論文名 |
地域高齢者における年収および暮らし向きと心理的健康指標との関連 |
著者名 |
藤原佳典,小林江里香,深谷太郎,西真理子,斉藤雅茂,野中久美子,稲葉陽二,福島富士子,星 旦二,新開省二
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(2):211-220,2012 |
抄録 |
健康を規定する社会的因子における経済状況を客観的な年収と主観的な暮らし向きでみた場合の心理的健康との関連を比較検討した.埼玉県和光市在住の65歳以上住民9,800人より無作為抽出した2,528人に対して,郵送調査を実施し,70.1%の有効回答を得た.多重ロジスティックモデルにおいて「抑うつ傾向あり」と「将来への不安強い」を従属変数とした場合には,独立変数の基準カテゴリー300万円以上に対してそれ以下のオッズ比はおのおの有意であった.次に暮らし向きを追加投入した結果,基準カテゴリー「ややゆとりあり以上」群に比べて,「どちらともいえない」群,「やや苦労以下」群のオッズ比はともに有意であったが年収区分の有意差は消失した.「健康度自己評価低い」を従属変数とした場合には,暮らし向きが「やや苦労以下」群のオッズ比のみ有意であった.高齢者においては年収区分よりも主観的な暮らし向きのほうが心理的健康指標と強い関連を示す可能性が示唆された.
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キーワード |
抑うつ傾向,将来不安,健康度自己評価,年収,暮らし向き
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