論文名 |
32歳で発症した舞踏病様不随意運動を伴う前頭側頭型認知症の一例
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著者名 |
河上 緒・新里和弘・新井哲明・大島健一・安野みどり・湯本洋介・小幡菜々子・新井 誠・糸川昌成・後藤 順・市川弥生子・平安良雄・岡崎祐士・秋山治彦
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(9):1121-1127,2012 |
抄録 |
筆者らは,32歳で発症し両下肢に舞踏病様の不随意運動を伴った前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia ; FTD)の1例を経験した.症例は38歳女性.統合失調症の家族歴あり.中国で生活をしていた32歳時,情動変化,家事遂行困難で発症し,反復言語,周徊,貧乏揺すり,脱抑制的行動が出現して,現地で入院となった.画像検査で前頭側頭葉変性症と診断され,入院継続のためX年に帰国,当院に入院となった.MRIで両側前頭・側頭葉に強い萎縮,脳血流SPECTで同部位に血流低下を認めた.両下肢の舞踏病様不随意運動および筋トーヌス低下を認めた.Huntingtin遺伝子等の舞踏病をきたす遺伝性疾患の遺伝子,TARDBP,GRN,FUS等の前頭側頭葉変性症に関連する遺伝子を調べたが,検索し得た範囲では異常は同定されなかった.本例は,若年発症である点,内因性精神疾患(統合失調症)の家族負因を有している点,舞踏病様不随意運動を呈した点で特異であった.
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キーワード |
前頭側頭葉変性症,前頭側頭型認知症,若年発症,舞踏病様不随運動 |