論文名 | 英国の認知症国家戦略 |
著者名 | 西田淳志,新川祐利 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,24(10):977-983,2013 |
抄録 | 英国政府は2009年2月に『認知症とともによき生活(人生)を送る:認知症国家戦略』(Living well with dementia:A National Dementia Strategy)を発表し,2014年までの5年間を認知症ケア改善に取り組む集中改革期間と定め,包括的な政策方針を打ち出した.以後,今日に至るまで英国政府は,認知症政策の推進を社会保障の最優先課題と位置づけ,政策推進に力をいれている. |
キーワード | 英国,認知症国家戦略,認知症政策,首相の挑戦,適時診断 |
論文名 | フランスの認知症国家戦略 |
著者名 | 近藤伸介 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,24(10):984-989,2013 |
抄録 | フランスは2008〜2012年の5か年にわたって,過去最大規模の認知症国家計画を実施した.プラン・アルツハイマー2008-2012である.ケア・研究・連帯を3本柱に44の施策が実行された.当初大統領主導の強力なトップダウンの力で動き出した改革は5年を経て現場に自律的な動きを生み出し,長年利用者の視点を欠いて分断されてきた医療と福祉が連携するなど,確実に変わり始めている. |
キーワード | 認知症,国家戦略,フランス,プラン・アルツハイマー |
論文名 | オランダの認知症国家戦略−地域に根ざした利用者本位のケアに向けて |
著者名 | 堀田聰子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,24(10):990-999,2013 |
抄録 | 当事者の参加・発言も推進力として地域居住への道を探り,多職種プライマリケアを一貫して強化しながら切れ目ないケアの提供を模索してきたオランダでは,2000年代にはいり「コーディネートされた認知症ケア」実現に向けた国を挙げた取組みが本格化した.地域発,当事者発を特徴とするオランダにおける認知症国家戦略の段階的発展を概観する.各地域での認知症の人と介護者視点による問題抽出を出発点として課題解決とよい認知症ケア実現に向けた多様なネットワーク形成を促進,これをもとに認知症ケースマネジメントの発展や認知症ケアパスの開発に取り組み,地域を基盤としてコーディネートされた認知症ケアを実現しつつある.オランダの国家戦略の主たる特徴は,全国共通の課題と解決に向けた方策を示して一律に取組みを促すのではなく,地域ごとに当事者主体で目標を設定し,多様な関係者の連携を促し,常に認知症の人と介護者の意見を聴きながらボトムアップで段階的に改善に取り組んできたこと,各地域のベストプラクティスを共有して学び合っていることにある. |
キーワード | オランダ,認知症国家戦略,chain of care,ケースマネジメント |
論文名 | デンマークにおける「認知症国家行動計画」 |
著者名 | 松岡洋子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,24(10):1000-1006,2013 |
抄録 | デンマークでは認知症コーディネーターの制度を2000年から整え,行動計画も2度にわたって実施し,地域におけるこれまでどおりの暮らしの継続を支援する認知症ケア政策を展開してきた.2010年より開始された4年間にわたる「認知症国家行動計画」では自治体間格差の均等化を目指し,早期診断とステージに応じた切れ目のない支援,そのための組織間連携,権利擁護,家族支援,教育と研究に焦点があてられている.2010年の計画は長年にわたる地道な発展の途上にあるといえる. |
キーワード | デンマーク,認知症ケア,地域生活,早期診断,組織間連携 |
論文名 | オーストラリアの認知症国家戦略 |
著者名 | 鐘ヶ江寿美子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,24(10):1007-1013,2013 |
抄録 | オーストラリアは認知症をNational Health Priority area(NHPA)に定め,連邦政府,州政府,地方自治体は認知症に対する一貫した施策“National Framework for Action on Dementia”を策定している.在宅ケアや地域包括ケアが推進され,認知症の早期から終末期に至るまで,シームレスで柔軟な介護サービスや支援が提供できるよう高齢者ケア・認知症ケアの制度改革に余念がない. |
キーワード | 認知症国家戦略,認知症ケア,高齢者ケア,地域包括ケア,在宅ケア |
論文名 | わが国の認知症施策をどうみるか |
著者名 | 本間 昭 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,24(10):1014-1022,2013 |
抄録 | 最近,厚生労働省は認知症者数を2010年の段階でおよそ440万人と推計し,65歳以上の人口における有病率はおよそ15%と報告している.厚生労働省はこれまでの認知症施策の課題に対応し「認知症になっても本人の意思が尊重され,できるかぎり住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会」の実現を目指すため,認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)を策定し,2013年度から取組みを実施している.本稿ではその概略を述べ,いくつかの課題を示した. |
キーワード | オレンジプラン,認知症,医療と介護の連携 |
論文名 | わが国の認知症国家戦略はどうあるべきか |
著者名 | 松下正明 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,24(10):1023-1034,2013 |
抄録 | 筆者は,2012年6月に出された「今後の認知症施策の方向性について」,2012年9月に発表された「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」を対象として,世界の先進諸国における対策を参考に,これからのわが国の認知症国家戦略のあるべき姿について論じた.とくに,国が示す対策に統合的な視野が乏しいことを取り上げ,認知症疾患医療センターのあり方,アウトカム設定の欠如や施策の監査システムの必要性などを指摘した. |
キーワード | 認知症国家戦略,「今後の認知症施策の方向性について」「オレンジプラン」,認知症疾患医療センター,医療・施設・介護・サポーター・在宅・地域統合モデル |