論文名 | 認知機能障害を伴う要介護高齢者の日常生活動作と行動・心理症状を測定する新評価票 |
著者名 | 今井幸充,長田久雄,本間 昭,萱間真美,三上裕司,加藤伸司,木村隆次,石田光広,沖田裕子,遠藤英俊,池田 学,半田幸子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,22(10):1155-1165,2011 |
抄録 | 認知機能障害がある高齢者の日常生活動作の程度を測定する「認知機能障害に伴う日常生活動作評価票(以下,ADL-Cog)」と行動と心理状態を測定する「認知機能障害に伴う行動・心理症状評価票(以下,BPS-Cog)」を考案し,要介護度認定調査員ならびに日本老年精神医学会員医師に依頼し,その信頼性と妥当性の検証を行った.方法は,認知機能障害を伴う高齢者に2つの新しい評価票を用いてADLと行動・心理症状を測定した.信頼性の検証では,DVD画像を用いて認定調査員42人,医師39人の評価者間一致率を,また認定調査員のみ評価者内一致率を検証した.妥当性の検証では,565人の認知機能障害を伴う高齢者にADL-CogならびにBPS-CogとFAST,Behave-AD,「認知症高齢者の日常生活自立度」を同時に実施し,相互の相関関係を求めた.結果では,評価者間一致率が2つの評価票ともに69%以上と高く,また認定調査員による評価者内一致率もADL-Cog,BPS-Cogともに87%以上の一致率がみられ,さらに級内相関係数(ICC)は認定調査員間で相関係数が0.77以上,医師と調査員間では0.71以上であった.既存測度のFASTとADL-Cogの相関は相関係数が0.715,またBehave-ADとBPS-Cogは相関係数0.611の相関が認められた.以上から,ADL-CogならびにBPS-Cogの信頼性と妥当性は,検証された. |
キーワード | 認知症,ADL-Cog,BPS-Cog,認知機能,評価測度 |
論文名 | アルツハイマー病患者のコミュニケーション障害への対応 -聴覚障害に対する口形提示の効果- |
著者名 | 飯干紀代子,大森史隆,東 慎也,猪鹿倉忠彦,三村 將 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,22(10):1166-1173,2011 |
抄録 | Probable AD患者80例(平均年齢81.7歳,平均Mini-Mental State Examination〈MMSE〉得点16.8点)を対象に,発話者の口形提示が単語の聞こえに及ぼす効果について検討した.純音聴力検査と,日本聴覚医学会作成67語表の20単語を用いた復唱検査を実施した.復唱検査では,1対象に口形提示あり・なしの2条件をランダムに実施した.その結果,@口形提示あり条件が,なし条件より有意に単語の復唱正答数が高かった.A口形提示の有無を被験者内要因,聴覚障害を被験者間要因とした2way ANOVAの結果,口形の主効果と交互作用が有意,単純主効果の検定で,聴覚障害moderateとsevereにおいて口形の効果が有意であった.B同様にMMSEを被験者間要因とした結果,口形の主効果を認めたが交互作用は認めなかった.ADに対する口形提示は,ADの残存能力のひとつである音韻系の機能を活用した方法と考えられ,moderate以上の聴覚障害があり,かつ補聴器装用が困難な例に対する有効なコミュニケーション方法となりうることが示唆された. |
キーワード | アルツハイマー病,聴覚障害,了解度検査,コミュニケーション方法,口形提示 |