論文名 |
行動・心理症状(BPSD)に対する不適切な薬剤使用について |
著者名 |
宮村季浩・安田朝子・木之下徹・元永拓郎・中野正剛・平井茂夫・
大澤 誠・川嶋乃里子・川畑信也・高桑光俊・高瀬義昌・田北昌史・
楢林洋介・八森 淳・平原佐斗司・池田惠利子・橋本 衛・
池田 学・朝田 隆・小阪憲司
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,23(1):63-73,2012 |
抄録 |
【目的】BPSDの悪化関連要因となりうる薬剤について,その実態を明らかにする目的で調査を行った.【対象および方法】在宅でのBPSD医療に積極的に取り組んでいる医療機関15施設を選び,134人の受診者に関して調査票による調査を行った.【結果】薬剤別にみた処方人数は,降圧薬,抗精神病薬,認知症治療薬,消化器疾患治療薬,抗不安薬,抗血栓薬,睡眠薬,下剤(処方人数15人以上の薬剤)の順に多かった.そのうちBPSDの悪化関連要因とされた頻度は,パーキンソン病治療薬,抗不安薬,H2ブロッカー,抗ヒスタミン薬,抗精神病薬,抗てんかん薬,睡眠薬,抗うつ薬,副腎皮質ステロイド,抗アレルギー薬,認知症治療薬,泌尿器疾患治療薬の順に高かった(下線の薬剤は同頻度).【考察】認知症およびBPSDに対する薬剤の使用は,その使用目的を果たす以外に,BPSD悪化の原因ともなりうることが示された.本結果は,日常診療において薬剤による便益とリスクを検討し,適正に処方するための留意点を抽出するうえで,有用な情報を提供するものである.
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キーワード |
認知症,BPSD,BPSD医療,不適切な薬剤使用 |