論文名 | パーキンソン病の疫学と診断 |
著者名 | 樽野陽亮,高橋良輔 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,25(11):1199-1208,2014 |
抄録 | パーキンソン病は,高齢者において神経難病ながら,一般的な神経疾患である.古典的な運動症状に加え,多くの非運動症状を呈することが明らかとなり,疾患概念が大きく変わりつつある.また,わが国でも『パーキンソン病治療ガイドライン』が整備され,エビデンスに基づいた適切な治療の普及が進んでいる.一方で,パーキンソニズムを呈する病態は多く,その正確な鑑別が重要である. |
キーワード | パーキンソン病,有病率,パーキンソン病関連疾患,二次性パーキンソニズム |
論文名 | パーキンソン病の分子病態 |
著者名 | 馬場孝輔,望月秀樹 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,25(11):1209-1213,2014 |
抄録 | パーキンソン病(PD)は中脳黒質ドパミン神経細胞の変性,細胞死を主体とした進行性の神経変性疾患である.PDは大部分を占める孤発性とまれな家族性の2つの病型が存在するが,いずれもその発症にかかわる分子レベルでの機序は不明である.しかし,近年飛躍的に研究が進み,孤発性では新たな病態仮説が提唱され,また家族性では20に及ぶ関連遺伝子が同定,解析され,PDの病態機序が徐々に解明されつつある. |
キーワード | 家族性パーキンソン病,α-synuclein,プリオン仮説,ミトコンドリア機能障害,タンパク質分解系 |
論文名 | パーキンソン病の運動症状の特徴 |
著者名 | 秋本幸子,菊地誠志 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,25(11):1214-1217,2014 |
抄録 | パーキンソン病の主な運動症状として安静時振戦,筋強剛,無動,姿勢反射障害の四大徴候が知られている.病初期には無動や姿勢反射障害はみられないことが多い.多くの症例において振戦,筋強剛は初期には片側的に生じ,進行期においても発症側の症状が強く,左右差が継続する. |
キーワード | 安静時振戦,筋強剛,無動,姿勢反射障害,kinesie paradoxale |
論文名 | パーキンソン病の認知機能障害 |
著者名 | 鈴木由希子,数井裕光,武田雅俊 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,25(11):1218-1221,2014 |
抄録 | パーキンソン病(PD)では,遂行機能障害,注意障害,記憶障害,視覚性認知機能障害などの,さまざまな認知機能障害が出現する.障害の程度は,日常生活には支障のないものから認知症と診断されるものまで個人差が大きい.認知機能の全般的な評価に加え,より正確な評価のために,遂行機能や注意など,それぞれの項目についての神経心理学的検査を行う必要がある.PDに伴う認知症に対しては,ドネペジルが有効である. |
キーワード | パーキンソン病,認知機能障害,遂行機能障害,認知症 |
論文名 | パーキンソン病患者に対する薬物治療 |
著者名 | 安藤利奈,野元正弘 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,25(11):1222-1228,2014 |
抄録 | パーキンソン病は運動症状だけではなく,起立性低血圧や頻尿,便秘などの自律神経障害やレム睡眠行動異常症などの睡眠障害,抑うつ,認知機能低下などの非運動症状も認めるため,さまざまなアプローチで治療に臨む必要がある.2011年にパーキンソン病の治療方針に関するガイドラインが改訂された.本稿では,この新しいガイドラインをもとに,パーキンソン病の標準治療を紹介した. |
キーワード | パーキンソン病,治療,L-dopa,運動症状,非運動症状 |
論文名 | パーキンソン病に対する脳深部刺激療法 |
著者名 | 貴島晴彦,吉峰俊樹 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,25(11):1229-1234,2014 |
抄録 | パーキンソン病に対する脳深部刺激療法はわが国でもこの10年間に急速に普及し,多くの患者がこの恩恵を受けている.その効果や合併症の報告も数多くなされている.さらに,適応,新しいデバイス,新たなターゲットについての知見も散見される.本稿では,視床下核ならびに淡蒼球内節の刺激療法について概説するとともに,新しい知見についてもふれた. |
キーワード | パーキンソン病,脳深部刺激療法,視床下核,淡蒼球内節,視床中間腹側核 |
論文名 | パーキンソン病の新しい治療;再生医療を中心に |
著者名 | 森実飛鳥,高橋 淳 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,25(11):1235-1240,2014 |
抄録 | 中絶胎児組織を用いたパーキンソン病(PD)に対する細胞移植治療は1980年代から行われてきた.一方で人工多能性幹細胞(iPS細胞)からドパミン神経前駆細胞を誘導し,ドナー細胞として利用する研究が進んでいる.動物実験による成果が認められており,近日中に臨床研究も行われようとしている.将来はiPS細胞を利用した細胞移植がPDの治療オプションのひとつとなることが期待される. |
キーワード | パーキンソン病,人工多能性幹細胞,胎児中脳組織,ドパミン神経,自家移植 |