論文名 | 前頭側頭葉変性症の分類と診断体系 |
著者名 | 福原竜治,池田 学 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(12):1225-1232,2013 |
抄録 | 前頭側頭葉変性症およびその臨床的サブタイプである前頭側頭型認知症,意味性認知症,進行性非流暢性失語の疾患概念の変遷と,2011年に発表されたInternational Behavioural Variant FTD Criteria Consortium(FTDC)による前頭側頭型認知症とGorno-Tempiniらによる進行性失語の新しい診断基準について,1998年のNearyらの診断基準との比較を試みた.また,大脳皮質基底核変性症や進行性核上性麻痺などのタウオパチーなどの類縁疾患との関連性についてもふ |
キーワード | 前頭側頭葉変性症,前頭側頭型認知症,意味性認知症,進行性非流暢性失語,診断基準 |
論文名 | 前頭側頭型認知症(ピック病)の臨床症状 |
著者名 | 荻原朋美,天野直二 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(12):1233-1241,2013 |
抄録 | 2011年, 前頭側頭型認知症 (FTD) の診断基準の改訂が発表された.これは,International Behaviour-al Variant FTD Criteria Consortium(FTDC)によって発表されたものである.これまで広く使われていた診断基準を改訂し,より初期から診断できるものになった.診断基準は6つの大項目があり,それぞれの症状についての詳細な補足がなされている.本稿では,この診断基準に記載されている症状を中心に,FTDの症状について概説した. |
キーワード | 前頭側頭型認知症,ピック病,behavioural variant of frontotemporal dementia (bvFTD),International Behavioural Variant FTD Criteria Consortium(FTDC),臨床症状 |
論文名 | 進行性非流暢性/失文法性失語症の臨床症状 |
著者名 | 船山道隆,加藤元一郎 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(12):1242-1249,2013 |
抄録 | 進行性非流暢性/失文法性失語(naPPA)は,変性疾患によって発語失行や失文法を中核症状とする失語が緩徐に進行する臨床診断である.naPPAに対する関心は,脳画像の進歩,神経病理の相次ぐ発見によって高まっている.naPPAの診断には,発語失行と構音障害の区別,naPPAに特徴的な失文法の正確な把握が重要である. |
キーワード | 進行性非流暢性/失文法性失語,nonfluent/agrammatic variant primary progressive aphasia(naPPA),発語失行,失文法,FTLD-tau |
論文名 | 意味性認知症の臨床症状 |
著者名 | 小森憲治郎,原 祥治,谷向 知,数井裕光 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(12):1250-1257,2013 |
抄録 | 意味性認知症(SD)は,通常左右差のある側頭葉前方部の著明な萎縮に伴う進行性の意味記憶障害を中核とする特発性の神経変性疾患である.TDP-43の病理背景をもつ前頭側頭葉変性症(FTLD)の代表的臨床症候群である.語義失語や相貌認知障害など,意味記憶の選択的障害を特徴づける認知機能障害が注目される一方,側頭葉優位型ピック病の特徴でもある行動・心理症状(BPSD)が比較的早期から出現することも臨床上重要である.FTLD特有の行動特性を利用し,適応的な行動の習慣化を目的としたSDに対する非薬物療法やケアが長期の |
キーワード | 意味性認知症,前頭側頭葉変性症,認知機能障害,BPSD,非薬物療法 |
論文名 | 大脳皮質基底核変性症の臨床症状 |
著者名 | 妹尾晴夫,堀口 淳 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(12):1258-1263,2013 |
抄録 | 大脳皮質基底核変性症の臨床症状について記載した.病理学的に大脳の中心溝近傍を中心とした左右差のある前頭・頭頂領域病変と黒質病変を認め,これに対応した臨床症状(肢節運動失行,他人の手徴候,皮質性感覚障害,ミオクローヌス,パーキンソニズムなど)を呈するものが典型例である.典型例以外の症例も多数存在しており,その症状は多彩である. |
キーワード | 肢節運動失行,他人の手徴候,皮質性感覚障害,ミオクローヌス,パーキンソニズム |
論文名 | 進行性核上性麻痺の臨床病理学的多様性について |
著者名 | 谷内弘道,千葉 茂 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(12):1264-1272,2013 |
抄録 | 進行性核上性麻痺(PSP)は,4リピートタウオパチーの一疾患であり,典型的には易転倒性を伴う不安定な姿勢や垂直性核上性眼球運動障害,体幹・頸部の筋固縮などの臨床症状を呈する.最近の研究により,こうした典型例のみならず,臨床病理学的な非典型例の存在が明らかにされてきた.本稿では,PSPにみられる臨床病理学的多様性について概説した. |
キーワード | 認知症,進行性核上性麻痺,大脳皮質基底核変性症,パーキンソニズム,タウオパチー |
論文名 | タウの分子病理と前頭側頭葉変性症 |
著者名 | 田中稔久,武田雅俊 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(12):1273-1281,2013 |
抄録 | 前頭側頭葉変性症という認知症概念のなかの前頭側頭型認知症(FTD)は前頭葉または側頭葉の萎縮を伴う認知症疾患の総称であり,家族性FTDに対する遺伝子解析から,原因遺伝子としてタウ,プログラニュリン,TDP-43などが同定されている.このなかでタウがアルツハイマー病の神経原線維変化の構成成分であることから研究は比較的進んでおり,タウが蓄積する疾患はタウオパチーと呼ばれている.家族性FTDにおけるタウ遺伝子変化とタウタンパクのリン酸化の病態に与える影響は重要である.そして,タウの神経細胞毒性機序については,さ |
キーワード | 前頭側頭型認知症,タウ,リン酸化,アルツハイマー病,神経変性 |
論文名 | 前頭側頭葉変性症における異常タンパク(TDP-43,FUS)蓄積 |
著者名 | 辻 浩史,新井哲明,玉岡 晃 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(12):1282-1288,2013 |
抄録 | TDP-43,FUSは通常は細胞核内に存在するRNA結合タンパクである.前頭側頭葉変性症(FTLD)ではTDP-43,FUSが細胞質内に蓄積し,特徴的な封入体を形成する.FTLDは,この封入体の形態,脳内での分布などにより病理分類されるようになった.TDP-43については病理学的特徴と生化学的な特徴が一致する.また異常TDP-43タンパクは神経細胞間を伝播していくプリオン様性質を有している可能性がある. |
キーワード | TDP-43,FUS,FTLD,プリオン |
論文名 | C9orf72遺伝子GGGGCCリピートに由来するジペプチドリピートタンパクの異常沈着メカニズム |
著者名 | 森 康治 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(12):1289-1293,2013 |
抄録 | 2011年,前頭側頭葉変性症および筋萎縮性側索硬化症の原因としてC9orf72遺伝子の非翻訳領域上にGGGGCCリピートの異常延長が同定された.リピートがどのようにして神経変性を引き起こすのかについて,現在精力的な研究がなされている.筆者らは最近,この非翻訳領域上のリピートが5種類のジペプチドリピートタンパク(dipeptide repeat proteins ; DPR)へと翻訳され,リピート保持者の脳に蓄積し,特徴的な神経細胞内封入体を形成していることを明らかにした.C9orf72に関する周辺の知見を |
キーワード | FTLD,ALS,C9orf72,dipeptide repeat proteins (DPR),repeat-associated non-ATG initiated (RAN) translation |
論文名 | 主介護者の抑うつ状態に影響を与える要因の構造的分析 |
著者名 | 松村 香,岡田節子,山内朝江,与那覇五重 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(12):1295-1307,2013 |
抄録 | 介護者が在宅で要介護高齢者を介護する場合,同じような介護状況であっても,それをどうとらえるかによって心理的負担感は異なる.それには認知的側面も含めた各自の性格が関与していると考えられる.本研究は,要介護高齢者を介護している主介護者(以下,介護者)の抑うつ状態に影響を及ぼす要因について介護者の性格特性を含めて構造的に分析することを目的とした.対象は東京都市部に在住する介護者237人のうち調査項目のすべてに欠損値のない195人である.構造方程式モデリングによる分析の結果,抑うつ状態に影響を及ぼす直接的要因には |
キーワード | 介護者,抑うつ状態,介護負担感,性格特性,構造方程式モデリング |
論文名 | アルツハイマー型認知症および軽度認知機能障害の評価 |
著者名 | 光戸利奈,藤井加奈子,岩本竜一,山田達夫,辰川和美,橋本優花里 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(12):1308-1315,2013 |
抄録 | アルツハイマー型認知症(AD)患者,軽度認知機能障害(MCI)患者,健常高齢者(NC)にリバーミード行動記憶検査(RBMT)を実施し,全下位検査の素点を説明変数として判別分析を行い,ADやMCIの判別に対するRBMTの有用性を検討することを目的とした.また,判別に強い影響を与えた下位検査項目を検討することで各群の記憶機能の特徴を検討した.その結果,判別的中率は,AD群80.8%,MCI群100%,NC群93.8%であり,RBMTの下位検査項目は,ADやMCI,NCの判別に有用であることが示された.また,N |
キーワード | アルツハイマー型認知症,軽度認知機能障害,リバーミード行動記憶検査,判別分析 |