論文名 | 認知症介護者のメンタルヘルス |
著者名 | 杉山秀樹,一宮洋介,新井平伊 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(11):1103-1109,2013 |
抄録 | 認知症患者の増加は,認知症介護者の増加も意味する.そのため,今後の認知症医療は認知症患者への取組みだけでなく,認知症介護者へのサポートも重要な課題となっている.筆者らは認知症介護者のサポートの一つのあり方として,多職種協働で集団精神療法(グループ療法)に取り組んでいる.本稿ではその取組みを紹介しつつ,認知症介護者の取り巻く環境や心理,サポートのあり方について考えてみたい. |
キーワード | 認知症,介護者,メンタルヘルス,集団精神療法 |
論文名 | 高齢者介護事業所におけるケアワーカーのメンタルヘルスの現状と課題 |
著者名 | 結城拓也 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(11):1110-1116,2013 |
抄録 | 本稿では,高齢者介護に従事するケアワーカーのメンタルヘルスの現状について,高齢者事業所の規模,日々の介護業務に着目して考察した.介護業務によるストレスや支援関係の崩れなど,メンタルヘルス不調を起こしやすい環境でありながら,事業所の規模により対策を講じにくい現実を指摘した.内部資源のみならず外部資源の活用,対策を講ずるための財源の確保を今後の課題として提示した. |
キーワード | 事業所の規模,支援関係の動揺,支援単位の小規模化,外部EAP,支援者を支援する仕組み |
論文名 | 独居あるいは高齢夫婦世帯で迎える認知症 |
著者名 | 井藤佳恵 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(11):1117-1123,2013 |
抄録 | 独居や高齢夫婦世帯が近隣トラブルを抱える頻度は,非高齢世帯に比べて圧倒的に高い.しかしながら,問題の本質は独居や高齢夫婦世帯ということそのものにあるのではなく,十分な介護力のある家族介護者がいない認知症高齢者を,地域社会が許容することの困難さにあるのではないか.「認知症になっても住み慣れた地域で暮らし続けることができる社会の実現」を基本目標とするわが国の認知症施策の実現には,同居家族以外の人的つながりをもたない高齢者を支えていけるよう,地域社会が成熟することが不可欠である. |
キーワード | 認知症,独居,高齢夫婦世帯,困難事例,近隣トラブル |
論文名 | 生活障害の介護 |
著者名 | 中間浩一 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(11):1124-1129,2013 |
抄録 | 軽度認知症を有する人(利用者)が生活障害を引き起こす要因はさまざまである.生活障害に対して支援を提供するためには,客観的なアセスメントと多職種からなるチームによるリハビリテーション・アプローチが不可欠である.これらが適切でないと,廃用症候群やBPSDなどを招くことがある.われわれは生活障害を抱えた利用者を援助するために日々,知識・技術の習得や感性を磨く努力を継続する必要がある. |
キーワード | 生活障害,アセスメント,ADL,IADL,リハビリテーション,BPSD |
論文名 | BPSD の介護 |
著者名 | 堀 宏治,小西公子,岡田正樹 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(11):1130-1135,2013 |
抄録 | BPSDの非薬物療法のポイントを示した.BPSDには保険適応のある薬剤はなく,非薬物療法がその対応の中心となるが,非薬物療法で軽快するBPSDもあれば,薬物療法でしか軽快しないBPSDもある.このために,現在症例が示すBPSDがなにに当たるかをきちんと見極めることが重要である.筆者らの過去の報告から,抑うつ症状や精神症状は薬物療法が必要なBPSDであるが,徘徊や日内リズム障害,攻撃性などの行動症状であれば,非薬物療法でも軽快することが可能である.このために,行動症状では非薬物療法を中心として据えるべきであ |
キーワード | 認知症,BPSD,非薬物療法 |
論文名 | ターミナル期の介護 |
著者名 | 北川公子,菅原峰子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(11):1136-1142,2013 |
抄録 | ターミナル期にはさまざまな意思決定をしなければならないが,認知症高齢者においては本人に代わって家族が決断を求められることが少なくない.しかし,十分な意思疎通ができないなかで,家族でさえも余命を左右する決定を下すことに迷い悩んでいる.介護施設の職員として,あるいは訪問介護員として認知症高齢者の最も身近で援助に当たる介護職には,いままで以上にターミナル期における重要な役割が期待されている.その現状と課題を解説する. |
キーワード | ターミナルケア,介護,家族介護者,介護職,合意形成,多職種チーム |
論文名 | 認知症診療における介護へのアプローチ |
著者名 | 西村敏樹 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(11):1143-1149,2013 |
抄録 | 本稿では,医師として認知症診療に携わる際に,介護上の課題にいかに対処すべきかと,いう点を中心に,症状の緩和や自尊心の支えという課題との連関をも含めて述べた.まず,認知症の病状に影響する事柄として,心の安定という観点から,人柄や自尊心の維持を目標に,病を得る前と後との人生物語のつながりを重視したケアの工夫,身体や環境の安定という観点から,生活リズムの再建の工夫について言及した.そして,日常診療の指針として,病型と病期ごとのケアの課題とアプローチについて概観した. |
キーワード | ストーリーの回復,アルバム回想法,人柄の維持,病型と病期,臨床倫理 |
論文名 | BADS の行為計画検査,鍵探し検査の妥当性 |
著者名 | 山岸 敬,二木保博,林 耕司,今村 徹 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(11):1151-1159,2013 |
抄録 | 【背景】遂行機能とその障害が近年注目されているが,認知機能のスクリーニング検査として世界的に用いられているMMSEは,遂行機能障害に敏感とは言い難い.【目的】MMSE得点が正常範囲である高齢脳損傷患者における,BADSの行為計画検査と鍵探し検査の簡易な神経心理学的遂行機能検査としての構成概念妥当性を検討する.【対象】長野赤十字病院言語聴覚課に処方された初発の器質性脳損傷患者(脳血管障害,脳炎,頭部外傷,脳腫瘍,神経変性疾患)のうち,以下の条件を満たす73症例;@MMSE 24/30点以上,ARey複雑図形 |
キーワード | BADS,行為計画検査,鍵探し検査,遂行機能,神経心理学的検査 |
論文名 | アルツハイマー型認知症患者に対するドネペジル塩酸塩の長期投与による病態の推移および安全性 |
著者名 | 新井平伊,秋山弘之,兼松 徹,辰野 剛,石本総一郎,安田 雄,住友健太,阪田幸則,高瀬貴夫 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,24(11):1160-1169,2013 |
抄録 | アルツハイマー型認知症患者を対象にドネペジル塩酸塩(アリセプトR)の長期投与による病態の推移および安全性を調査することを目的に長期・大規模のアリセプトR特定使用成績調査が実施中であり,今回,最長12か月間のデータを集計した.認知機能については,新規投与例において,12か月時においても調査開始時の水準が維持された.FASTについても調査開始時と比較して,8割以上の患者においてFASTのステージが改善または維持された. |
キーワード | アリセプト,アルツハイマー型認知症,HDS-R,MMSE,FAST |