論文名 |
高齢者の神経伝達機能を考慮したグルタミン酸薬物による治療
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著者名 |
宮田久嗣
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(8):959-964,2012 |
抄録 |
メマンチン(memantine)は世界で初めてのNMDA受容体拮抗薬として,アルツハイマー型認知症(AD)のグルタミン酸の異常によって生じる神経細胞傷害や,学習記憶の分子的基盤とされる長期増強形成障害を抑制する.適応は中等度〜高度のAD患者で,認知機能障害への改善効果を示す.また,行動・心理症状における興奮,易刺激性,夜間の行動異常への効果はメマンチンの特徴とされる.有害事象は便秘,めまい,頭痛,高血圧などであるが,他の認知症治療薬と比較して安全性は高い.メマンチンは,作用機序が他の認知症治療薬(コリンエステラーゼ阻害薬)と異なることから併用療法として用いられることが多いが,このような併用療法が認知機能障害や日常生活動作の悪化を長期に抑制することが報告されている.認知症治療にメマンチンが加わり,新たなADの薬物療法の選択肢が広がったといえる.
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キーワード |
memantine,NMDA受容体,グルタミン酸,アルツハイマー型認知症,認知症の行動・心理症状 |