376-0383,2015
抄録 われわれ医療者は,医療者の視点・立場から薬剤を処方する.通常の医療場面では,医師は困っている患者に,投薬目的と薬物投与のメリット・デメリットを,そして代替治療を提案し,合意を得る.はやり言葉でいえば,シェアード・デシジョン・メイキング(shared decision-making)という行為である.しかし,認知症の医療場面では,抗認知症薬の投薬様相はかなり相違している.決して,「患者自身」の十分な了解のもとに処方はなされないし,心情的に,「藁にもすがる気持ち」を背景に,また早期発見・早期治療の御旗のもとに
キーワード 抗認知症薬,早期発見,早期治療,EBM
 
論文名 成年後見制度を自分の意思で利用する
著者名 田山輝明,金川 洋
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,26(4):0384-0390,2015
抄録 遺言制度が自らの意思の死後における実現を目指すものならば,成年後見制度等は健常なときの自らの意思や希望を,判断能力が衰えたあとでも実現できるようにするための制度である.アルツハイマー病が早期または予兆の段階で診断されれば,それだけ早く自らの将来を適任者に指示し,自らの意思の実現を図れることとなる.本稿ではそのための諸制度を紹介し,現状と今後の方向性とを考察した.
キーワード 判断能力,成年後見,任意後見,日常生活自立支援事業,自己決定
 
論文名 認知機能低下を補う支援技術(ATC)とセーフティーネット
著者名 松田 修
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,26(4):0391-0397,2015
抄録 アルツハイマー病(AD)になっても安心して暮らせる生活環境には,認知機能低下を補う工夫や配慮が必要である.そのひとつとして,認知機能低下を補う支援技術(ATC)への関心は高まっている.ATCは認知負荷の軽減への効用が期待されるが,ADに適用した実証研究はいまだ十分ではない.また,詐欺などの被害から人々を守るセーフティーネットの充実も重要である.しかし,この種の制度利用に必要な能力評価法には課題がある.真に保護を必要とする人々のニーズを見逃さないためには,詐欺状況下における意思決定過程に関連するワーキングメ
キーワード assistive technology for cognition(ATC),認知機能低下,ワーキングメモリ
 
論文名 医療サービス,生活支援サービス,介護保険サービスを利用する
著者名 粟田主一
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,26(4):0398-0405,2015
抄録 アルツハイマー病の診断後支援で最も重要なことは,これから創り出される支援のネットワークのなかで,本人も家族も,希望をもって暮らしていくことができることを伝えることである.そこをスタート地点として,かかりつけ医が提供するプライマリヘルスケア,地域包括支援センターが調整する生活支援サービス,介護支援専門員とともに計画する介護保険サービスを利用しながら,社会とのつながりを保ち,相互に信頼し,尊重し,助け合う,人と人との関係をつくり維持していくことが,生活ストラテジーの基本になる.
キーワード 診断後支援,プライマリヘルスケア,生活支援サービス,介護保険サービス
 
論文名 認知症の身体合併症の治療,終末期医療の考え方
著者名 犬尾英里子,斎藤正彦
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,26(4):0406-0412,2015
抄録 認知症患者の増加に伴い,厚生労働省は「新オレンジプラン」を発表し,さまざまな対策に取り組んでいる.しかし,認知症が進行するにつれて必ず直面する身体合併症・終末期の医療については,具体的な指針が存在しない.認知症という基礎疾患がある前提でどのような身体合併症治療が適切であり,またどのような施設があれば適切な医療を提供できるのかを検討することが,今後の認知症医療のうえで取り組むべき課題であり,「認知症身体合併症治療選択・決定プロセスの指針」の作成が求められる.
キーワード 認知症,身体合併症,終末期医療,End-of-Life care,治療指針
 
論文名 アルツハイマー病早期診断の功罪
著者名 松下正明
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,26(4):0413-0418,2015
抄録 認知症と早期診断・告知することの利点,欠点について述べた.認知症の場合,早期診断・告知には慎重でなければならないことを主張する背景には,認知症に対する治療法が存在しないこと,アルツハイマー型認知症に代表されるように,高齢期の認知症は,正常の高齢者にみられる認知機能の減退と連続性の関係にあること,認知症と診断・告知されることによる絶望に至る心理的影響,生活上の影響を配慮しなければならないことなどの認知症特有の特徴があるからである.
キーワード 認知症,早期診断,病名告知,アルツハイマー型認知症,心理・生活上への影響
 
論文名 amnestic MCIにおけるアルツハイマー病移行への神経心理学的予測
著者名 岡ア由美子・田畑昌子・東 靖人
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,26(4):0421-0427,2015
抄録 本研究では,ウェクスラー(Wechsler)式神経心理学的検査に認められる認知機能の特徴が,アルツハイマー病(AD)への移行を予測できるかを検討した.当院を受診したamnestic MCI(健忘型軽度認知障害)症例を約2年半追跡し,ADへの移行の有無から,診断時の認知機能について検討した.対象は,もの忘れを主訴に受診し,当院aMCIの診断基準を満たし,その後1年以上定期的に通院しているaMCI患者28人であった.全対象者に対して,診断時にWMS-RとWAIS-Vを実施し,診断確定後はスクリーニング検査で定
キーワード amnestic MCI,アルツハイマー病,ウェクスラー式検査,移行予測