論文名 | もの忘れ外来受診者における脳波異常(temporal spike)の出現頻度とその症状について |
著者名 | 塩崎一昌・古川良子・川越泰子・須田彩子・斎藤 惇・藤川美登里・梶原 智 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(3):273-280,2013 |
抄録 | もの忘れ外来を受診した858症例のうち,43例(5.0%)にtemporal spikeを観察し,そのなかには認知記憶障害や精神症状が抗てんかん薬治療により改善する症例がみられた.その症状はtemporal spikeに関連した非発作性の症状と推測され,側頭葉てんかんに類似した病態と考えている.本研究では,認知症外来の受診者を対象に,てんかん原性の突発異常脳波であるtemporal spikeの出現頻度と部位を後方視的に調査した.そしてtemporal spikeを呈した43例のうち,脳腫瘍合併例を除いた42例についてspikeの偏在(左側・右側・両側)による認知機能やBPSDの差違を検討した.認知機能については偏在による差がなかったが,BPSDのNPI項目の「興奮」については左のtemporal spikeとの関連性が示唆された.またtemporal spikeを伴う認知記憶障害が,のちに側頭葉てんかんと診断変更され,抗てんかん薬が有効であった症例を呈示し,治療の必要性を考察した.
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キーワード | temporal spike,記憶障害,BPSD,偏側性,高齢発症てんかん |